日本時間5月5日(日)にラスベガスで行われる、サウル•”カネロ”•アルバレス(メキシコ)とダニエル•ジェイコブス(米国)の世界ミドル級王座統一戦だが。一部のボクシングフリークを除き、殆どの人が無関心だろうか。因みにイラスト左がカネロで、右がジェイコブスです。
でも不思議と気になる試合にも思える。PPVが消滅し、カネロ神話が崩壊する記念の試合になる様な気がするからだ。
”新帝王”カネロvs”無敗の王者”ゴロフキンの2つ黄金カードは、双方共にPPV売上数が110万を超え、特に第一戦(2017)で両者が稼いだお金は70億円近くとされる。
しかし、PPVの売上は約147億円(130万件)で、史上最高額の2015年に行われたパッキャオvsメイウエザー(480億、440万件)の1/4強に過ぎない。
昨今のボクシング界では、これでも超のつくメガヒットだが、ベガスの”新帝王”と言われるカネロでも、ゴロフキン以外ではパッとしない。事実、カネロVSゴロフキンの再戦でも170万件のPPVが予想されたが、110万に終った。
PPVの消滅とDAZNの台頭と
”ボクシングとPPVの消滅”で別途ブログを立てるつもりだが、ボクシングのPPVを45年にも渡り仕切ってた、HBO(ケーブルTV)が昨年9月に撤退した。つまり、PPVの時代が終わったのだ。ボクシングの経済の基盤を支えてきたPPVがとうとう消滅したのだ。
HBOの代りに新たに登場したのが、ストリーミングサービス、つまりネットTVである。
この試合は従来の高価なPPV(90㌦)ではなく、アメリカのストリーミングサービスであるDAZNで生配信される。
”DAZNでは僅か10㌦でこの試合が見れる。PPVより安価かつ容易な形で視聴できる”との触れ込みだが。果たしてPPVに代るボクシングの経済的基盤になりうるのか?
昨秋にDAZNと11戦3億6500万ドルの契約を結んだカネロにとって、この試合がその2戦目となるが、1戦目のフィールディング(英)戦に勝ち、3階級を制覇したものの、DAZNの視聴者数は20万件と落ち込んだ。売上にして僅か200万ドル。挑戦者のファイトマネーにすら届かない?始末。
危機を感じたDAZNは、ゴロフキンと同等の実力を持つとされる、難敵ジェイコブスを相手に選んだ。
挑戦者のジェイコブスは、ゴロフキンほどのビッグネームではないが、ゴロフキンとの試合ではかなり高度なスキルとフィジカルを見せつけた(結果は僅差の判定負け)。
しかし以下でも述べるが、心の優しさがスタイルに露呈する。故にゴロフキンを追い詰める事が出来なかったし、逆に追い詰められた。
ゴロフキンの失墜とベガスの野望と
下馬評は、やはりカネロが有利だ。個人的には癌を克服したジェイコブスに勝ってほしいが、彼のコメントを見る限り、苦労人であるが故か、大人し目の発言が目立つ。
ラスベガスは大金が動き、あらゆる人種が渦巻く”腐敗した街”なのだ。勿論、そんな腐敗した街に君臨するのは、一度はドーピングに塗れ、聖地を追われそうになった”暴君”カネロ•アルバレスである。
しかしカネロは、メイウエザーに代る新たな”金になる男”である。ベガスは彼を見捨てはしなかった。つまり、ゴロフキン戦同様に判定で終わる限り、彼は負けないでいられる。
腐ったボクシングの聖地”ラスベガス”を浄化する為にも、ゴロフキンはカネロとの初戦をKOで飾るべきだった(結果は疑惑の引分け)。内容では圧倒してたが、彼はミスを犯した。
