Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

FIRE WALK WITH ME

2018-02-23 04:54:27 | コラム
先日―。
取材や映画鑑賞のない日は、こんな風に過ごしてます・・・という日課を箇条書きしたコラムを載せたが、忘れていた項目がひとつだけ。

自家製仏壇へ、線香をあげること。


そういえば友人が部屋に遊びにくると、それが珍しいのか「線香のにおいがするね」といわれることが多い。

仏壇のない家も多いと聞くしね、「せっかく来たんだから、線香あげろよ」となかば強引にマッチを持たせる自分。


そう、線香に火をつける際はマッチと決めている。

理由はとくにないけれど、まぁ強いていえば「雰囲気」か。


しかし。
マッチは現代では「需要も供給も」少なくなり、常備しておくのは難儀になった。

友人のひとりはまだ若く、マッチを使ったことがないという。

だから自分がマッチを渡しても、怖いのかなんなのか、なかなか火をつけようとしなかった。


あの、独特なかおり。

いいよねぇ。


というわけで、映画のなかで印象的な「火」の5傑を。

炎上や爆破ではない、割と静かな? 火「限定」でお届けします。


(1)『アラビアのロレンス』(62…トップ画像)

ロレンスのキャラクター性を強烈に印象づける、素晴らしいショット。

(2)『アマデウス』(84)

時代が時代なので当然だが、照明のほとんどが「ろうそくの火」なのだった。

ほらあの場面も、この場面も、とっても印象的でしょう。



(3)『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2017)

本日公開、ソフィア・コッポラの最新作。

きのう試写で観てきたばかりなので、インパクト強し。

中身についてはいわないが、とにかくこの映画のエル・ファニングは最高。



(4)『あした』(95)

高橋かおりの全裸シーン。

ちょっと、この火の使いかたはすごい。

(5)『ワイルド・アット・ハート』(90)

煙草に火をつけるショットを、超ドアップで。




火の描写に強いリンチだけあって、異常なほどのこだわりを感じる。



♪ キャンドルライトが ♪

チェッカーズって、いまでも通用するひとたちじゃないかな~。



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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(239)』
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にっぽん女優列伝(48)内田有紀

2018-02-22 00:10:00 | コラム
75年11月16日生まれ・42歳。
東京出身。

公式プロフィール


映画館でアルバイトしていた20歳のころ、内田有紀(うちだ・ゆき)さんの大ファンだという先輩が居ました。

曰く「世界一の美女」。

「そうすか?」
「そうだよ」
「分かんないなぁ」
「お前は中嶋朋子とかがいいんだろ? あんなん歯茎どーん! 女じゃん」
「それ含めて、好きなんすよ!」

まぁトシゴロ? の男たちの会話なんてこんなものです。

どうやら自分、ショートカットというものに魅かれないようでして。。。

整っているとは思いますが、魅力的とは思えない。

けれども現在の内田さんは、なんというか「いい感じ」に歳を取り、割と好きになりました。


映画キャリアはそれほど多くありませんが、松尾スズキと組んだり、『ばかもの』(2010)のような難役にも挑んでいますしね。

※そうだった、主役は成宮くんだった・・・



<経歴>

前夫は、俳優の吉岡秀隆。

『北の国から』(フジテレビ)つながり、ですかね。
賞味期限切れの弁当を純にあげる、気のいいコンビニ店員役でした。




広尾生まれのお嬢様。
運動神経抜群なのは有名な話ですが、それが映画で活かされていないのがもったいないです。


中学時代にモデルとして芸能界入り。
93年―ユニチカの水着キャンペーンモデルに選出され、このころに高校を中退する。

テレビドラマで演技に挑戦したり、CDデビューを果たしたりと、一時期の宮沢りえのような人気を博していく―ちょうどこのころを指しているわけです、冒頭の、自分と先輩の会話は。

映画俳優デビュー作は、95年の『花より男子』。
人気漫画の映画化、ヒロインの苗字は「牧野」ということで、それなりに期待して観たはずですが、内容はぜんぜん覚えていません汗

つづく『CAT’S EYE』(97)もキャストは豪華です―藤原紀香、稲森いずみと共演―が、真面目に観れなかったという記憶だけは残っています笑

舞台演出家として名高い宮本亜門が初監督に挑んだ『BEAT』(98)も不発、本人の人気とは反比例し、作品にはなかなか恵まれませんでした。


2002年―。
吉岡秀隆と結婚、と同時に芸能界の引退を発表しました。


離婚後、芸能界に復帰。

北野武の、はっきりいえば失敗作『監督・ばんざい!』(2007)、
そして『クワイエットルームにようこそ』(2007)で、やっと、初めて映画で結果を残します。

蜷川・三谷・宮本亜門などなど、舞台畑のひとたちが悉く失敗した映画監督の仕事を、松尾スズキはきちんとやり遂げました。

これはもうちょっと、評価されていいことだと思うのですけれどね!

