~大林宣彦のキャリア10傑~
大病などを告白したひとには、悲壮感が漂うようになる。
死が目前に迫っていることが多いのだから、それは当然だろう。
でもなんか、必要以上に「受け手」が「当人」にそのイメージを背負わせている感じがしないでもない。
大林宣彦は、いつもとなんら変わらぬ穏やかな表情をつづけ、そこに抵抗しているように見える。
がんに勝ち「余命は未定」とうそぶく広島出身、80歳のおじいちゃん監督。
なごむなぁ、なごみつつ、格好いい映画監督人生だなぁ! と思う。
(1)『転校生』(82)
『家族ゲーム』(83)に次いで笑える、日本産コメディの傑作かと。
キャスティングの時点で成功は8割決まったようなもの、もちろん軽やかな演出もグッド。
(2)『異人たちとの夏』(88)
もともと「ちょっとしたSF」が好きな大林監督、その「よい部分だけ」が出た佳作。
ちなみに「わるい部分だけ」出てしまったのが、『漂流教室』(87)かと。
若かりし親に出会うというのは『フィールド・オブ・ドリームス』(89)に似た設定だが、日本と米国だとこれほどちがう物語が出来上がるんだね。
(3)『ふたり』(91)
絵葉書のような映像のなかで、きゃわいい少女ふたりがあれこれする―と評したのは北野武だったか、
その毒づきに納得しながらも、この世界観は好きだな。
まぁ中嶋朋子のファンだった、、、というのは大きいが。
(4)『花筐/HANAGATAMI』(2017)
40年前に脚本化した檀一雄の小説を「やっと」映画化。
大林監督が体得したあらゆる技法を駆使し、ほかの監督では絶対に「こうならなかったであろう」映像世界を構築している。
結果論だが、40年の熟成期間は吉と出たのだと思う。
(5)『時をかける少女』(83)
SFとアイドルの幸福な結婚。
日本映画特有のジャンルのような気がするので、いまだってこれに力を入れてもいいんじゃないかな。
(6)『HOUSE ハウス』(77)
初の商業映画。
大林監督にも、「処女作には、監督の資質すべてが出る」が当てはまるということ。
(7)『青春デンデケデケデケ』(92)
ロックに明け暮れた高校生たちをノスタルジックに活写。
ウェストビレッジマドンナ(=石田ゆり子)の設定なども巧かったし、直木賞受賞作の映画化としては、かなり成功した作品なのではないか。
(8)『あした』(95)
赤川次郎の小説を映画化、これまた「ちょっとしたSF」物語。
筋としては「?」が残るものの、「登場人物の初潮」に関するやりとりを観て「ほかの監督じゃ、こういうシーン撮らないな…」と感心、すごく印象に残っている。
(9)『ねらわれた学園』(81)
『時をかける少女』で完成する「SF×アイドル映画」の、いわば習作。
習作というと怒るひとが居るかもしれない、だってこの映画の薬師丸ひろ子は、たしかに魅力的だったのだもの。
(10)『廃市』(84)
熱心な大林ファンのなかには「これぞ最高傑作」と評するひとも多い、16mmフィルムによる、小さな小さな物語。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『『拝啓、〇〇様』(9)』
大病などを告白したひとには、悲壮感が漂うようになる。
死が目前に迫っていることが多いのだから、それは当然だろう。
でもなんか、必要以上に「受け手」が「当人」にそのイメージを背負わせている感じがしないでもない。
大林宣彦は、いつもとなんら変わらぬ穏やかな表情をつづけ、そこに抵抗しているように見える。
がんに勝ち「余命は未定」とうそぶく広島出身、80歳のおじいちゃん監督。
なごむなぁ、なごみつつ、格好いい映画監督人生だなぁ! と思う。
(1)『転校生』(82)
『家族ゲーム』(83)に次いで笑える、日本産コメディの傑作かと。
キャスティングの時点で成功は8割決まったようなもの、もちろん軽やかな演出もグッド。
(2)『異人たちとの夏』(88)
もともと「ちょっとしたSF」が好きな大林監督、その「よい部分だけ」が出た佳作。
ちなみに「わるい部分だけ」出てしまったのが、『漂流教室』(87)かと。
若かりし親に出会うというのは『フィールド・オブ・ドリームス』(89)に似た設定だが、日本と米国だとこれほどちがう物語が出来上がるんだね。
(3)『ふたり』(91)
絵葉書のような映像のなかで、きゃわいい少女ふたりがあれこれする―と評したのは北野武だったか、
その毒づきに納得しながらも、この世界観は好きだな。
まぁ中嶋朋子のファンだった、、、というのは大きいが。
(4)『花筐/HANAGATAMI』(2017)
40年前に脚本化した檀一雄の小説を「やっと」映画化。
大林監督が体得したあらゆる技法を駆使し、ほかの監督では絶対に「こうならなかったであろう」映像世界を構築している。
結果論だが、40年の熟成期間は吉と出たのだと思う。
(5)『時をかける少女』(83)
SFとアイドルの幸福な結婚。
日本映画特有のジャンルのような気がするので、いまだってこれに力を入れてもいいんじゃないかな。
(6)『HOUSE ハウス』(77)
初の商業映画。
大林監督にも、「処女作には、監督の資質すべてが出る」が当てはまるということ。
(7)『青春デンデケデケデケ』(92)
ロックに明け暮れた高校生たちをノスタルジックに活写。
ウェストビレッジマドンナ(=石田ゆり子)の設定なども巧かったし、直木賞受賞作の映画化としては、かなり成功した作品なのではないか。
(8)『あした』(95)
赤川次郎の小説を映画化、これまた「ちょっとしたSF」物語。
筋としては「?」が残るものの、「登場人物の初潮」に関するやりとりを観て「ほかの監督じゃ、こういうシーン撮らないな…」と感心、すごく印象に残っている。
(9)『ねらわれた学園』(81)
『時をかける少女』で完成する「SF×アイドル映画」の、いわば習作。
習作というと怒るひとが居るかもしれない、だってこの映画の薬師丸ひろ子は、たしかに魅力的だったのだもの。
(10)『廃市』(84)
熱心な大林ファンのなかには「これぞ最高傑作」と評するひとも多い、16mmフィルムによる、小さな小さな物語。
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明日のコラムは・・・
『『拝啓、〇〇様』(9)』