寒さ乗り切る元気の源
体の調子が良くて、気分が爽快なときは、体の中から力がわいて、 仕事や家事もドンドンこなすことができますね。このような体の状態 をつくるには、単純に体にエネルギ-をためるだけではた゜めです。 豊富なエネルギ-を効果的に使わなければなりません。私たちのエ ネルギ-は、糖分や脂肪から得られます。ただ、糖分や脂肪は消化、 吸収された体内に入ってから、細胞で分解されて初めてエネルギ- が取り出されるのです。ですから、ただひたすらに食べるだけでは、 栄養分の蓄積は起りますが、有効にエネルギ-として使うことはでき ないのです。消化、吸収されたり、体内に蓄積されたりした栄養分か ら効果的にエネルギ-を取り出すには、実は甲状腺ホルモンの働き がきわめて重要です。甲状腺は、首の前のノドボトケの下にある器 官です。チロシンというアミノ酸とヨウ素(ヨ-ド)という元素から甲状 腺ホルモンを作って分泌しています。甲状腺にホルモンを分泌させる のは、脳の視床下部と下垂体の役割です。この甲状腺ホルモンは血 液の中に入って、全身に行き渡り、細胞のエネルギ-利用を向上させ、 細胞を元気にします。腸では糖分の吸収を促し、脂肪組織では脂肪 の分解を促し、エネルギ-源の供給も増やします。こうしてエネルギ- の消費が高まるので、体内に熱が生じて体が温まります。ですから、 冬になると甲状腺ホルモンが多く分泌され、寒さを乗り切っているわ けです。甲状腺ホルモンは“元気の源”なのです。 (とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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