もちろん、内田さんもよかった。


『禅 ZEN』(2009)、
作品そのものは唾棄したくなるほど嫌い、でも内田さんのキャラは悪くなかった『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010)と『THE FINAL 新たなる希望』(2012)、
前述した『ばかもの』でヒロインを熱演、
『俺俺』(2013)、そして最新作は『斉木楠雄のΨ難』(2017)。


次回作が、すごく期待出来るようなキャリアの築きかたです。

ひょっとすると。
アイドル的な存在だったころに、代表作に出会えなかったことが吉と出ている、、、のかもしれません。


次回のにっぽん女優列伝は、内山理名さんから。

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明日のコラムは・・・

『FIRE WALK WITH ME』
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にっぽん女優列伝(47)臼田あさ美

2018-02-21 00:10:00 | コラム
84年10月17日生まれ・33歳。
千葉出身。

公式プロフィール


無防備な、ナチュラルなエロさ。

臼田あさ美(うすだ・あさみ)さんは、
正直、ものすごく華があるというわけではないので、彼女の名前で観客を呼び込むことが出来る・・・ということは「なかなか」ないのですが、
その映画キャリアを眺めてみると、いわゆる「ハズレ」は1本くらいしかない―敢えては挙げません―ですし、
とくに去年発表された『南瓜とマヨネーズ』における、日常レベルで感じたことのあるエロスといいますか、



これは本人というより監督が狙ったところだと思います、
だからつまり、彼女のそうした魅力を分かっている監督と組めば、年齢的にも「ちょうどいい感じ?」ですし、もっともっと代表作を生み出していけるのではないでしょうか。

<経歴>

夫はOKAMOTO’Sのドラマー、オカモトレイジ。



割と好きなバンドです、ベースのハマくんばかり注目されてますが。。。


中学生のころにスカウトされ、いわゆる読者モデルとして芸能界デビューする。

雑誌『CanCam』の専属モデルを務めていた2003年頃より、女優のオファーが増えていくようになる。

映画俳優デビューは、2004年の園子温監督作『ノーパンツ・ガールズ~Movie Box-ing2~ 「大人になったら」』。

『ほんとうにあった怖い話 怨霊 劇場版』(2004)、『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005)、
自分が「あ、この子、いいな。誰なんだろう」と思った『夢の中へ』(2005)、
『この胸いっぱいの愛を』(2005)、『Wanna be FREE!東京ガール』(2006)、『恋空』(2007)。

女優の顔になってきたなぁ! と思えてきたのは『色即ぜねれいしょん』(2009)から。

『ランブリングハート』(2010)、『東京プレイボーイクラブ』(2012)、『キツツキと雨』(2012)、『マメシバ一郎3D』(2012)、『鈴木先生』(2013)、『桜並木の満開の下に』(2013)、『さいはてにて―やさしい香りと待ちながら―』(2015)、『グッド・ストライプス』(2015)。

そして2017年―。
『愚行録』と『南瓜とマヨネーズ』に出演。

前者は、気が滅入るのに読むことをやめられない「イヤミス」小説の映画化作品。



「ああいう死にかたって、夏原さんらしいなって思ったんですよ」

臼田さんはキーパーソンと呼ぶべき女性を好演、ある意味で、受け手が最も共感し易いキャラクターだったと思います。

そして後者では、隙がある、、、というか「あり過ぎる」ヒロインを自然体で演じ、映画小僧のリビドーを刺激する。


うん、よいですね。
本人が自覚していないような、自然なエロス。

しばらく、こっち路線でいってほしいのですが、どうでしょう?

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『にっぽん女優列伝(48)内田有紀』
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ほんとうに分からないこと

2018-02-20 09:47:19 | コラム
少し前の話になるが・・・。

ボクサーの井岡一翔が引退を表明、
引退試合などはおこなわず、去年4月のタイトルマッチが最後の試合となった。

これを受けての、ネットにおける誹謗中傷がひどい。

井岡本人のボクシングスタイルに対する批判なら「まだ」読む価値があるが、

「おっぱいがダメにした」
「さげまんだ」

と、妻である歌手の谷村奈南を攻撃している。

ほとんど毒婦のような扱い、『羅生門』(50)の京マチ子かよ! って。




放っておけよ、そんなこと。

たしかに谷村奈南のおっぱいは最高(だと思う)が、



これは妬みによるものなのか、あるいは真のボクシングファンが井岡の可能性を惜しんだ結果に吐き捨てているものなのか、
まぁ大半は妬みだろうが、だったら「羨ましい。でもボクサーとしての井岡をもうちょっと見たかったのに」と書いたほうが可愛げがあると思うのだが。

これいって面白いのは、井岡本人だけなんだ。
井岡が「嫁さんのおっぱいに取り憑かれちゃって、リングに上がる気が失せました」と発したとすれば、これはそーとー面白いよ。

でもガヤとしては通用しない。
つまらない、くだらない。

善人ぶっていうつもりはない、
ただほんとうに、こういうこと書く連中が分からないんだ。

分からないから、ソイツのことに興味を抱く。
IDだかユーザー名だかをクリックすると、ソイツのほかのコメントを読むことが出来る。

ためしに読んでみると、1日中、ずぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと、なにかに対して文句をいっている。


このひとはいったい、誰のことを褒めるのだろう。
なにに対して祝福するのだろう。


たとえば訃報記事があったとする。

あるひとが、ご冥福をお祈りいたしますと書き込む。

これに対し、「そう思わない」をクリックするひとが、全体の1割くらい居る。

この精神性が、ぜっんぜん分からない。

敢えてそういう立場を取ってみたり、コメントを残したりして、誰かが激怒することを楽しんでいる。
それで保たれる自意識って、そーとー病んでいるというか、可哀想になってくる。


高梨沙羅ちゃんについても同様。




きっちりと結果を残したんだ、おめでとうでよくない?

