く~にゃん雑記帳

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<戸畑図書館> 再生・開館からまもなく丸10年

2023年08月03日 | アンビリバボー

【旧図書館跡地にはドラッグストアが開業へ!】

 北九州市には門司港レトロ地区をはじめ歴史的建造物が多く残る。戸畑区では建築家辰野金吾の設計による「旧松本家住宅」(国の重要文化財)が有名だが、現戸畑図書館の建物も“帝冠様式”の重厚な外観から地域のシンボルとして親しまれてきた。90年前の1933年、戸畑市役所として建てられ、5市合併で北九州市が誕生した1953年からは9年間、初代本庁舎として利用されたことも。その後は2007年まで戸畑区役所として活用されてきた。市立戸畑図書館としてリニューアルオープンしたのは2014年3月。来春には開館から丸10年を迎える。

 建物は地下1階地上3階+塔屋3層で、延べ床面積は約2880㎡。竣工した90年前は建築基準法が施行される前で、図書館として再利用するには耐震補強を伴う改修工事が不可欠だった。設計・監理を担当したのは“リファイニング(再生)建築”を手掛ける青木茂建築工房。耐震化のため館内の中央廊下にスチール製のアーチ状補強材を設置するなど工夫を重ねた。図書館として蘇った建物はグッドデザイン賞、福岡県美しいまちづくり建築賞優秀賞、公共建築賞など数々の賞を受賞している。

 館内には「宗左近記念室」や「郷土資料室」なども設けられている。宗左近(1919~2006)は戸畑出身で、詩人・仏文学者・評論家・縄文研究家など多方面で活躍した。代表作に詩集『黒眼鏡』『炎(も)える母』、句集『響灘』など。図書館のすぐ北側に、昨年設置されたばかりという「鐵偶(てつぐう)」と題した宗左近生誕の地モニュメントがあった。彫刻家母里聖徳(ぼり・きよのり)さんの作で、「反戦平和を訴え、縄文の美を愛した郷土の先人、宗左近氏の意志を永く語り継ぐ」との思いを込めて制作したとのこと。

 現戸畑図書館の南西側には浅生1号公園を挟んでかつて旧戸畑図書館があった。開館したのは1958年。2014年に図書館が旧戸畑区役所跡の現図書館に移転するまで半世紀以上にわたって図書館としての役割を果たしてきた。だが、久しぶりに帰省すると建物は解体されて更地になっており、工事用パネルで囲まれていた。パネルには「(仮称)ツルハドラッグ戸畑区役所前店新築工事」と書かれていた。

 施工は大和リース株式会社、建築主はツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本で、事業期間は令和5年5月17日~10月31日となっていた。旧図書館跡地は区役所のすぐ西側にあり、飛幡八幡宮やスポーツセンターなどに隣接する。戸畑まちづくり構想では「戸畑区役所周辺地区・D街区(スポーツゾーン)」に位置する。公共施設が集積する、いわば官庁街のような場所。どんな経緯でドラッグストアが進出することになったのだろうか。(下は現図書館の郷土資料室に飾られていた旧図書館の開館当時の写真)

 一帯は国の重要無形民俗文化財で、ユネスコの無形文化遺産にもなっている「戸畑祇園大山笠」の競演会(7月第4土曜日)の会場として毎年10万人を超える観客でにぎわう。祭関係者の一人は旧図書館の跡地利用についてこうつぶやいていた。「跡地には観光客がいつでも資料や映像などを通じて戸畑祇園大山笠を体感してもらえる“お祭り会館”のようなものができるのを期待していたのだが……」(下の図は2021年7月の北九州市議会総務財政委員会のPDF資料から)

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