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”少年たちはそのスタジアムのトラックで走る事を夢見た。
いつか、そこで走り、記録を破る。
しかし、やがて自分はそこで走る事はないだろうという事を知っていく。
別の少年たちは、そのスタジアムのピッチでボールを蹴る事を夢見た。
いつか、そこでボールを蹴り、ゴールに突き刺す。
しかし、やがて彼らも、自分はそこでボールを蹴る事はないだろうという事を知っていく。
少年たちは夢を胸に納め、大人になっていく。
そしてある日、そのスタジアムで開催されている特別なゲームを見にいく事になる。
自分の夢ではない、誰かの夢を実現する為のゲーム。
しかし、そのスタジアムの観客席に座っている間に、誰かの夢が自分の夢になっていく。
そのようにして、多くの「夢のゲーム」が行われてきた。
そして、戦う者と観る者の夢とが乱反射し、そのスタジアムは「夢のスタジアム」になっていったのだ。
それが取り壊され、今、新しいスタジアムが完成した。
しかしそこは、まだ「夢のスタジアム」にはなっていない。
トラックに走る者の汗が染み込む事もなく、ピッチに戦う者の涙が流された事もない。
なにより、観客席に観る者たちの喜びや嘆きの声が反響した事がないからだ。
だが、やがてそこも一歩ずつ、「夢のスタジアム」への道を歩んでいく事だろう。
そこで、私たちにとっての掛け替えのない「夢のゲーム」が行われていくかぎりは”
これは、「夢のスタジアム」とタイトルが付けられた沢木耕太郎さんの詩である。
東京オリンピック開催まで半年あまりとなった去年の冬、NHK取材班はあるミニ番組を制作する事になった。
でも、その番組にはストーリーが必要だった。幾度となく歓声がこだましてきた競技場の変遷を物語るストーリーが・・・
それこそが、この沢木さんの「夢のスタジアム」でした。
心躍る事のないオリンピック
沢木さんは、1964年のオリンピックの頃は東京の高校生で陸上部でした。
しかし丁度その頃、オリンピックの為に国立競技場が改修作業に入り、都大会の際に使用できなくなった。その結果、沢木さんは国立競技場のトラックを走る事ができなくなってしまう。
その無念の思いが、この詩の「夢のスタジアム」に染み込んでる様に思える。
しかし、悲劇は更に続く。
沢木さんのこの国立競技場への思いを軸に、「夢のスタジアム」の終わりと誕生を伝える番組が完成した。しかし、世界は新型コロナウィルスの感染が急激に拡大し、3/24には東京オリンピックの1年延期が決定し、番組の放送も取りやめになった。
いま、東京オリンピック開催について賛否の議論が交わされている。番組の作り手としては、再放送を願うものの、選手と観客が作り出す「夢のスタジアム」のメッセージは受け入れてもらえるのだろうか?
