NHK「追跡!AtoZ」
3月6日土曜 午後10時00分〜10時43分にNHKで放映した「追跡!AtoZ」という番組をごらんになったであろうか?タイトルは「肥満は悪くない?」。
内容はとても興味深いものだった。「肥満=病気」という従来の常識が大きく変わりつつあるという。日本では今、「太っていないのに生活習慣病になる人」が急増している。一方で太っているのに生活習慣病と無縁の人もいる。この謎を解き明かすものと注目されているのが、皮下脂肪でも内臓脂肪でもない第3の脂肪、異所性脂肪だ。
強い毒性を持ち、心臓やすい臓など生命を支える大切な臓器に蓄積し、大きなダメージを与える。糖尿病の多くが異所性脂肪によって引き起こされている可能性も出てきた。しかもこの脂肪、日本人は特にたまりやすいことも分かってきた。
異所性脂肪の蓄積を防ぐ鍵は、実は皮下脂肪にある。エネルギー貯蔵庫である皮下脂肪にためきれない脂肪が、異所性脂肪となって様々な臓器にたまり、病気を引き起こすのだ。日本人は皮下脂肪の貯蔵能力が低いため、少し太っただけで異所性脂肪が蓄積し病気になりやすいと考えられる。
毒性が強く恐ろしい異所性脂肪だが、それを減らす方法は意外なほど簡単であることも分かってきた。食事と運動に少し気を遣っただけで、わずか3日で改善するのだ。第3の脂肪、異所性脂肪の正体に迫り、その対策も伝えていた。
異所性脂肪の正体
日本人は欧米人に比べて、やせているのに糖尿病になりやすい...というのはよく聞く話だがそれはどうしてだろう?番組では欧米人は脂肪細胞をたくさん持っていると指摘。過剰な養分は、脂肪細胞によってまず皮膚にため込まれる。欧米人に太っている人が多いのはそのためだ。皮膚にため込めなくなった脂肪は次に内臓にたまる。これが内臓脂肪だ。
日本人は脂肪細胞が少ないので、すぐに内臓に脂肪がたまりやすい。続いて内臓もいっぱいになると、次にたまるのがこの異所性脂肪。この脂肪は脂肪細胞ではなく普通の細胞にたまりだす。異所というのは脂肪細胞以外の場所という意味だ。こうなるとこの脂肪は、強い毒性を発揮する。
例えば心臓のまわりの組織細胞に異所性脂肪がつき出すと、途端に心臓の動きが悪くなる。さらに血管のまわりにたまると、動脈硬化を引き起こす。すい臓にたまると細胞を破壊し、インシュリンが出なくなるなどの現象が見られた。
脂肪がどうして細胞を破壊するのだろう?最新の研究では、細胞内の脂肪は分解し、脂肪酸がミトコンドリアに入り込むと、ミトコンドリアは数倍にふくれあがり最後には破裂してしまった。ミトコンドリアがなければ細胞は呼吸できず死滅する。異所性脂肪は細胞破壊の毒性を持った脂肪なのだ。
同じ脂肪でありながら、脂肪細胞の少ない日本人に多く見られる、内臓脂肪や異所性脂肪から、私たちはどうやって身を守ったらよいのだろうか?番組では、脂肪の多い食品を控える、毎日1万歩歩くということで、劇的に異所性細胞が減少することを紹介していた。
皮下脂肪とは?
皮下脂肪は皮膚の下にある皮下組織につく脂肪。体を外界との温度差から守る、ぶつかったときなどの衝撃を吸収する、生命維持に必要なエネルギー源となるなどの働きがある。
皮膚のすぐ下にある脂肪で、一度たまると落ちにくいのが特徴。男性よりも女性につきやすい。皮下脂肪は、備蓄エネルギー用のため、燃焼しにくいのが欠点。
皮下脂肪型肥満は内臓脂肪型肥満と比べて生活週間病などの原因にはなりにくく、外見上、肥満が目立ち、皮下脂肪の付き過ぎは骨格などに負担をかけるので良いとは言えない。
また、皮下脂肪が蓄積されて代謝されないままでいると、セルライトが出来やすくなるので注意。
内臓脂肪とは?
内臓脂肪は、お腹まわりの筋肉(腹筋)と内臓の間につく。そのため、外からではわかりずらく内臓脂肪がついているかどうかはCTスキャンなどで断面映像をチェックするかし方法はない。毎日ウェストサイズを計る事も内臓脂肪発見に参考になる。
内臓脂肪は、筋肉を動かすエネルギーとして使われるので脂肪酸の出し入れがしやすく、代謝が活発である。内臓脂肪は皮下脂肪と比べて、運動などである程度までは楽に落とすことができる。
参考HP NHK追跡 AtoZ 「肥満は悪くない?」
体脂肪が落ちるトレーニング―1日10分〈クイック→スロー〉で自在に肉体改造 石井 直方,谷本 道哉 高橋書店 このアイテムの詳細を見る |
内臓脂肪がなくなる筋力トレーニングBOOK 小山 勝弘 成美堂出版 このアイテムの詳細を見る |