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放鳥予定の「トキ」9羽死ぬ!犯人は「テン」問われる防犯体制

2010年03月11日 | 環境保護
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 トキの放鳥
 トキはかつて日本の北海道南部から九州・沖縄まで、ロシア極東(アムール川・ウスリー川流域)、朝鮮半島、台湾、中国(北は吉林省、南は海南島、西は甘粛省まで)と東アジアの広い範囲にわたって生息しており、18世紀・19世紀前半まではごくありふれた鳥であった。日本では東北地方や日本海側に多く、太平洋側や九州ではあまり見られなかったようである。

 しかし、いずれの国でも乱獲や開発によって19世紀から20世紀にかけて激減し、朝鮮半島では1978年の板門店、ロシアでは1981年のウスリー川を最後に観察されておらず、日本でも2003年に最後の日本産トキ「キン」が死亡したことにより、生き残っているのは中国産の子孫のみとなった。

 現在中国に生息している、またかつて日本に生息していたトキは留鳥であるが、ロシアや中国北部、朝鮮半島など寒冷地に生息していたトキは渡りを行っていた。また、日本にいた個体も一部は渡りを行っていた可能性が指摘されている。

 2003年10月10日朝、最後の日本産トキ(キン)の死亡が確認され、日本産のトキは絶滅した。佐渡トキ保護センターでは、将来的にはトキを日本に復活させることを目標としており、2007年6月末から「順化ケージ」での野生復帰訓練が始められ、2008年9月25日に放鳥を開始した。

 2008年9月25日、佐渡市小佐渡山地の西麓地域にて10羽を試験放鳥、1981年の全鳥捕獲以来、実に27年ぶりに日本の空にトキが舞った。

 トキを襲ったテン
 ところが、2010年3月11日、今秋の3回目の放鳥に向けた訓練のためトキを入れていた順化ケージ内でトキ9羽が死んでいたことが発見された。

 環境省はケージ内の足跡から、トキを襲ったのはイタチ科のテンと判明したと発表した。テンがどこから侵入したのかは不明で、同省は同日朝から現地調査を始めた。専門家を集めて今後の対策も検討するが、原因が判明しない限りトキの訓練は当面見合わせる考え。今秋の放鳥が見送られる可能性も出てきた。

 これまでの調査で、ケージ内の監視カメラに9日夕、ケージの南西側から小動物が走ってくる姿が記録されていた。トキは夜間、木の上で寝ているが、この日午後8時すぎから翌日午前5時45分までに、通常と異なるトキの鳴き声が10回にわたり記録されていることも判明。この時間に襲われたとみられる。同省は内部にまだテンがいるとみて、捕獲を試みるとともに、侵入経路を調べる。

 テンのハンティング本能
 ケージは広さ4000平方メートルで高さが最大15メートル。トキが自然に慣れるように、ケージ内は池や自然木など自然の状態に保たれている。トキは放鳥前に最低2か月間はケージ内ですごす。死骸(しがい)が見つかった時には、西側の放鳥口付近に小動物の足跡が集中し、その周囲に7羽の死骸が集中。残り2羽は離れた場所に倒れていた。

 テンの生態に詳しい新潟大学農学部の箕口秀夫(みぐちひでお)教授によると、テンなどイタチ科の動物は凶暴で、鳥類を襲う傾向があるという。

 箕口教授は「全羽食べないのに殺し尽くしている。イタチ科の動物の鳥類に対する“ハンティング本能”が表れた行動だ」と話す。

 テンは体長40~50センチの小型の哺乳(ほにゅう)動物で、日本ではほぼ全国に生息する。体が細長くて足が比較的短く、尾が20センチ程度の長さ。夜行性で、昼間は岩穴などで休んでおり、ネズミや小鳥などのほか、果実もエサにする。動きは速く、木登りもうまい。(2010年3月11日19時50分  読売新聞)

 2年前にはイタチ侵入
 新潟県佐渡市の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージ内で、国の特別天然記念物のトキがテンに襲われて死んだ事故で、3度目の今秋の放鳥に大きな暗雲がたちこめた。

 原因究明に相当な時間がかかるとみられ、トキの放鳥前の訓練に十分な期間が取れない上、死んだ9羽に代わるトキを、限られた個体から再選定する必要があるためだ。

 仮に中止になれば、国の保護増殖計画も見直しを迫られる。環境省は人工繁殖したトキを2008年から2回、計30羽放鳥。26羽の生存が確認され、今秋の21羽の放鳥が加わることで、来春に初のペア誕生を目指していたが、その可能性は低くなる。

 一方、同省は2008年にも順化ケージ内にイタチの侵入を確認していたが、公表していなかった。同省は、その理由として「大事に至らず、その後も事故がなかったため」としている。(2010年3月11日13時33分  読売新聞)

 

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