沢木氏は、”確かに、微妙な違和感はあるかもしれませんが、もし可能性があるのなら、あまり外部状況を気にする事なく、世の中に出してみてください”と語る。
流石に、沢木さんらしいコメントである。
フォロワーの記事「沢木耕太郎、五輪を語る」によれば、その沢木さんもオリンピックに関しては、”これまで幾つものオリンピックを取材してきた。・・・その様々な競技を取材して書くという事には、心が躍るようなものはなかった”と、週刊文春の中で述べている。
更に、心が踊らない理由として、
”2020年の東京大会には、東京都民の意義が希薄なら、国民からの熱い支持もない。かつて東京都知事だった人物(石原慎太郎)の人気取りの放言に過ぎなかったものが、都民の国民の願望の様なものに祭りあげられてしまった。
苦しまぎれに<復興五輪>などという題目が生み出された・・・更に、コンパクトでエコな大会にするとのフレーズが叫ばれたが、巨額の費用がつぎ込まれ、それも破綻した”と語る。
沢木さんにとって今回の東京五輪は、”かつてない程の惨めな”大会とも語る。
そして、”惨めで哀れな大会だからこそ、最後まで全てを見届けてあげるべきなのか”と締めくくる。
沢木さんのオリンピックへの”冷めた”愛情がよく滲み出たコメントでもある。
IOCだけが潤うオリンピック
そういう私は五輪開催には反対である。勿論、延長にも反対である。商業五輪と成り果てたロス以降の大会は、五輪そのものに魅力も感動も感じなくなっていた。
それに、IOCのボッタクリ契約にはウンザリだ。開催国に利益のないオリンピックなら尚更だろう。
開催国日本の五輪中止の権利すら、契約には盛り込まれてはいない。IOCだけが潤うオリンピックなんて、最初からない方がマシだ。
ここに来て米メディアも、”東京は拒否権を行使すべきだ”と、IOCを痛烈に非難する。
米有力紙ワシントンポストは5日のコラムで、日本政府に対し”東京五輪を中止するよう”促した。IOCのバッハ会長を”ぼったくり男爵”と呼び、”新型コロナ禍でも開催を強要している”と非難した。
IOCは、収益を得る為の施設建設やイベント開催を義務付け、”収益の殆どを自分たちのものにし、費用は全て開催国に押し付ける。故に、日本政府は五輪中止で<損切り>をすべき”と訴えた。
更に、日本は既に”250億ドル(約2兆7千億円)をつぎ込んだ”とし、今後膨大なコロナ対策費用が嵩むとの見通しを説明し、”観光収入も見込めない”とした。パンデミックの中でオリンピックを開催するのは、”非合理だ”として、日本は少なくとも規模の縮小か延期に向け、”IOCと交渉できる立場にある”と主張した(日本経済新聞)。
五輪に否定的な報道は米国で相次ぎ、NYタイムズ紙は4月、コロナ禍の五輪開催は最悪のタイミングで”一大感染イベントになる”可能性があると指摘。サンフランシスコ・クロニクルは5月、世界で新型コロナの影響が長期化する中、東京五輪は”開催されるべきではない”との記事を掲載した。
最後に〜夢で終わるオリンピック
私も米メディアと、殆ど同じ事を何度も書いてきた。
しかし、過去数多くの五輪を取材し、アスリートと同行し、彼らを描いてきた沢木氏からすれば、いや元陸上選手の沢木さんからすれば、”心躍る事のない惨めな大会だとしても、<近代オリンピックの終焉>してみれば悪くはない”とも語る。
でも私にすれば、このまま何もしないで、近代オリンピックもボッタクリのIOCも消滅してほしい気もする。
”飛ぶ鳥、跡を濁さず”じゃないが、何事もなかった様に潔く消え去ってほしいと思うのは、私だけだろうか?
変異株が猛威を振るう中、選手を含め、9万人にも上る外国の関係者や要人を東京に一括して招き入れたら、東京五輪は”感染五輪”と化し、確実に医療は崩壊する。
全ては、石原慎太郎の五輪誘致から始まった。滝クリの”オモテナシ〜”が火を点け、安倍晋三が後押しした。
しかし、”夢で終わるオリンピック”になるのは明らかだった。
沢木耕太郎氏が描いた「夢のスタジアム」は今、悲しくも儚い幻想として終焉を迎えようとしている。
近代オリンピックがこういった形で終焉を迎える事が理想的なのかはわからない。
しかし、今回の東京オリンピックを追い詰めたのが新型コロナウィルスではなく、腐りきったIOCの金満体質にあった事だけは確かだろう。
「夢のスタジアム」は、そうしたIOCの腐った土壌の上で、延々と繰り広げられ、次々と開催国を食い物にしてきたのである。
それでも、日本のメディアは日本政府やIOCと同じく、”コロナに打ち勝った証として”の五輪開催に拘り続ける。
バツの悪い事にNHKは、聖火リレーや五輪予選をゴールデンタイムで派手に流し続ける。事実、NHKの番組スタッフは、1日も早く、新国立競技場が「夢のスタジアム」になる事を願うと語り、コラムを締め括る。
東京大会が中止になったまま、近代オリンピックが消滅するのがいいのか?
