海山の創作ノート

工房T 海山の書、印、絵、版画、工作、etc.日々の暮らしの中で出来た作品を紹介します。 さて、今日は何を作るかな。

No.429 さてどちらへ行かう風のふく

2014-05-30 | 山頭火



山頭火の日記(其中庵日記)を読んでいて、こんな状況でできた句なのか、と再認識することがしばしばあります。

この句もそんな句の中の一つです。
好きな句ですので、今までに何度も揮毫した句でもあります。
句集の中では、句の説明はありませんから、想像力を働かせて
いろいろな場面を勝手に思い描くのです。
まあ、俳句はそこが面白いところなのでもあります。

この「さてどちらへ行かう風のふく」も、
人生の帰路にたって、厳しいほうの道を選んで、わが道を歩いていく、そんな解釈をしてしまうのです。だから、かなり厳しい線の緊張感のある作品を書いてきました。しかし、そんなに深刻でもないのです。
北九州の俳句同人宅を訪ね歩きながら、行く先々で友人達と酒を飲み、句会を開いて楽しんでいます。それでも途中乞食しながらの旅の句です。この日は二月、小倉、八幡、戸畑、若松を歩いています。戸畑から若松に、あるいはその逆かもしれませんが、その途中雨風に打たれて、特に風が身にしみたようですが、悲壮感はありません。その後友達の家で温かいもてなしが待っているのですから。
案外素直に「さて、これからどっちに行ってみるかな?それにしても、ちょっと風が嫌だな。」くらいの感覚ですか。

ということで、今回の作は、あまり力まずに、自然体で書いてみました。
しかも、小さい作品です。

(17×17センチ)


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