2ヶ月以上も前に見た夢だが、大谷翔平が夢に出てきたのは、昨年9月の”その22”以来、これで11回目である。が、ウンザリ感も拭えない。彼は人間的にもとても素晴らしいし、夢に何度も出てきたが、嫌な思いをした事は一度もない。
確かに、彼の偉業は異次元のレベルではある。昨年は44本&9勝でメジャーリーグMVPに輝き、(フルシーズン二刀流2年目の)今年も34本15勝とMVP当確とも言える超のつく偉業である。
MVPは誰の手に
しかし、今年に限ってはライバルのアーロン・ジャッジのインパクトが強すぎた。
ジャッジは今季62本塁打を放ち、ロジャー・マリスのアリーグ年間最多61本を61年ぶりに更新した。一方で大谷は、ルース以来の”2ケタ勝利と2ケタ本塁打”に加え、史上初となる”投打の規定到達”を達成。
どちらも歴史的な快挙だが、米大手メディア「Sporting News」の選手間投票では、大谷はジャッジに大差を付けられ落選した。
360人の選手が投票に参加し、66%がジャッジに1位票を、大谷は僅かに18%で2位となり、(日本人から見ればだが)予想外の結果となった。
確かに、チームへの貢献度を示すWARではジャッジの11.4は、大谷の9.4を超える。それでもこの大差落選の結果には”人種差別だ”と、首を傾げるメディアも少なくない。
ただ、オッズ(SBD)から見ればだが、開幕前から1番人気をキープし続けてた大谷は、シーズン中ずっとジャッジと1番人気争いをしてたが、7月末に追い抜かれ2位に落ちた。以降、9/18時点ではジャッジが大谷を大きく引き離していた。
因みに、10/2時点でのジャッジが−30000(1.003倍)で、大谷が+3500(36倍)というオッズを見せつけられると、今回の大差落選は当然とも言えなくもない。
一方で(私も指摘した様に)、ヤンキースとエンゼルスの違いもある。
メジャーで一番レベルが高いとされるアリーグ東地区のそれも最高の人気と選手層を誇るニューヨークと、レベルが一番低いとされるア西地区のそれも同じロスでもドジャースと比べればマイナー的扱いのアナハイム。
事実、大谷は強打ヤンキースが相手だと簡単に潰された。昨年は派手なアーチをかっ飛ばしたから、メディア受けも良かったのだろうか。つまり、”(低レベルの)ア西地区だから二刀流で成功した”というイメージが強いのか。
これと同じ様な現象は、イチローがメジャー年間最多安打262本を記録した2004年のMVP投票でも起きた。結果はまさかの7位に終わり、デビュー年以来の2度目の受賞はならなかった。
因みに、デビューの2001年は両リーグ最多242安打を放ち、首位打者(.350)と盗塁王(55)を獲得し、リードオフとして地区優勝に貢献した。
つまり、2004の再現が起きそうな気配である。勿論、メジャーのMVP投票はジャッジと大谷の2人の争いで決まりだから、7位ということはありえないだろうが・・・
確かに、”単打を何本打とうが本塁打には敵わない”という理屈も理解できなくはない。同じ様に、(34本と15勝の)二刀流でさえ、61本の超ド級のアーチには敵わないという事なのか。
しかし(個人的に言えばだが)、”歴史的な快挙を達成した”という理由で、ジャッジと大谷の両者に与えてもいいんじゃないかって気もする。
夢の中で〜再び
2ヶ月も前に見た夢の中で、打撃練習をしようと私はベンチの外に出た。
ある練習試合で、(いつもは控えの私だが)久しぶりにスタメン入りだったから、何とか結果を出したかった。
その試合ではDH(指名打者)という事で、打順が回ってくるまでは(暇なので)ベンチ裏で素振りをしてた様に思う。
すると、その試合で登板していた大谷がベンチ裏にやってきて、”僕が打撃投手を努めるから打ってみてよ”という。
私は戸惑った。
”それは無理ですよ。ベンチで肩を休めとかなきゃ”
私よりも一周り以上も大きい男は首を降る。
”今日は投げるだけでDHじゃないから、肩には全然余裕がある”
私たちは、ベンチ裏に隣接するこじんまりとした室内練習場に向かった。
私が打席に構えると、あの大谷が投げるではないか・・・”全力で投げられたら打てる筈がないし、普通に投げられてもカスるかどうか・・・”
練習で不安になるとうのも滑稽な話だが、彼の長く逞しい腕からゆっくりと投じられた球は、緩やかな放物線を描き、ド真ん中に心地よく入ってくる。まるで目を瞑ってても打てそうな、そんな優しい球だった。
”こんなにコントロールが良かったのか?”
私は快音を響かせながら、大谷の人間性と制球の良さに只々感心するばかりである。
お礼として、私も彼の打撃投手を努めた。
しかし、打撃オンリーの私は基本的にノーコンである。だからレギュラーにすらなれないのだろうが、それにしても制球が悪すぎた。
ド真ん中に投げてるつもりが、どうしてもゾーンを大きく外れる。それでも大谷は長いリーチを活かして難なくさばくではないか・・・まるで全盛期のイチローみたいだ。
私はとても申し訳なく思った。
しかし当の大谷は涼しい顔をし、笑いすら浮かべている。
”同じ野球選手として、こうも違うのか?”
そう思うと、その場から逃げ出したくなった。
丁度その時、夢から覚めた。
その2ヶ月後、再び大谷が夢の中に現れた。これで12回目である。
彼と私は、選手会が開催するある会合に呼ばれていた(様に思う)。
彼は(多くの現役メジャーが集う中で)ひときわ大きく目立って見えた。
MVPを当確にした大谷は、少し元気のない私に声を掛ける。
”いつも思うんですが、◯さんは悩み過ぎだと思う。これって余計なお節介かな?”
