【ツユクサ科の多年草、ショウカ科のミョウガとは無関係】
関東以西の山野の林縁や藪に生えるツユクサ科ヤブミョウガ属の多年草。白い根茎が横に這って繁殖し群生する。葉の表面は暗緑色で長さ20~30cmの長楕円形。先端が尖り基部は茎を抱く。ヤブミョウガの名はその姿がミョウガの葉によく似ることから。ただヤブミョウガに薬味として使われるミョウガができることはない。ミョウガは分類上ヤブミョウガとは全く無関係のショウガ科に属す。
8~9月頃、直立した茎の先に円錐状の集散花序をつくり、輪生状に白い小花を多数付ける。花は萼片3枚と花弁3枚からなり、花弁は1日で萎むが萼は残る。1株の中に雄しべが長く黄色い葯が目立つ雄性花と、雌しべが白くて長い両性花が混在する。果実は径5mmほどの球形。熟すにつれ緑色から光沢のある瑠璃色に変わっていく。花期後半には写真のように花と実が同時に付いた株を見かけることも。
学名は「Pollia japonica (ポリア・ヤポニカ)」。鎖国期の江戸時代に長崎の出島商館付き医師として来日したスウェーデンの植物学者カール・ツンベルク(1743~1828)が命名した。ツンベルクは〝植物分類学の父〟カール・フォン・リンネの弟子で、シーボルト、ケンペルとともに〝出島三学者〟の一人といわれた。属名「ポリア」はそのツンベルクに資金援助したオランダ人「ポールさん」への献名。種小名は「日本の」を意味する。