KOという獲物を逃した”無敗の王者”ゴロフキンに待ってたのは、陥落と言う二文字だけであった。勿論、カネロとの再戦(2018年9月)でもゲンナジーにはチャンスはあった。
しかし今度は、スケジュールに明らかに無理があった。つまり”腐敗した街”ラスベガスは、カザフスタン上がりの無名で純朴なゴロフキンに、最初から勝たせる気はサラサラなかったのだ。
あるコラムにあったが、このカザフスタン生まれの田舎者にベガスの帝王の荷は重すぎた。
勿論、初戦でKOしてれば、ゴロフキンはベガスの腐敗をフェイクを払拭できたであろう。そのチャンスも十分にあったはずだ。しかし、ポイントの上で優位と見たゴロフキンは勝負に逃げた。少なくとも私にはそう見えた。
判定ではカネロが有利だと判っていながらだ。勿論、ゴロフキンにレイ•レナードの様な華麗さがあれば、判定でも十分に圧倒できたであろうが。悲しいかなゴロフキンには華がない、アルバレスが持つある種の輝きがないのだ。
それでもゴロフキンは勝ち続ける事で、自身の強さをアピールしてきた。でも、強さから言えば、往年のハグラーやハーンズの比ではない。
格下の相手を圧倒しようが、そこに衝撃も新鮮味もない。つまり、ゴロフキンは王者としての単なる”駒”に過ぎなかったと言える。
”腐った街”ラスベガスと”新帝王”カネロ
”ラスベガスにはある種の悪意や汚職、腐敗があるんだ。それに特定のファイターに肩入れする悪しき歴史があるんだ”とは、カネロとジェイコブスの両方のトレーナを務めた事があるアベル•サンチェスの言葉だ。
そのサンチェスも今度の試合は、ウエイトと身長とリーチで有利なジャイコブスではなく、ハンドスピードで勝るカネロが有利と見る。
”商品価値がモノを言うアメリカのボクシング界。試合が接戦になった場合、現役最高の人気を誇るメキシカンにポイントは流れる”とのSエドワーズ氏の言葉通り、カネロに勝つには圧巻の支配的パフォーマンスが必要だ。
華麗で精密なディフェンスに加え、見栄えの良い連打を放つ”ベガスの新帝王”カネロを完全に崩しきる事は、”God of war=戦いの神”と称されたゴロフキンでも難しかった。ジェイコブスにそれが可能なのか。
”カネロに勝つには、8R以上を明白に奪わなければいけない”(エドワーズ)とは言い得て妙だ。
事実、ラスベガスは元々ギャンブルの汚れた金の街である。そしてボクシングも汚い腐敗した興行だ。故により多くの金を動かすファイターが優遇される。
今や強いファイターなんてお呼びじゃない。どちらが勝とうなんて、どちらが強いかなんて時代じゃない。金こそがファイトの全てなのだ。
そしてお金はフェイクとなり、フェイクはファイトの一部になった。それにボクサーもそのフェイクの奴隷に成り下がった。勿論、今や腐った街の新帝王に君臨するカネロもその一人だが。
そういった腐敗を打ち破るには、それらを破壊するかつてのフォアマンやハーンズやデュランみたいな”捕食者”が必要だが、ジェイコブスにはその雰囲気すらない。
事実、”KOか判定かは気にしない。ジャッジがフェアであればいいね”と呑気な事を言ってる。これじゃベガスの腐敗した闇に包み込まれ捨てられるだけだ。
そして王者のカネロは笑う。”奴は最初から敵じゃなかった。俺には腐敗した街が似合ってるのさ”と。
果たしてジェイコブスが勝つには?
