Yes,We Love Science!

自然科学大好き!「自然」は地球、宇宙、人、社会、宗教...あらゆるものを含みます.さあ、あらゆる不思議を探検しよう!

ここまで来た!再生医療「幹細胞」でブタに人の臓器をつくらせる?

2010年03月30日 | 健康
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 ブタに人の臓器をつくらせる
 衝撃的だった28日のNHKスペシャル「人体製造」。次に紹介する再生技術はブタに人の臓器をつくらせる医療技術だ。「ブタが人の臓器を?」そんなことができるのかと思うが、技術的に可能なのだという。そのしくみを研究しているのは自治医科大学の小林英司教授。

 ブタの胎児にでき始めた肝臓を破壊する。この胎児にヒトの幹細胞を注入するとなんと、ヒトの幹細胞が肝臓の細胞に変わって、ブタの中にヒトの肝臓をつくる。ブタは成長が早く、臓器の大きさもヒトと同じくらい。ブタにつくってもらった人の肝臓を、臓器移植して本人に戻すことができるという。

 動物実験では成功
 すでに、この技術、マウス、ネコなどの動物実験では成功している。2009年11月、さまざまな臓器になるネコの「間葉系幹細胞」を、ブタの腎臓の基となる細胞「腎臓原基」に注入し、ブタの体内でネコの腎臓組織を再生することに、自治医科大や東京慈恵会医科大などの研究チームが成功した。

 尿の生成も確認した。ネコの代わりに人の細胞を使えば、病気の腎臓に置き換える人工臓器作りに役立つ可能性がある。

 間葉系幹細胞は、骨髄などに含まれ、血管や筋肉などになる。この細胞は人にも存在する。実験では、腎臓原基(約1ミリ)を、妊娠中期のブタの胎児から取り出し、ネコの間葉系幹細胞を注入し、ブタの体内にもどした。

 すると、4週間後に腎臓原基が8~10ミリに成長し、血管が通ってネコの腎臓ができた。そして、 血液をろ過する糸球体や尿細管も形成され、尿がたまったことが確認できた。 (毎日新聞 2009.11.22)

 倫理的な問題
 さて、食糧にするわけでもないのに動物の命を、人の延命のために利用して良いのかという問題がある。これについて小林英司教授は「現在、貧困国では先進国の人のために、自分の臓器の一部を売買する問題が起きている、もはや躊躇している時間はない」という。

 さらに「日本での臓器移植の実施件数は極めて少ない。人工的に臓器を作り出し、難病で苦しむ患者の治療につなげたい」と話す。

 すでに自分の骨髄から幹細胞を取り出し、液体窒素で保存する「幹細胞バンク」ビジネスがスタートしている。お値段は50年間の幹細胞保存で180万円。この幹細胞から自分の人体のパーツをブタにつくらせて、何度でも交換できる。そんな時代がすぐそこまで来ている。

 再生医療とは?
 再生医療とは、胎児期にしか形成されない人体の組織が欠損した場合にその機能を回復させる医学分野である。

 再生医学を行う手法として、クローン作製、臓器培養、多能性幹細胞(ES細胞、iPS細胞、造血幹細胞)の利用、自己組織誘導の研究などがある。将来的には遺伝子操作をした豚などの体内で人間の臓器を養殖するという手法も考えられている。

 実例としては、熱傷の植皮のため、皮膚の表皮細胞を培養したい時、あらかじめ制癌剤を投与し増殖をストップさせたNIH3T3細胞を土台にすると、線維芽細胞による表皮細胞の駆逐を抑え、表皮細胞のみを増殖させることができる。

 これまでの再生医療
 この方法を用いてMIT(マサチューセッツ工科大学)のグリーン博士らは切手サイズの組織を3000倍に増殖させることに成功している。しかし、現状の皮膚培養では毛穴や汗腺の再生が不十分であり、より完全な皮膚の再生を目指して、研究がすすめられている。実用化が進んでいるのは皮膚培養だが、軟骨・関節の培養の研究も推し進められている。

 また、犬、豚などを使った実験で、あごの骨の細胞から完全な歯を再生することが確認されている(歯胚再生)。上田実らにより名古屋大学付属病院で実際に再生歯科外来が設けられている。埼玉医科大学総合医療センター心臓血管外科が、虚血性心筋症の男性患者の心臓組織に、本人の骨髄細胞を移植する再生医療に成功している。

 目の角膜を患った患者への治療としてドナーからの提供による角膜移植が行われているが、ドナー提供者が少ないこと、拒絶反応があることなどから、自己細胞を使った再生角膜による治療が試みられている。片目を患っている場合、もう一方の目の角膜の一部を採取して培養し移植する方法や、両目を患っている場合には口腔粘膜(幹細胞が多く含まれている)より採取した細胞を培養して移植する方法など、研究が進められている。

 国内では東北大学の西田幸二らと東京女子医科大学の岡野光夫・大和雅之らのグループや、慶應義塾大学の坪田一男らのグループ、京都府立医科大学の木下茂らのグループが有名である。

 最近骨髄中に間葉系幹細胞と呼ばれる接着性の細胞が存在しており、シャーレ上で特殊な培養を行うと骨芽細胞・脂肪細胞・軟骨細胞に分化誘導できることが報告された。また、骨髄以外にも様々な組織から体性幹細胞を得る研究が行われている。(出典:Wikipedia)

 

参考HP NHKスペシャル「人体製造」 ・Wikipedia「再生医療」

サクッとわかる!再生医療の仕組みと未来
才園 哲人
かんき出版

このアイテムの詳細を見る
再生医療へ進む最先端の幹細胞研究―注目のiPS・ES・間葉系幹細胞などの分化・誘導の基礎と、各種疾患への臨床応用 (実験医学増刊 Vol. 26-5)

羊土社

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please