Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画スタッフ別10傑(25)クリストファー・ドイル

2021-08-11 00:10:00 | コラム
~クリストファー・ドイルのキャリア10傑~

豪州出身のドイルだが、「杜可風」という中国名を名乗るほど亜細亜圏と関係が深く、ひょっとすると日本の若い映画ファンには最も馴染みの深い撮影監督かもしれない。

「あっ、カメラはドイルがやっているのか。中身は興味なかったけど、ドイルなら観てみようかな」

こんな風に思う映画ファン、実際に居るからね。




(1)『花様年華』(2000)

ウォン・カーワァイにとってもドイルにとっても、現時点における最高傑作でしょう。
トニー・レオン、マギー・チャンにとっても、、、かな。



(2)『ばるぼら』(2020)

手塚治虫の異色作を、その息子・手塚眞が映画化。

綻びはあるものの、俳優の熱演と映像美でそれを感じさせない力強さがあった。




(3)『ブエノスアイレス』(97)

ゲイの恋愛を描いたカーワァイの佳作だが、途中からそんなことどうでもよくなっていくほどに普遍性をまとっている。


(4)『サイコ』(98)

映画史に残るヒッチコックの傑作を、ガス・ヴァン・サントが「ほぼ同じショット」で撮り切った珍作。

ちがいは、モノクロがカラーになったことと、殺害シーンにおける「あるショット」くらいなもので、「学生の習作」とまで腐されたが、いやいや面白い試みだし自分は好きよ。


(5)『花の影』(96)

チェン・カイコーの大作。

はっきりいうよ、『さらば、わが愛』(93)でみせてくれたカイコーの天才的な演出は影を潜め、ドイルによる映像美だけが際立っている。


(6)『パラノイドパーク』(2007)

ひとを殺めてしまった高校生をじっくり見つめた、ヴァン・サントらしい暗い青春映画。




(7)『エンドレス・ポエトリー』(2016)

生きながらにして伝説と化している、アレハンドロ・ホドロフスキー監督による自伝的映画。


(8)『欲望の翼』(90)

カーワァイが初めて注目された映画であり、ドイルにとっての実質的デビュー作にあたる。

この空気感、たまらん。



(9)『裸足の1500マイル』(2002)

先住民アボリジニの問題を扱った硬派な、しかしきっちりエンタメしている豪州映画。

フィリップ・ノイス監督ってアタリハズレはあるけれど、過小評価されているひとだと思う。


(10)『HERO 英雄』(2002)

チャン・イーモウが放ったアクション時代劇。

正直、話は忘れてしまったが、色彩が豊かで観ていて気持ちよかった。

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明日のコラムは・・・

『打つためのファッション』
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忘れていた―わけではないけれど。。。

2021-08-10 02:37:14 | コラム
ブログを始めて15年は経過しているのかな、それ以上かもしれない。

典型的なマザコンとして、7月25日のかーちゃんの命日には、きまってそのことについてアップしてきた。
15年前の7月25日も、去年の7月25日も。

しかし今年初めて、その内容をスルーしてしまったよ。

もちろん忘れていたわけではない、7月に入って「そろそろだな…」とも思っていたし。


コロナ事変は去年からだが、その影響により「ちょっと腐ってヤケクソになっている感」が加速していくのは今年が顕著だからかなぁ、もう少しマトモになってからじゃないと、あの世へのかーちゃんの私信としては、あまりにも「汚れつちまつた悲しみに」過ぎると思ってね。

ちょっとなにいっているのか分からない。

そんな、考えがまとまらない程度には、自身のなかでいろいろスランプを抱えているというわけです。

とかいって、2週間遅れで結局は命日について触れている自分。

かーちゃんに罪はないものね、
かーちゃんごめんね、お詫びとして今度、スイカ2玉をお供えします。。。

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『映画スタッフ別10傑(25)クリストファー・ドイル』
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にっぽん女優列伝(276)牧瀬里穂

2021-08-09 00:10:00 | コラム
71年12月17日生まれ・49歳。
福岡出身。

公式プロフィール

『11PM』(日本テレビ)の後続番組『EXテレビ』で、こんな場面がありました。
キューブリックの怪作『時計じかけのオレンジ』(71)のセルビデオが日本で発売されるというニュースから予告編を流し、そのあと司会の三宅裕司がゲストの牧瀬里穂(まきせ・りほ)さんに、

「どうですかこの映像?」
「………ん~、すごいですね」

いや三宅さん、フレッシュなアイドル女優として売り出し中の牧瀬さんに、その振りは酷でしょう(^^;)

五輪直前に演出を降りたミュージシャンが居ましたが、そう、彼が問題発言をしたといわれるあの時代、あの時代です。
あの時代、日本映画ははっきりいって「からっぽ」でした。
映画だけでなく、アイドル業界もスター不在で、そんなときに出現したのが牧瀬さんだったのです。

※それから時間が経ってのショットですが


からっぽの時代にあって、ひとり気を吐いていたのが相米慎二監督。
牧瀬さんは相米さんに起用され、一躍「ときのひと」に。

ちょっと大袈裟に過ぎるかもしれませんが、牧瀬さんが映画界・アイドル界の希望的存在に祀り上げられたのでした。



<経歴>

旦那はファッションプロデューサーNIGO。


「ミスビタミンC ハイシーガールコンテスト」(武田薬品工業主催)でグランプリに輝き、芸能界デビューを飾る。
このCM!


