西洋医学が近代国家へと変貌しようとした明治期に、それまで 医療の主流を成していた東洋医学を根底にし、日本独自に変革し た漢方医に取って代わり約百年の経過を見ることとなります。この 期間にその時々で新たな発見や研究によって、その時点で考察 できる最高の診断や栄養学の見地から国の指針が示されていま す。その様な中の一つに乳幼児の栄養補給の問題があります。 一時、粉ミルクにバランスよく栄養素を加味したものが良いと主流 に成っていた時期があります。その後、赤ちゃんとの接し方の中で、 スキンシップの重要性とも関連してト-タル的に考察して、今では 母乳が育児の原点であるとの考え方になっているようです。そのよ うな中で母親への授乳・離乳指導の在り方を検討している厚生労 働省の研究会は「離乳開始前に薄めた果汁やス-プを与える必 要性はない」との見解をまとめたとのことです。現行の「離乳の基 本」と題した指針を約十年ぶりに改定、「授乳・離乳の支援ガイド」 を新たに作成するとのことです。
食物アレルギ-や肥満予防などの解説、ベビ-フ-ドの適切な 利用方法も盛り込むとのことで、「病院や保健所などの指導だけ でなく、育児雑誌の記事などにも反映させてもらいたい」としてい る。現在、母子健康手帳の「保護者の記録」の生後三~四ヶ月の 項には「果汁やス-プを飲ませていますか(五ヶ月ごろから離乳 が始められますか)」と記載されている。しかし、医師や栄養学の 専門家でつくる同研究会は「栄養学的根拠はない」と判断。新た なガイドには「必要性はない」と明記することにした。一部の小児 科医や免疫学専門医の中で、だいぶ以前から、赤ちゃんは一年 かけてそれからの長い人生に適応する体作りをする大事な時期 なのです。特に消化器系の胃腸は異種タンパク質に、早い時期 に関わると食物アレルギ-反応を起こしやすい体質になると警鐘 しています。今回、果汁などの摂取に根拠がない、などの記載は 過去の前面否定に繋がるための、緩やかな記述のように感じら れます。最近のアレルギ-体質増加が、この時期の対応が起因 しているとの認識があるように感じられます。離乳の開始時期に ついては世界保健機関(WHO)の報告を踏まえ、現行の「五ヶ月 ごろ」から「五、六ヶ月ごろ」に変更。ドロドロ状のつぶしがゆから 始め、徐じょに固いものに移行する、としている。このほか「いろい ろな味や舌ざわりを楽しめるように食品の種類を増やす」(生後七 ~八ヶ月)、「食事のリズムを大切に、1日三回食へ」(九~十一 ヶ月)、「手づかみ食べから始め、自分で食べる楽しみを」(十二~ 十八ヶ月)など、月齢ごとの「食べ方の目安」も加えるとのことです。