ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

基準時

2009年11月10日 22時45分15秒 | 民訴法
甲は乙に土地所有権確認訴訟をしたが、棄却判決を得て確定した。

その後、甲は基準時までは土地の所有者だったとして乙に土地利用代金を請求した。


甲の訴えは既判力により遮断されるか?




キーワードは既判力、争点効、基準時、信義則。

この場合も争点効を考える。


まず、既判力は基準時に訴訟物の存否を確定するものであるから、基準時前の訴訟物の状態には既判力は及ばない。

しかし、前訴で基準時前の訴訟物の状態については主要な争点として攻撃防御を尽くしたのに、後訴で争えるなら紛争の蒸し返しになる。

そこで、争点効→不明確、萎縮的硬直した審理のため否定。


既判力の根拠は手続保障、自己責任。
よって後訴は信義則に反するから不可。

二重訴訟

2009年11月10日 20時21分20秒 | 民訴法
二重訴訟の禁止


乙は甲に500万円の代金支払請求していた。
甲は乙に対する1000万円の貸金を相殺するとの主張をした。

さらに甲は別訴で残りの500万円の貸金返還請求を提起した。
甲の訴えは認められるか?



これは考えたことがなかったです。
二重訴訟と一部請求。



142条の趣旨と事件の範囲を記述。
相殺に利用するのは反対債権であり、別個独立の債権。
よって係属する事件ではなく、142条は直接適用ない。

しかし、相殺の抗弁は既判力が及ぶ。
抗弁を提出後、別訴提起すれば判決の矛盾・衝突があるため、142条の趣旨から認められない。
よって142条を類推適用して別訴は認められず、弁論の併合をすべき。


しかし、相殺の抗弁は対等額にのみ及ぶ。
とすると、別訴がその対等額とは無関係な範囲を訴訟物とするなら既判力の矛盾・衝突はない。

この場合は?

一部請求の訴訟物を記述。

一部請求における訴訟物を明示的表示があれば可能とすると、別訴の訴訟物は残部500万円である。
よって先の訴えとの判決の矛盾・衝突はない。

したがって、別訴は認められる。


ここまででもOKだと思うのですが、142条の趣旨の被告の応訴の煩、訴訟不経済を考慮すれば、甲は反訴として残部請求するのが適切。

とすれば、残部請求の別訴は、かかる趣旨から先行する訴えにおいて甲が反訴すればよく、甲の別訴は認められない。
よって弁論を併合すべきである。

とするか、


142条の趣旨から考えた事件とは、訴訟物が異なる以上、処分権主義を当事者に認めたことに鑑み、訴権の濫用となる特段の事情がない限り、別訴を認めるべき。

とするかは好みでしょう。