89年12月、JR東海「クリスマス・エクスプレス」CMで大人気に。

映画俳優デビュー作は、90年の相米監督作『東京上空いらっしゃいませ』。

共演に中井貴一、笑福亭鶴瓶。
いちどは死んだヒロインが地上に戻って奮闘するさまを描くファンタジーで、演技はともかく、牧瀬さんの魅力が炸裂した快作です。
(あれ、田中麗奈の章でもこんなようなこと書いた気が(^^;))

吉本ばななの人気小説を市川準が映像化した『つぐみ』(90)、

※これが代表作かと


「沖田総司が女だったら!?」という、つかこうへい原作の『幕末純情伝』(91)、
野口英世の半生を描いた『遠き落日』(92)、『四姉妹物語』(94)、『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』(95)、『宮澤賢治 その愛』(96)、『卓球温泉』(98)…と、たしかに90年代前半は牧瀬さんの時代だったのですが、後半になると映画界・アイドル界ともゆっくり息を吹き返し始め、まるで役目を終えたかのように露出が少なくなっていきました。

とはいえ、もちろん消えたわけではありません。
異様ともいえたスピードを、通常モードに変えただけ、、、といえるかもしれません。

ただ絶頂期と比較すると、良作には出演するものの、急激に目立たなくなった感は否めませんが。
(短期でしたが、留学をしたのも露出が減った理由ではあります)

阪本順治の傑作『顔』(2000)、北村薫の人気小説を映画化した『ターン』(2001)、『星に願いを。』(2003)、黒木和雄による戦争レクイエム三部作の2作目『美しい夏キリシマ』(2003)、『ジャンプ』(2004)、『娘道成寺~蛇炎の恋』(2004)、
現時点における最新作が、地元福岡の観光映画『福岡・天神時間旅行』(2013)であると。

49歳、自分より、ほんのちょっと上なんですね。
たぶんNIGOさんとよろしくやっているとは思うのですけれど、もうちょっと活躍が見たいかもです。。。


次回のにっぽん女優列伝は、松たか子さんから。

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にっぽん女優列伝(275)真木よう子

2021-08-08 00:10:00 | コラム
82年10月15日生まれ・38歳。
千葉出身。

公式プロフィール

ちょいと勝気なイメージの強い真木よう子(まき・ようこ)さんですが、実際そんなところもあるのでしょう、
仲代達矢と喧嘩を繰り広げるくらいですからね、あのひとを前にしたら、たとえ自分が正しくてもいい返すことが出来るのかどうか…自分だったら自信ありませんねぇ。

もちろん現在は、良好な関係を築いているようです。

また、格闘技―とくに自分が専門とするMMA―好きとしても知られ、会場で見かけますし、


ファイターとのツーショットをネットに載せることもあります。



※代表作は、これかな


<経歴>

中学卒業後、仲代達矢主宰の「無名塾」に入塾。
同期には、滝藤賢一など。

しかし誤解から生じたいざこざのため退塾する。

映画俳優デビュー作は、2001年の『DRUG』。
青少年育成国民会議という、聞き慣れているようで、その実、よく分からないところが手がけた「反」ドラッグ啓蒙映画です。
けっこうよく出来ていますよ、菊地凛子や高橋一生も顔を出していますので「おっ」となる場面が多いですし。

『修羅雪姫』(2001)、『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』(2003)、『下妻物語』(2004)、『恋文日和「あたしをしらないキミへ」』(2004)、『感染』(2004)、『パッチギ!』(2005)、『THE JUON/呪怨』(2005)、『イン・ザ・プール』(2005)、『サマータイムマシン・ブルース』(2005)、『東京フレンズ The Movie』(2006)。

2006年、『ベロニカは死ぬことにした』に主演。

はじめて「きちんと」注目された作品なのではないでしょうか、自分もそうでした。


で、興味を抱いて写真集にも手を出すと(^^;)



『雨の町』(2006)、キーパーソンとなるヒロインを演じた西川美和監督作『ゆれる』(2006)、『UDON』(2006)、
ハリウッド製の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)にも出演し、この2006年に完全に勢いに乗ったといえるでしょう。

