入浴、排便・・・日常のケアが重要=樽見 研
痔の治療で最も重要なことは、実は薬でも手術でもなく日常生活でのお尻のケアです。われわれ日本人にとって食べ物の入り口である口腔内をケアすることは一般的であり、誰でも虫歯にならないように歯磨きをします。しかし食べ物の出口であるお尻をケアすることは軽視されてきました。痔にならないためにお尻をケアする日常生活のポイントは以下の5点です。①毎日入浴する。入浴すると血行が良くなり、肛門のうっ血が解消され、痛みの原因となっている肛門括約筋のけいれんを抑えてくれます。②正しい排便習慣を身につける。トイレでの息みすぎは肛門のクッション部分に負担をかけ、うっ血をきたします。排便は3分以内で済ますように心がける。③肛門の清潔を心がける。排便後は温水で洗うことが大切です。きれいにしょうと思って紙やタオルでこすりすぎることは厳禁です。④長時間の同一姿勢は避ける。長時間同じ姿勢での立ちっぱなし、座りぱなしはお尻にとっては大きな負担て゛す。同一姿勢を強いられる職業の方は休憩時間に体を動かすようにする。⑤お酒や刺激物は控えめにする。適量のお酒は血行を良くし問題ありませんが飲み過ぎはお尻のうっ血の原因になります。また過度の香辛料は患部を刺激して痛みや出血の原因になります。これらは私が患者さんに実際に指導していることです。お尻は今後一生において、毎日使用する場所です。痔にならないために、痔を悪化させないために、ぜひ実行してみてください。(札幌いしやま病院副院長)