多彩な才能、信長家臣団を紹介 滋賀・安土城考古博物館
- 2016.5.12 京都新聞
- 多彩な資料で信長の家臣たちを紹介する展示(近江八幡市安土町下豊浦・安土城考古博物館)
織田信長の家臣たちの働きや人物像を伝える資料を通してその多彩さや、信長の人材登用を紹介する企画展「信長の家臣たち」が、滋賀県近江八幡市安土町下豊浦の安土城考古博物館で開かれている。
譜代の尾張衆や美濃攻略の過程で加わった美濃衆、上洛(じょうらく)を契機に仕えるようになった近江衆など、信長は権力掌握の各段階で家臣を増やし政権の形を変化させていて、4章に分けてその関係を解き明かす。
高木叙子学芸員によると、信長は前例のない早さで権力を拡大する中で現地の人間を抱え、裏切った者も登用して家臣間で競わせ、現実的かつ柔軟に対応したという。一方で「粛正や追放に明確な理由がないことも多く、仕えにくい上司だったのではないか」とみる。
展示では、信長に加え羽柴秀吉、柴田勝家や蒲生氏郷など18人の肖像画が一堂に会するほか、それぞれが残した文書を間近に見ることができる。信長の文書や記録を執筆する役職「右筆」でありながらブレーンを務めた明院良政や、信長の記録を残し「信長公記」を著した太田牛一についても紹介している。
高木さんは「勢力が大きくなるうちに家臣間や信長との関係に矛盾が生じ、裏切りや謀反につながった。その結末が本能寺の変だった」と話している。
6月5日まで。月曜休館。一部展示替えあり。有料。
22日午後1時半から歴史研究家谷口克広氏による記念講演会「信長の部将たち」を行う。
問い合わせは同館TEL0748(46)2424。