私は照れくさそうに答えた。
”いや、野球選手って現役の時は何不自由ない派手な生活ができるけど、引退したら(野球を除いたら何も出来ない)ただのプーなんだ。だから、どんな職を探そうかなと”
大谷は少し微笑んだ。
”そんな先の事、考えてもしょうがないですよ。怪我を考えたらプレイ出来ないのと同じ”
”そんな君だって、メジャー行きを決意した時、二刀流か否かで迷ったろう”
彼は大きく胸を張った。
”いや、全然。二刀流以外には何も考えていなかった。エンゼルスは私の要求を全て飲んでくれた。悩んでどうなるものでもない”
(私よりも若い)彼が羨ましく思えた。
”君は人間的にも出来てるから楽天的でいられるんだよ。俺みたいな半人前には羨ましい限りさ”
彼はここでも笑っている。
”身体は正直ですよ。思考よりはずっと素直に出来てる”
私は一本取られた様な気がした。
そこで、夢から覚めた。
大谷残留へ
(2ヶ月以上も前の事だが)今季の大谷翔平のエンゼルス残留が決まった。トレード期限が迫る中、来シーズン後にFAとなる大谷の動向に多くのメディアの注目が集まっていた。
大谷を上位チームとのトレードに出せば、若手有望株を複数獲得できる可能性が高かったが、球団は手放さなかった。
(個人的には)落ち着くべき所に落ち着いたかなという印象だが、獲得にはヤンキース、パドレス、Wソックスらが獲得に本腰を入れていたという。
だが、各球団の“本気度”には温度差があったのも事実。今では多くのチームがDHに主力打者を順番に起用する傾向があるが、エンゼルスはほぼ全試合を大谷が独占する。また、先発ローテも強豪チームは先発5投手の中4日だが、大谷は中6日が殆どである。
つまり彼を獲得すれば、チーム全体で選手の起用法を大幅に変える必要が出てくる。大谷の実力は疑いようがないが、シーズン途中で“大谷中心”に置き換える事は歯車が狂うリスクも伴う(スポーツ報知)。
各メディアでは様々な理由が囁かれてるが、残留の一番大きな理由は、(夢に出てきた様な)大谷の優れた人間性によるものかもしれない。
敏腕代理人を使えば、派手なマネーゲームも披露出来たであろう。ヤンキースが獲得すれば、史上最高額メジャーにもなれたかもしれない。しかし今回は、球団側も大谷の残留を強く望んだし、大谷もその意向に添った形となった(多分)。
因みに、エンゼルスは約60億円を提示したと見られる。オーナーからすれば、出来るだけ商品価値を上げ、より高く売りつけようとの魂胆もあるだろうが、こうした卑しい商魂は失敗に終わるケースも多い。
一方で、各球団が大谷獲得に不透明な何かを抱いてたのも確かだろう。
というのも、大谷の二刀流は今季で実質2年目である。そろそろ”二刀流の限界”を見極める球団も出てくるだろうし、来季オフにFAになる大谷獲得に慎重になる球団も出てくるだろう。
それにもし、エンゼルス以外の球団を選択し、怪我をして長期リタイヤにでもなれば、”二刀流の破棄”を強要されるかもしれない。
そう考えれば、来季までエンゼルスに残留するという彼の選択は正しかったとも言える。
最後に
しかしトレードに関しては、今や一番大きな要素は本人の意思と意向であろう。つまり、大谷は最初からエンゼルスを選択してたし、そういう人なのだ。
彼の人なりを支えてるのは、こうしたブレない心の強さである。
こうした内面的要素は、才能とか能力とか(目に見える)外的要素よりもずっと大切な要素と言えるのではないだろうか。
エンゼルスのファンは大谷を心底愛してるし、大谷も同じだろう。それに、二刀流は大谷と球団が合意して作り上げたプランだし、その延長上に彼の未来予想図も乗っかってる筈だ。
そういう意味でも、今回の大谷の決断は(夢で見た様な)彼の見事な人間性と崇高な品格を具現した結果とも思えなくもない。
MVPの翌年は地味な成績で、3年目はもっと平凡でした。
イチローの集大成である4年目は覚醒はしたんですが、内野安打の量産というトリック付きでした。
以来、”イチロー=内野安打”というイメージがシーズンを重ねる毎に強くなっていきます。
それに比べれば、大谷はずっと格が上の筈ですが、FAになる頃には二刀流の終わりを告げそうな予感も
メジャーの質の低下が色々と叫ばれる中、FAを行使せず、レヴェルの低いアリーグ西地区に留まってた方が本人の為の様な感じもします。
もうベースボールの時代は終わったと感じましたね。
アメリカの子ども達が言う様に、動きが少なすぎる。5日に1度しか登板しない先発投手も暇を思い切り弄んでるみたいで、選びぬかれたプロフェッショナルとはお世辞にも呼べないです。
そんな中、大谷だけが二刀流を貫いてんですが、ルースとは異なり、DH限定の半二刀流です。たまに外野でも守ってくれれば、インパクトもあったんでしょうが・・・
言われる通り、大谷の限界もそうですが、その前にメジャーリーグの限界説が浮上しそうですね。
MVPの候補は最終的に3人に選ばれましたが、余程のことがない限り、ジャッジの圧勝に終わるでしょうね。
2004年のイチローはMVPこそ逃したものの選手間投票ではアリーグの最優秀野手に選出されてます。
一応補足でした。
これだけ、前哨戦でブッちぎられると、流石の二刀流もインパクトという面でも不利でしょうか。
ただ、1995年の野茂と同じく、衰退の危機にあったメジャーを救ったという功績は後々も語り継がれるべきだと思います。