15年目の「甲子園」 聖地 全国の若者熱い視線
「写真甲子園は恋人なんです」。大阪市立工芸 高校撮影研究会の生徒たちは、3年ぶりとなる “恋人”との再会に、胸を膨らませている。「先輩 たちの果せなかった優勝を、今年こそ勝ち取る」。 カメラを手にした高校生の暑い夏が、また始まろ うとしている。
毎夏、上川管内東川町を主舞台に開かれる全国高等学校写真選手 権大会「写真甲子園」(同町、北海道新聞社などの実行委主催)。 15回目の今年は46都道府県から過去最多の252校が応募。提出 作品をプロ写真家が審査する初戦を経て、14校が7月末、東川町に 入り、生徒3人と教諭が合宿しながら作品を仕上げる。同校は初回の 1994年から毎年応募してきた常連高で、本選出場も11回と大会最 多を誇る。しかし、2006、07年と2年連続で初戦敗退。雪辱を期す 今年は、部員29人のうち9人が出場を希望し、2月ごろからテ-マ設 定や撮影など準備を始めた。初戦に向け撮影した作品は約三万枚。 提出前に、作品を入れた封筒を9人が交代で胸に抱きしめ初戦突破 を祈った。願いは通じ、本選に出る3人を選んだが、選に漏れた6人も 「出場者と同じ夏を体験したい」と、“聖地”東川を訪れ独自に撮影す るという。「写真甲子園が人生を決めた」と振り返る出場経験者は少な くない。05年に優勝した旭川工業高校のメンバ-だった北川真利さん (20)もその一人。建築士を目指していたが、出場を機に写真家を志し、 現在は日大芸術学部写真学科で学ぶ。「全国の写真を目指す仲間と 知り合い、競い合ったのが刺激になった」高校生が写真を発表し、評 価される機会には高文連や一般の写真コンテストもある。帯広南商業 高写真部顧問の西島啓喜(58)写真は本来、作品だけで審査される。 だが、仲間と一緒に取り組むことで生徒は成長する」と、この大会なら ではの魅力を語る。同校も今年、2年ぶり二度目の本選出場を決めた。 生徒たちは、カメラの操作技術や撮影方法をあらためて研究、「甲子 園必勝法」と名付けてまとめている。“聖地”に注ぐ一途な視線がまぶ しい。
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