第36作目の甲州石班澤です。
山梨県南巨摩郡 鰍沢
石班澤(鰍沢)は、釜無川と笛吹川などが合流して富士川の荒波となります。
岩に波がぶつかり激しく泡立っています。
荒波とは対照的に岩場で漁師が黙然と一人網を打っています。
漁師の背中から頭、そして手元からピント張った網へとつながり、三角形を描いています。
その相似形が遠景の裏富士として描かれています。
緊張感をもって網を打つ孤高の漁師に対して、岩場で魚籠をのぞく子どもが全体の張り
つめた感覚をやわらげております。
初摺は藍一色に摺られ、北斎の藍摺の中でも最高傑作と評されていますが、後摺では
雲間に橙色が引かれるなど色数が増やされています。
少しアップしました。
原画です。
解説は、「葛飾北斎 富嶽三十六景 解説付き」から引用しました。
絵を観て川の波が前の神奈川の大波とは作り方を変えないとダメと判りました。
波の高さは原画より大きくなりましたが、我が技術と紐の限界でした。
漁師は楽しく作りました。横で子供も釣りをしているようです。
富岳36景という題目ですが、実際は46景までありました。
売れ行きがよくて続編になったんでしょうね。
波が山のようになり、先から丸くなって打ち付ける感が素晴らしいです。紙紐に見えません。
それから漁師の糸を引っ張って魚を取ってる動作が原画そのものでびっくりです!
次作もご期待ください。
記事を遡って、あの有名な『神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)』の作品も改めて見ました!
…確かにあちらは「土台=波」なくらい波が大きな作品でしたね、今回は人との対比上の限界に挑戦した感じで。
これ以上細くするには全ての紙紐は細く加工して作る事になりそうで…それは困難多難な気がします(素人の感覚で汗)
ash様のおっしゃってますが、人の格好の作り方が巧い・雰囲気がとても出ている!と。
今回も楽しく拝見させていただきました!作品と閑斉様に感謝を!
皆さまの励ましで何とか製作が継続できております。
北斎の絵の綱はピンと張っていますが、私のはダランとなっていて緊張感が薄れますね。
製作中は、紐を張るのに精いっぱいで、糊付けしてから毎度「アチャ-!」ですね。
北斎は藍色が美しい、と、他でも読んだか聞いたかの覚えがあります。その意味では、これはやはり最高傑作なのでしょうね。初刷ではなかったという雲間の橙色が美しいです。ashさんのいわれるように、人物の姿勢が本物の人間の動きそのものと感じます。
そうなんです。まだまだ作れるんです。
雲間の橙色まで眼に留めていただいて感謝です。
だんだん手が抜けなくなっています。