ちょっと聞けない「泌尿器科の話」=古屋 聖児解説 高脂肪食 取りすぎ注意
最近、日本で前立腺がんの増加が指摘されています。この病気、欧 米人に好発し、米国では男性のがんの中で第1位を占め、10万人 当たりの発生率は黒人で175人、白人で107人です。日本人の発 生率は今のところ米国平均の約10分の一です。ところが、徐々に増 加し、20年後には前立腺がんによる死亡率は現在の3倍になると推 定されています。前立腺がん増加の原因の一つは、日本人の長寿高 齢化です。このがんは年をとるほど多く発生する性質を持っています。 実際、日本の前立腺がん発見率は50歳代では0・15%ですが、70 歳代になると10倍の1・5%と増加します。また、日本人の食生活の 欧米化、とりわけ高脂肪食が増加の危険因子です。その証拠に日本 人と同じ遺伝子を持つハワイ在住の日系人に比べ、前立腺がん発生 率は実に約5倍も高いからです。日本食の納豆やみそなどに含まれ る大豆イソフラボンのがん抑制作用が影響していると言われています。 まさに世界に誇れる日本食の底力です。最も重要なことはPSA検査 が 開発され、前立腺がんの早期発見が可能になったことです。PSA は前立腺がんマ-カ-と呼ばれ、採血だけで簡単に検査できますの で、50歳以上の男性は1-3年こ゛との定期検査を!(北見医師会長)