目の負担 全身に影響=當瀬規嗣解説
人はさまざまなことで体に疲労を感じます。でも感覚は疲労しにくい ものです。においを感じたりや音を聞いたり、暑さ、寒さを感じたりし て体に疲労を感じることはほとんどありません。ところが、目では「疲 れ目」とか「目のかすみ」とか、疲労を感じることがよくあります。目そ れ自体の疲れだけでなく、目を使いすぎると全身に倦怠感や疲労感 を感じます。昔、私が診療現場にいたとき、野球部所属の男性中学 生が体の不調を訴えて受診しに来ました。ひどい頭痛とふらつき、そ して吐き気でした。原因は目の使いすぎでした。彼は夜遅くまで、暗 い中で守備練習を毎日繰り返していたのですが、それが目の負担に なったのです。そこで「明るいときにだけ練習するように」とアドバイス すると、すぐに症状はなくなりました。こうした目の疲れによって症状 が全身に出るような重いものを「眼精疲労」といいます。目の使いすぎ が全身の症状に表れやすい理由の一つとして、目を働かせるために は脳や神経が盛んに活動することが挙げられます。脳波検査でみる と、目を開くだけで、それまでゆったりとしていた脳波の波が、細かく 速く振れるようになります。脳の働きが盛んになつた証拠です。また、 目のピントを合わせて、物を細かく見るためには自律神経が働きます。 目を使いすぎて負担がかかると、頭痛、吐き気、ふらつきなどの自律 神経に関連した症状が出るのです。近視や老眼で見えにくい方は、 脳や体にも負担がかかっています。我慢しないで医師に相談してくだ さい。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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