そこで、ジェイコブスがカネロに勝つ秘訣を教えよう。あるコラムにはジェイコブスがバトルサイボーグになればと語ってるが。サイボーグになる必要なんて何処にもない。
要はカネロを打ちのめす勇気と知恵があるかが大きな問題だ。
しかしコメントを見る限り、ジェイコブスは馬鹿だ。せめて、”KOか判定かは気にしない。カネロが死なない事を祈るだけだ”とか言ってほしかったな。
さてとどういう展開にするか。”大場アナザーストーリー”ブログじゃないが、初回に一気に攻勢を掛ける。ウエイト差に物を言わせ、得意のロングフックでガンガン殴りまくる。とにかく序盤でまずカネロのリズムを狂わす事だ。パワーの差を見せつけ、カネロのプランを狂わす。
そして中盤は距離を取り、確実にロングジャブを当て、ポイントを稼ぐ。カネロが距離を詰めてきたら、精度の高いショートアッパーで迎撃する。そしてカネロが焦りだした終盤に一気に勝負を掛ける。
ゴロフキンはカネロとの2度の戦いで、序盤からプレスを掛けたが、カネロに上手くかわされた。何故か?ハンドスピードがないからだ。パワーはあるがスピードに欠ける為、追い詰める事もグラつかせる事もできなかった。それにゴロフキンはベタ足だから余計に距離を詰めきれない。
一方、ジェイコブスは黒人で長身(183)のスピードファイターだが、スイッチが出来る器用なパワーヒッターでもある。
傑出したハードパンチャーではないが、左右のフックとアッパーのコンビネーションはカネロを苦しめるに十分過ぎると思う。
ゴロフキンとの対戦では、ギャラや当日軽量にクレームをつけ、気弱な面を暴露したお陰で、いい所まで行ったが、最後はゴロフキンの気迫に押された形となった。
攻撃ではジェイコブス有利だが、デフェンスではカネロが圧倒するだろう。しかし防御を忘れる程に、アグレッシブに攻めるブルックリン流の下町ファイトにはとても好感が持てる。カネロにはない獰猛さだ。
”やるならやってやる、覚悟を決めて勝負だ”って開き直れればいいが、天性の優しさが苦労人特有のひ弱さが、試合に出なければいいが。
要するに、ジェイコブスには知恵と勇気が必要なのだ。知恵を絞り出し、勇気を絞り出す事が出来れば、自ずと勝機は見えてくる。ポテンシャル的にはゴロフキンよりも上だし、必ずカネロを倒せる。破壊する事も不可能じゃない。イヤそう思いたい。
ミドルがウエルターに勝てない筈がない。ミドルがウェルターに負ける試合なんてウンザリだ。
ジェイコブスよ今こそ、腐ったラスベガスとそこに君臨するカネロを粉砕すべきだ。捕食者が獲物を食い千切るように。そうでないと、ボクシングは絶滅する。
この試合に関しては、大方の予想通りカネロの判定勝ちですかね。
転んだサンの言うウェイト差ですが。カネロもウエルター上がりながら、結構ムキムキになってます。ドーピングが吉と出ましたかね。
ただ、下から上がってくるボクサーにKOを期待するのは無理ですから、試合は盛り上がりやスリルには欠けますが。
そういう意味では、ジェイコブスに初回からガンガン攻めまくって欲しいです。判定なら200%カネロですから。ジェイコブスが勝つには、カネロを何度もダウンさせるか、KOしかないです。
要はその度胸がジェイコブスにあるかなんですが。やっぱり疑問かな。
ボクシング好きなhitmanさんも結構詳しいですな。ま、余程のことがない限り、カネロでしょうが。
でも不思議と凄い事が起きるような予感がするんです。"キングストンの惨劇”程までじゃないけど、結局、腐敗しやすいボクシングの世界を浄化してきたのは、フォアマンやハーンズやデュランらの捕食者なんです。
それをジェイコブスに背負わせるには無理があるとは思うんですが。ゴロフキンよかは少しはマシかなとも思うんです。
でもやっは無理があるかな。DAZNに加入してまで見る気もしないもんな。
今やベガスの新帝王と呼ばれるカネロもゴールデンボーイとチヤホヤされたデラホーヤもメキシカンです。パッキャオもフィリピンです。
肝心のヘビー級もアメリカ独占とはいかなくなってます。
個人的には重いクラスでフォアマンみたいなプレデター級の破壊者が出てきてほしいんですが。
僅か10ドルでもカネロの試合は見ようとは思いませんね。余程の事がない限り、タイトルが動くことはないでしょうか。
200億以上を稼ぎ出したと言われるメイウエザーも24億の税金を払えなかったとか。もうボクシングに大金が流れる時代は終わったんですね。
そしてベガスもボクシングも腐敗し消滅する?