Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

先端をいくもの ~19年度映画回顧(3)~

2019-12-04 00:10:00 | コラム
本年度の劇場公開映画17傑、まだまだつづきます。


第07位『ハウス・ジャック・ビルド』



建築家を目指すジャックは、車が故障し立ち往生している女に出会う。
しかし。修理に手を貸すはずが、いつの間にか彼女を手にかけ殺してしまった。こうして、彼の12年におよぶ残酷ショウが幕を開ける―。

デンマークの鬼才、、、もとい変人ラース・フォン・トリアーが、強迫観念に囚われたシリアルキラーの内面を6つのチャプターに分けて「解体」していくブラックコメディ。
そう、おぞましいアレヤコレヤの描写も突き抜けているがために「不謹慎にも笑ってしまい」、やがて爽快感すら抱くようになる。

トリアーはいつも、フツーの映画でほんとうに満足している? みたいな、受け手を挑発する映画を放つが、演者たちもありきたりな役柄に飽きてここに辿り着いているかのように思う。

マット・ディロンもユマ・サーマンも、そしてブルーノ・ガンツも最高。

ただ、らしくないなぁと思ったのは、「本編中、動物は一切傷つけていない」というクレジットを入れたこと。
もちろんそうであってほしいが、トリアーってこういう注釈をも拒否しそうなところがあるから意外ではあった。

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第06位『ウィーアーリトルゾンビーズ』

13歳のヒカリ、イシ、タケムラ、イクコは火葬場で出会った。
ともに両親を亡くした彼ら彼女らは泣きたいのに泣けない、自分たちはまるでゾンビのようだと思うようになる。
4人はバンド「LITTLE ZOMBIES」を結成、次第に支持を集めるようになり…。

CMディレクター、長久允の長編デビュー作。
巨匠や名の通った鬼才が面目を躍如する快作もうれしいが、長いこと映画ファンをやっていると、こういう活きのいい新人監督の出現こそを期待する。
もうこれ1本だけで、これからのキャリアを見守っていかなきゃいけないだろうという親心、「みたいなもの」さえ宿しているのだもの。

やや頼りなげな主演4人をサポートするかのように、佐々木蔵之介や池松壮亮、西田尚美らが好演しているところも微笑ましい。



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第05位『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

ハリウッド、69年8月―。
落ち目の俳優リックと彼のスタントマンを担当するクリフ、そしてリックの新しい隣人となった新人女優シャロン・テートが交わる数日間を描く、QTタランティーノ9本目の監督作。

QT映画によく見られる時間軸の解体を期待すれば肩透かしを喰らう、
また、当時のハリウッドの人間模様を知ろうとしても、実際にブルース・リーやマックィーン、ポランスキーまで出てくるが、彼らを「とりあえず出した」程度で置き去りにし、リックが出演する架空のドラマの細部にこだわりを見せ、ここでも一部観客の期待をおおいに裏切る。

実際がどうだったかとか、QTには関係ない。「かつてあった」というタイトルを冠しても、そのとおりのことを描こうなんて思っていない。
我々はQTが「そんなことをしても許される特別な存在」だと知っているから、リーの描きかたが極端であっても気にならない。

そんなことよりも! なのだ。
『イングロリアス・バスターズ』で展開させた、歴史の大逆転を本作でもやってのけるQTの映画魂に拍手を送るべきでしょう。

映画のなかだけでも、シャロンを幸福にさせたい―この野心と愛情に、泣けたぜ!!



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第04位『108~海馬五郎の復讐と冒険~』

脚本家の海馬五郎は、妻に浮気された腹いせに、妻のFacebook投稿に押された「いいね!」の数「108」と同じ人数の女を抱くという、阿呆な復讐計画を立てるも・・・。

鬼才・松尾スズキが自作小説を映画化、性欲のもとに行動を起こすのではなく、ノルマをこなすために性欲を「発動」させることは可能なのか―という馬鹿々々しくも壮大なテーマに挑む。

好きは大好き、嫌いは大嫌い。
『翔んで埼玉』が陽の笑いなら、この映画は陰の笑いということか、どちらにせよ19年は、声に出して笑う日本産のコメディが2本も誕生するという稀有な年となった。

松尾スズキの振り切った演技は相変わらずだが、みぽりん中山美穂を「はじめて女優に思えた」ところも収穫のひとつだと思う。



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明日のコラムは・・・

『先端をいくもの ~19年度映画回顧(4)~』
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