まだ、メイクや車のことをいうのかって。

テメーは、暖かな部屋でハナクソほじってテレビ観ているだけなのに?

そもそも彼女は、スポンサーである資生堂やメルセデスの商品をアピールしているだけじゃないか。


第一線で活躍するひとたちは、自分のような凡人とはちがう次元に居るのだろうから、あるいはぜんぜん意に介さないのかもしれない。
よって、自分なんかが憤る必要はないのかもしれない。
しれないが、じゃあ連中を野放しにしていていいのかというと、そういうわけにもいかないんじゃないか。


結論。

前にも同じことを記したが、本人を目の前にしても「いえることだけ」発信しようよ。

なんだか情けなくなるんだ、生ゴミキチガイザーメン野郎を自称している自分なんかが、こんな「当たり前な」内容のことを記さなければいけないことが。。。




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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(47)臼田あさ美』
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映画監督別10傑(6)スタンリー・キューブリック

2018-02-19 00:10:00 | コラム
~スタンリー・キューブリックのキャリア10傑~

映画ファンになるための「正しい道」なんてないけれど、必ずどこかで待ち受けている「壁のひとつ」といっていいのが、キューブリックの映画だと思う。

ちょっと語弊があるかもしれないが、ここをクリアしないと、タルコフスキーやベルイマンに辿り着けない気がするし。

つまりですね、難解だという評は(ある意味では)正しいが、じつは消化し易いひとですよと。
タルコフスキーに比べたら、、、ね!


英国のイメージが強いのは、後半生に移住したからでしょう。

じつはニューヨーク生まれの米国人、チェスとカメラ(写真)を愛する少年で、カメラマンとしての腕前は誰もが認めるところだった。


映画小僧としては、テーマや物語そのものよりも、「描きたいことを最良の状態で描くために、テクノロジーさえも向上させようとする」情熱と野心の強さ―ここがすごいと思う。

そういう意味で、ヒッチコック、スピルバーグ、黒澤、ジェームズ・キャメロンと同じかなと。

キューブリック「以前以後」。
こういう風に評することが出来る、そういうことです。


(1)『バリー・リンドン』(75)



18世紀―激動のヨーロッパを駆け抜けた、バリーの数奇な人生を描くコスチューム劇。

「ロウソクの光だけの撮影」を実現させた、キューブリックの野心を喰らえ!!

(2)『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64)

偶発的に起こってしまう核戦争をブラックコメディとして描く。

ひとを喰った冒頭のクレジットに、まずやられた。



(3)『2001年宇宙の旅』(68)

HALは恐怖の存在でもあるけれど、そもそもは夢や希望の象徴だったはず。

そんな風に捉えればいいわけで、クライマックスがどうだとか、あんまり考えなくても無問題。

(4)『フルメタル・ジャケット』(87)

ジャングルの登場しない、一風変わったベトナム戦争映画。

殺人マシーンへと洗脳された兵士たちが、ひとりの「少女」狙撃兵に負けるという皮肉。

(5)『時計じかけのオレンジ』(71)

何歳で観るかによって、影響を受ける大きさに「相当の変化」が生じると思われる問題作。



高校生のころに出会えばそりゃあ、トラビス級の衝撃を与えてしまうでしょうよ。

(6)『現金に体を張れ』(56)

強盗団が破滅していくさまをクールに描いた、いわゆるフィルム・ノワール。

彼の映画も大好き! という前提でいうが、これを観ると、QTはガキだなと思えてくる。

(7)『シャイニング』(80)

物語そのものより、雰囲気やイメージで描かれる狂気と恐怖。



原作者キングは激怒したが、原作と映画「どっちも好き」というひとが多いのも分かる。

(8)『ロリータ』(62)

はっきり「失敗作」といっておこう。

狙いは分かるが、異常さが際立ってこなかった。

エイドリアン・ライン版のほうが、キャスティングの時点で勝っていると思う。

(9)『アイズ ワイド シャット』(99)



初見は「つまんね!」だったが、これが遺作であると考えた場合、「なんか人間くさくて、いいな。キューブリックもヒトの子だったんだ」と思えるようになり、好きになった。

(10)『スパルタカス』(60)

「ハリウッド嫌い」になったきっかけなので、本人にとっては思い出したくない作品・・・かもしれない。

たしかに「らしさ」は「10%程度」だとは思うものの、映像美だけでも一見の価値はあります。




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明日のコラムは・・・

『ほんとうに分からないこと』
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