~クリント・イーストウッドのキャリア10傑~
イーストウッド御大、88歳。
もはやこの世に敵は存在せず、やりたいことをやりたいようにやって、敢えてこういう表現をするが、穏やかに死んでいくだけでしょう。
「僕は3行以上の台詞をいったことがない」
オスカー授賞式でプレゼンターを務めたときのことばだが、
これは、(遅刻した)チャールトン・ヘストンの代役に任命されるというアクシデントから生まれた、原稿なしの自虐的表現だった。
それから数十年後、映画界における最重要人物になるなんて誰が想像しただろうか。
隔世の感とは、こういうことをいうのだろう。
映画監督としての作家性は、あるようでいて、ない・・・ようでいて、じつはある。
ただ、撮りたいものを即決しているようなところがあり、ジャンルも多岐にわたることから、体質としては作家主義ではなく、職業監督なのかもしれない。
(1)『許されざる者』(92)
ひとを殺めるキャラクターを「散々」演じてきた男が、ひとを殺めることの無意味さを説く。
映画史的にも、かなり重要な作品だと思う。
(2)『恐怖のメロディ』(71)
記念すべき、初監督作品。
演出的な巧さは天性のものもあろうが、シーゲルやレオーネから学んだところもあるのだろう。
(3)『ミスティック・リバー』(2003)
後味の悪さといったらないが、イーストウッドは「観客より大事なものが、映画にはある」といっている。
(4)『グラン・トリノ』(2008)
頑固爺と、少年との交流。
これを遺言と捉えるファンも多いのだとか?
(5)『ホワイトハンター ブラックハート』(90)
『アフリカの女王』(51)撮影時の監督ジョン・ヒューストンの奇行(?)を描く。
初見は高校生のころで途中までは「??」であったが、クライマックスにハッとした。
(6)『バード』(88)
サックス奏者、チャーリー・パーカーの伝記物。
主演のフォレスト・ウィテカーが好演、イーストウッドの演出もじつに丁寧で、パーカーへの深い愛情が感じられる佳作に仕上がっている。
(7)『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)
スポーツを扱って安楽死の問題にまで斬りこんでいくところが、ほかの監督とはちがうところだろう。
(8)『ダーティハリー4』(83)
第1作の精神をきちんと受け継いだのは、第2作でも第3作でもなく、自らメガホンを持った第4作だった。
(9)『スペース カウボーイ』(2000)
おじいちゃん、宇宙で大活躍。
充分楽しめる娯楽作だが、意外なのはこれがその年の『キネマ旬報・ベストワン』に輝いたこと。
(10)『センチメンタル・アドベンチャー』(82)
味わい深いロードムービーであり、イーストウッドって、こんな映画も撮れるのかと驚いた。
息子、カイル・イーストウッドとの共演でも話題になった。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『それでもビール党』
イーストウッド御大、88歳。
もはやこの世に敵は存在せず、やりたいことをやりたいようにやって、敢えてこういう表現をするが、穏やかに死んでいくだけでしょう。
「僕は3行以上の台詞をいったことがない」
オスカー授賞式でプレゼンターを務めたときのことばだが、
これは、(遅刻した)チャールトン・ヘストンの代役に任命されるというアクシデントから生まれた、原稿なしの自虐的表現だった。
それから数十年後、映画界における最重要人物になるなんて誰が想像しただろうか。
隔世の感とは、こういうことをいうのだろう。
映画監督としての作家性は、あるようでいて、ない・・・ようでいて、じつはある。
ただ、撮りたいものを即決しているようなところがあり、ジャンルも多岐にわたることから、体質としては作家主義ではなく、職業監督なのかもしれない。
(1)『許されざる者』(92)
ひとを殺めるキャラクターを「散々」演じてきた男が、ひとを殺めることの無意味さを説く。
映画史的にも、かなり重要な作品だと思う。
(2)『恐怖のメロディ』(71)
記念すべき、初監督作品。
演出的な巧さは天性のものもあろうが、シーゲルやレオーネから学んだところもあるのだろう。
(3)『ミスティック・リバー』(2003)
後味の悪さといったらないが、イーストウッドは「観客より大事なものが、映画にはある」といっている。
(4)『グラン・トリノ』(2008)
頑固爺と、少年との交流。
これを遺言と捉えるファンも多いのだとか?
(5)『ホワイトハンター ブラックハート』(90)
『アフリカの女王』(51)撮影時の監督ジョン・ヒューストンの奇行(?)を描く。
初見は高校生のころで途中までは「??」であったが、クライマックスにハッとした。
(6)『バード』(88)
サックス奏者、チャーリー・パーカーの伝記物。
主演のフォレスト・ウィテカーが好演、イーストウッドの演出もじつに丁寧で、パーカーへの深い愛情が感じられる佳作に仕上がっている。
(7)『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)
スポーツを扱って安楽死の問題にまで斬りこんでいくところが、ほかの監督とはちがうところだろう。
(8)『ダーティハリー4』(83)
第1作の精神をきちんと受け継いだのは、第2作でも第3作でもなく、自らメガホンを持った第4作だった。
(9)『スペース カウボーイ』(2000)
おじいちゃん、宇宙で大活躍。
充分楽しめる娯楽作だが、意外なのはこれがその年の『キネマ旬報・ベストワン』に輝いたこと。
(10)『センチメンタル・アドベンチャー』(82)
味わい深いロードムービーであり、イーストウッドって、こんな映画も撮れるのかと驚いた。
息子、カイル・イーストウッドとの共演でも話題になった。
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明日のコラムは・・・
『それでもビール党』