宮部 みゆき 著 「名もなき毒」を読みました。
犬を連れ、散歩途中の老人がコンビニで買ったウーロン茶を飲んで悶絶死した。
首都圏で発生していた無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。
今田コンツェルンの社内報を編集する杉田三郎はこの犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから事件に巻き込まれる。
いっぽう杉田の職場ではアルバイトをしていた26歳の娘をミスが多発するためにクビにしたことから、彼女の執拗、病的なクレームに編集局一同が振り回されている。
彼女の異常な嫌がらせはやがて禍々しさが加わり杉田の家庭にまで入り込んでくる・・・。
冒頭の無差別連続毒殺事件の謎解き物と思いきや・・・・
読み進める内に単なる「毒薬」だけではなく、現代社会に潜むあらゆる「毒」について語られてゆきます。
家の中の「毒」=シックハウス、土の中の「毒」=土壌汚染 等々・・・
中でも一番性質が悪いのは、人の心の中に潜んでいる「毒」。
「不平」・「不満」・「妬み」・「嫉み」・「嫉妬」・「怒り」・「自己愛」
「毒」とはなにかを考えさせられるストーリー展開はさすがです。
吉川英治文学賞受賞作。