それとも、我らがしっかりと見届けた後で、消滅した方がいいのか?
「夢のスタジアム」は、我ら日本人が思ってる以上に、脆く壊れやすいお祭りだったのかもしれない。
復興五輪どころか感染五輪。
さすが米メディアは日本のメディアとは違い、鋭いとこを突く。
石原慎太郎はこの状況をどう見てんのかね。それに滝川クリステルも外を歩けんだろう。
オールジャパンの安倍も反論のしようがないよな。
でも夢は儚く消えるから夢なんだよな。
ただ、今回の米メディアのIOC批判は世界の世論を動かしそうな勢いで、各国の五輪参加にも歯止めが掛かりそうな勢いですね。
放映権を一手に牛耳るNBCも、IOCに支払う東京五輪のTV権料は1200億円ほどとされ、もし中止になり、放映権者がTV権料の返還を求めた場合、組織委は拠出金850億円をIOCに払い戻す契約になってます。
つまり、中止になってもIOCは潤うんですね。しかし今回は、開催しても無観客でコロナの影響も重なるので、放映権料の下落は避けられず、NBCも大打撃です。
故に、米メディアはIOCに噛み付いたんです。”搬出金なんて払う必要はない”と。
でもこれは違約金ではなく、IOCが組織委に支払った拠出金で、IOCがNBCと契約した放映権料の約9割とされる。
転んだ君が言うように、東京五輪のTV権料が1200億円として、その9割なら1080億円となる。ということは多少は間引きしてるのかな。
NBCは90%のCM権料だけで、既に1300億を稼いでるとの噂。
ただ、日本もIOCには高額な賄賂を渡してる筈で、拠出金850億は払わなくとも、バチが当たることはない。
故に、中止した時の損切りをIOCやスポンサーや米国TVネットに背負わせろという、米メディアの主張も理解できる。
香港の長官が発言していました。
つまり中止になれば電通が損害を負う。
中止になれば、コカコーラなどのスポンサー企業から賠償請求される可能性がありますが、請求すれば不買運動などにも繋がりかねず、躊躇するかもしれません。
いずれにしても、組織委員会は中止にした場合の損害金額を明らかにする必要がありますよね。
あとは開催した場合の費用も。
僕はテロやコロナ対策費などで開催した方が高くなる気がしています。
カネ、カネ、カネのオリンピック。
沢木さんのおっしゃるとおり、東京五輪が「近代五輪の終焉」になりそうですね。
それに、もし中止になり日本が拠出金を払う事になったら、IOCもその腐った財布事情をさらけだす必要がありますね。
それか、払わないで国際世論を味方に付け、裁判で争うか?そっちの方が腐った膿を出すのに好都合だとも思いますが。どうでしょう。
だから電通は五輪開催に拘るんですね。
なるほどです。
テロ対策だけでもかなり高く付くのに、その上、コロナ対策でもっと高くつく。
再延長という手もありますが、そういうのも含め、どれだけ掛かるかの試算を公表してほしいですね。
言われる通り、東京五輪がIOCの終焉となりそうな勢いですね。
コメント有り難うです。
まずは無理でしょうから、でも日本政府は全てを曖昧にして開催に漕ぎ着けるんですかね。
IOCは1080億(1200億の90%)−850億(日本への拠出金)=230億円を踏んたくってるということかぁ
これに東京五輪組織委が誘致時にIOCに支払った賄賂が重なれば結構な額になるだろうな(?_?)
電通には東京五輪招致委からい9億近く渡ってたらしいです。そしてIOCへも2億以上渡ってるらしいです。
多分IOCへのロビー活動費でしょうか。
それに森前会長には1億5千万近くが振り込まれてます。
230億円というのは少し多すぎかもですが、結構な額の大金がIOCに振り込まれてるのは確かですね。