ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

手形の偽造者からの取得者

2009年11月08日 00時05分38秒 | 商法
手形の偽造は苦手です。


手形受取人から窃取した者が、受取人になりすまして裏書譲渡をし、取得した所持人。


#これは裏書譲渡が偽造だと思うのですが、人違いとの記載もあり。

原則:偽造による手形行為は無効。

しかし、手形面上偽造かどうかは不明であるため、取引の安全を保護する必要がある。
では、手形所持人はいかに保護されるか。


善意取得が偽造にも適用されるなら、善意取得により保護される。
(ここが合っているか不明です。)

善意取得は偽造には適用されないとするなら、手形所持人は手形上の権利を取得しない。


本人に対する責任追及は、表見代理の類推適用又は、権利外観法理(①外観の存在、②外観作出の本人の帰責性、③外観に対する信頼)によって保護される。

②本人の帰責性は手形の保管に認められる。

外観に対する信頼は、重過失は悪意と同視し得るため、善意、無重過失であること。


また、偽造者は8条類推適用によって手形債務を負担する。

∵8条は本人の手形債務負担の外観作出に対する無権代理人の法定責任であるが、偽造も本人が手形債務を負担するかのような外観を作出した点においては同じである。


善意取得で有効に手形上の権利を取得したならば、偽造者に対して手形債務を請求し得る。

もっとも、民法117条2項との均衡上、手形所持人は偽造について善意、無過失であること。


善意取得の偽造への適用が無い場合で、本人に責任追及し得る場合には、偽造者への責任追及も8条類推適用で認められる。

この場合も民法117条2項との均衡上、善意、無過失が必要。




このように考えると、善意取得を認めた方が手形所持人の保護が重視されますね。

ただ、私は善意取得は、前主の無権利のみ治癒するという立場なので、権利外観法理によって、本人への責任追及が認められない限り手形所持人は保護されないという結論になってしまいます。