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核燃料サイクル・プルサーマル計画に残された課題は何か?

2010年03月23日 | エネルギー
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 原発増設・核燃料サイクル計画反対?
 日本共産党の志位和夫委員長は3月21日、福井市で記者会見し、政府・経済産業省がすすめている原発大増設計画、核燃料サイクル政策を中止し、自然エネルギーの本格的利用への政策転換をおこなうことを、強く求めた。

 原発は技術的に未確立で安全性が確保されておらず、放射能汚染という深刻な環境破壊をもたらす。放射性廃棄物の処理・処分方法も未確立であり、わが国が有数の地震国であることにてらしても、原発大増設の計画は無謀で危険極まりないものである。また稼働率の引き上げは、原発の定期検査間隔を大幅に延長し、老朽化した原発を酷使し、事故につながる危険なものである。

 一方で、政府は、すでに破たんが明瞭となった核燃料サイクル政策に固執している。高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開を強行しようとし、2015年度までにプルサーマル運転を、16~18基の原発で実施する計画をすすめ、すでに一部の原発ではプルサーマル運転が開始されている。

 欧米各国では、技術的困難、危険性から、高速増殖炉開発を中止している。日本も、この危険な計画から撤退すべきである。危険なプルサーマル計画はすみやかに中止すべきである。(2010年3月22日 赤旗)

 確立していない自然エネルギー利用技術
 政府がすすめようとしている、原発増設・核燃料サイクル政策。志位氏がいうように、たしかに危険なことはわかる。自然エネルギーの本格的利用も大賛成である。しかし、自然エネルギー利用の技術確立までの間、すでに発電量の30%をになっている原子力発電を利用することはよいことだと思う。

 太陽光発電のエネルギー効率は10%程度。風力発電で20%、原子力も実は30%程度、火力が一番よく50%以上だという。原子力はCO2を出さないので注目されている。あまり知られていないが、太陽電池をつくるのに大量のCO2を放出している問題もある。

 もし、技術確立をいうならば、自然エネルギーの技術確立こそ一番遅れている。太陽電池が一番期待されているが、もう少し効率を上げてからでないと本格利用にはならない。風力発電は風がなくても強すぎても使えないなど、天候に左右されるのが問題だ。
 
 確立していない高速増殖炉
 志位氏は核燃料サイクル政策は破綻していると書いてあるが、私はまだそうは思わない。現に「プルサーマル」は、現在イギリスとフランスで行われているし、これまでのところ重大な事故は報告されていない。

 だが、MOX燃料を高速中性子で燃やす「高速増殖炉」については、計画は確かに遅れている。世界的に見ても取り組んでいる国は少なく、アメリカ、フランス、イギリスなど計画を中止した国も多い。我が国の「もんじゅ」もストップしたままである。

 高速増殖炉は技術的に金属ナトリウムの管理方法が難しく、社会的にも核兵器に利用できる、プルトニウムを燃料とすることから危険性も高い。

 しかし、科学技術を発展させ、命をかけても人類に貢献したいという人にとっては、捨てがたい魅力がある。私もその一人である。

 稼働しない核燃料再処理工場
 使用済み核燃料を再処理してMOX燃料に加工する作業は、現在イギリスとフランスの会社にまかせている。2015年以降は国内で行う予定だが、青森県六ケ所村に建設中(2010年10月完成予定)の再処理工場が動き出す見通しが立っていない。

 再処理工場とは、使用済み核燃料からウランとプルトニウム、高レベル放射性廃棄物を取り出す重要な施設。ところが、使用済み核燃料を溶かす炉がこわれたり、放射性廃液が建物内にもれ出たりとトラブル続きだ。運営する日本原燃は2009年8月、14回目の完成延期を発表した。

 地元の反対も強く、本格的な実施の見通しはたっていない。さらに、MOX 燃料を燃やしたとしても、その燃料を再処理する施設も、現在その計画すら存在しない。
 
 日本にないMOX燃料工場
 青森県六ケ所村では、再処理工場で取り出されたウランとプルトニウムをMOX燃料に加工する工場の建設がまもなく始まる(2015年6月完成予定)。本来なら2007年に着工するはずだったが、国の耐震指針が変わったため、安全審査が長引いた。

 プルサーマル専用の大間原発を「Jパワー」が青森県大間に建設を始めた。大間原発はMOX燃料を100%使用する世界初の原発。2014年11月に営業運転を開始する予定だ。
 
 高レベル放射性廃棄物最終処分場が決まらない
 最終処分場とは、再処理工場から出た核のごみ「高レベル放射性廃棄物」を最終的に地中に埋める施設。ガラスと溶かしてステンレス容器に入れるが、放射能がウラン鉱石と同じレベルまで減るのに数万年かかるという。

 この最終処分場建設を引き受ける市町村がない。建設が決まれば国などから巨額のお金が入るため、財政難に苦しむいくつかの市町村で誘致の動きが出たが、住民の反対で実現しなかった。2007年に高知県東洋町がいったん応募したが、推進派の町長は選挙で落選。応募を受けて調査が始まったところはない。

 プルサーマルは4カ国で先行 アメリカは見直し
 プルサーマルは1963年にベルギーで始まり、海外ではフランス、ドイツ、アメリカ、インドなど9カ国で導入された。日本でもMOX燃料は試験的に使われ、2007年までに世界57基の原発でMOX燃料の集合体6018体が使用された。

 商業用にプルサーマル発電を行っているのは、フランス、ドイツ、ベルギー、スイスの4カ国。中でも圧倒的に多いのがフランスとドイツで、2007年までにフランスは3割以上の原発でプルサーマルを導入し、MOX燃料2894体を使っている。ドイツは2220体。今までのところトラブルは報告されていない。

  脱・核燃料サイクルめざすアメリカ
 オバマ大統領 アメリカは2009年4月、オバマ政権が核燃料サイクルの見直しを表明。使用済み核燃料の再処理施設やプルトニウムを燃やす高速増殖炉の計画を取りやめた。プルサーマルも商業使用は行っていない。理由は、核がテロなどに悪用される不安がぬぐえないため。計画推進にばく大なお金もかかり、景気対策を優先するオバマ政権は「現実的でない」と判断した。(毎日新聞 「核燃料サイクル・見えない先行き」)

 

参考HP Wikipedia「プルサーマル」「高速増殖炉」・毎日新聞ニュースがわかる「核燃料サイクル・見えない先行き」 

核燃料サイクルの闇―イギリス・セラフィールドからの報告
秋元 健治
現代書館

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核燃料サイクル20年の真実―六ケ所村再処理工場始動へ (電気新聞ブックス)
塚原 晶大
日本電気協会新聞部

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