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「5番目の女」上下 ヘニング・マンケル 柳沢由美子訳 創元推理文庫

2011-03-01 | 読書



ただ、比べるほどほかの本を読んでいないので、言い切るのは不安だけれど。

幸い、やっと二作読んで警察の人たちを覚えた、スェーデンは日本より少し寒いらしい。イースタという港町に親しみも沸いてきた。

「五番目」と言うのがこじつけでなく意味がある。
始まりは凄惨で、舞台になるスウェーデンから遠くアルジェリアで起こった。4人の尼僧殺し、そしてそこには5番目の女がいた。

それから23年後に連続して起きる殺人犯罪。それは、イースタ警察の刑事にとっては思いも及ばないほど、猟奇的で計画的なものだった。

まず、引退しているが自転車販売で財を成した男が自宅裏の濠で竹で串刺しにされて殺される。
続いて花屋の男が姿を消し3週間後に森の中で痩せ衰えて発見される、彼は木に縛り付けられた上で絞殺されていた。
次に、湖で袋にいらられた男が溺れ死んだのが発見された。

どれも男性か複数犯だろうと思われ、ヴァランダー刑事は、捜査が混乱した中で、将来の見通しがつかず、手がかりも動機もわからずに苦しんでいた。

秋の初めの9月は、冷たい雨の多い季節だった、連続犯罪に市民の中から自警団を作るものが現れ、過激な行動はマスコミにとっても警察批判の的になり警察内部でも次第に焦りが出てくる。

犯人の女性は、完璧に進んでいく殺人に自信を持っていた。
だが、姿を見られ、少しずつ捜査の手が近づいてくるのを感じ始める。

ヴァランダーという刑事は、あまり格好がよくない。
見かけは二前目らしいが、捜査方法ではいつもおろおろと悩んでいる。
反面、警官としては鋭い指揮官ではあるが、いつも何かしら間違ってはいないか恐怖まで感じている。
父の事を悔やみ、早く事件が解決して恋人と一戸建ての家にすみ黒い犬を飼いたいと思っている。
事件で疲れた頭を、そんな風に想像することで慰めている。
捜査官としては、周りに信頼され、手がかりをつなぐヒントを見つけるのも早い。
だが人間的な弱いところをいつも引きずっている。面白い。

今回も、「目くらましの道」のように最初から犯人がわかる仕組みになっている。
その夏の事件から半年後にこれは起きている。

イースタ署の警官は、非常に優秀で粘り強い。手ががりを求めて飛行機や電車や車で動き回り、なじみの薄いスェーデンという国を案内してくれる

読み始めは、人の名前か、土地の呼び名かが頭に入らず、名前も苗字のところでとまるようなこともあった。北欧の言葉は難しいのだろう。

日本語は三大難解言語だそうだけれど、その中のアラビア語や中国語よりスゥーデン語はやさしいのだろうか、名前だけでもこんなに覚えにくいのに。面白い本を読ませてもらって、岩手出身の訳者にお礼を言いたい(笑)
ほかの国の言葉と比べることはできないが。
読書

29作目 「5番目の女」ヘニング・マンケル ★5

30作目 「傷痕の街」生島次郎 ’90 文庫復刊

     ハードボイルドの基礎と言う本を読んでみた。最近本を読んでもミステリかハードボイルドか、
     いったいどんなジャンルなのかわからなくなってしまった。
     分からなくても面白ければいいいのだけど、一度は考えてみてもいいかなと思って。
     先駆だと言うこの本の背景は、昭和36年。文章の言葉になんだか少し郷愁を覚える部分
     がある。    
     ストーリーは300ページに満たないが面白かった。
     戦後復興途中の横浜も、山下公園も、そうだったのかと思いながら楽しんだ。筆者は30そこそこ
     なのにさすがに完成されている、ただ筆に若さも感じた。

     解説で仲秀宏さんは
     ハードボイルドの要件を

     1.深い現実認識
     2.状況と向き合おうとする意思
     3.探偵(ヒーロー)の内実の普遍性 
      
     としている。★3.5

コメント
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