『フライング☆ラビッツ』(2008)、『鈍獣』(2009)、
『SP THE MOTION PICTURE』の「野望篇」(2010)と「革命篇」(2011)、
『モテキ』(2011)、『指輪をはめたい』(2011)、『ハードロマンチッカー』(2011)、二役に挑戦した『源氏物語 千年の謎』(2011)、『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』(2013)、『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』(2013)。

そして『さよなら渓谷』(2013)では謎めいた人妻を熱演、多くの演技賞に輝く。
物語そのものに違和感を抱くひとも居ると聞きましたが、過去に犯した罪が現在にのしかかっていくという構造そのものは普遍的だと思います。

是枝裕和の『そして父になる』(2013)、『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』(2014)、『まほろ駅前狂騒曲』(2014)、『風に立つライオン』(2015)、
脳内キャラクターたちが起こす混乱をコメディタッチで描き、カルト的な人気を博した『脳内ポイズンベリー』(2015)、
『劇場版 MOZU』(2015)、『蜜のあわれ』(2016)、再び是枝裕和と組んだ『海よりもまだ深く』(2016)、
『ぼくのおじさん』(2016)、『ミックス。』(2017)、『孤狼の血』(2018)、『焼肉ドラゴン』(2018)…と好調がつづきます。

ファンから募ったクラウドファンディングをもとに「フォトブックをコミケで売り出そう」として批判を浴びたりしましたが、本人がしっかり謝罪していますし、みなさん、あんまり追い込まないでくださいね!!

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『にっぽん女優列伝(276)牧瀬里穂』
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にっぽん女優列伝(274)前田敦子

2021-08-07 00:10:00 | コラム
91年7月10日生まれ・30歳。
千葉出身。

公式サイト


ともに元AKB48のエースだった、大島優子と前田敦子(まえだ・あつこ)さん。

そういえば、いっぽうは結婚を、いっぽうは離婚をしたばかりですね。
様々な意味で対照的で、いろいろ比較されることも多かったことでしょう、
単なる異性としての好みでいえば、付き合うなら、あっちゃんのほうが面白そうだなぁとは思いますがね。

大島優子はよい意味で?キャラクター性が分かり易く、ゆえにメジャーの映画で輝きを放ちます。
現代的で、適度にエッチな感じがしますからね。

翻ってあっちゃんは、その分かり難さが魅力なのだと思います。
だからメジャーというよりは、作家主義に傾きがちなマイナー映画で映える。

映画キャリアを眺めてみれば一目瞭然ですよね。

ひとつ注文をつけるとするならば、エッチさがぜんぜんない?ので、そのあたり、どうにかしてほしい・・・かも(^^;)



※バツグンに面白い、これが代表作でしょう




<経歴>

元夫は俳優の勝地涼、
そんな感じはしませんが、ママなのですよね、もう。

2005年―「AKB48 オープニングメンバーオーディション」に合格、確率は「7924分の24」でした。

面白いなと思ったのはAKBの構成で、彼女たち全員が同じ事務所に所属しているわけではない、、、というところです。
(あっちゃんと大島優子、そして指原莉乃は「お笑い」に強い太田プロダクション所属。あっちゃんは今年初めにフリーとなりました)

AKB在籍時の芸能活動は映画以外は割愛でよいでしょう、
2012年に卒業しましたが、

最も印象に残るのは、総選挙における「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」発言ですかね。

こういうこといえる子っていうのは、やっぱり「持っている」と思いますよ。

さてここからは、映画に限定して。

映画俳優デビュー作は、2007年の『あしたの私のつくり方』。
『伝染歌』(2007)や『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(2011)は、ファンにのみ向けられた作品という感じがしますが、

2012年の『苦役列車』から、あぁ俳優として成長したいのだろうなぁと感心するようになりました。



『クロユリ団地』(2013)、
山下敦弘の手腕が冴えた『もらとりあむタマ子』(2013)、
初めて黒沢清と組んだ『Seventh Code』(2014)、
黒沢監督とは相性がよいようで、『散歩する侵略者』(2017)、ウズベキスタンとの合作『旅のおわり世界のはじまり』(2019)にも出演。

ラブホテルを舞台にした『さよなら歌舞伎町』(2015)、
『イニシエーション・ラブ』(2015)、『モヒカン故郷に帰る』(2016)、『武曲 MUKOKU』(2017)、『探偵はBARにいる3』(2017)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018)、『のみとり侍』(2018)、『食べる女』(2018)、『マスカレード・ホテル』(2019)、
『コンフィデンスマンJP』の「ロマンス編」(2019)と「プリンセス編」(2020)、
『町田くんの世界』(2019)、川端康成の複数の短編をモチーフとした『葬式の名人』(2019)、
最新作は、とくに若いひとに好評だった『くれなずめ』(2021)。


いかがですか?
いくつかメジャー作品もありますが、映画ファンからすると「マイナー系で地道に頑張っているひと」のイメージなんですよ。

だから、応援もしたくなるのです。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(275)真木よう子』
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