熊谷 達也 著 「いつかX橋で」を読みました。
土屋祐輔は、貧しいながらも大学進学を夢見て勉強に励む学生だった。
しかし、空襲で一夜にして母と妹、父が残した家を失ってしまう。
仙台駅北のX橋付近で靴磨きを始めた祐輔は、特攻隊の生き残り「特攻くずれ」の彰太と出会う。
堅実に生きようと靴磨きを始める元優等生と、愚連隊の旗頭となり不良街道まっしぐらな正反対の二人。
戦争がなければ出会うはずのなかった二人は、やがて互いにとってかけがえのない存在となっていく。
パンパン・ガール、GI、愚連隊、人々で賑わう闇市―
終戦直後の仙台で、少年たちは絶望から必死で這い上がろとする・・・。
太平洋戦争末期そして戦後の混乱期にかけての仙台が舞台です。
読んでいて、どうしても昨年の3.11震災の事が重なりました。
不遇な時代に選ばれてしまった人間たちは
小さな幸せを得るためには大きな苦難を乗り越えなくてはなりません。
人生とは何か、幸せとは何か、一体何が希望となり得るのか・・・
終戦後の焼け野原で恋愛に、友情に、そして己の人生に
悩みながらも、逞しく成長してゆく若者たちの生きざまが描かれてゆきます。
しかし、ラストがハッピーエンドとはならなかったのが残念でした。
実話を元にした小説なのかも・・・。