Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

令和版・海外俳優列伝(30)ウィリアム・ホールデン

2022-09-20 00:10:00 | コラム
18年4月17日生まれ・81年11月12日死去、享年63歳。
アメリカ出身。

ウィリアム・ホールデンですぐに想起するのは、ふたつ。

自分が映画好きになったころにはすでに故人であったからでしょう、
キャリア後期の代表作『タワーリング・インフェルノ』(74)の、138階ビルの社長ダンカンですね。


タイタニックの設計者や船長と同質キャラ、つまり「自信作が脆くも崩れ去っていく」瞬間に立ち会い、世の不条理を嘆く、、、っていう。

また娘婿があんな感じですからね、とっても気の毒でした( ;∀;)

そしてもうひとつ。
ひょっとしたら最愛のひと。だったかもしれないバーバラ・スタンウィックが、オスカー名誉賞を受賞したときのスピーチ。

すでにホールデンは死去、
共演することの多かったスタンウィックは、初共演作にちなみ「わたしのゴールデンボーイ、夢が叶ったわ」とスピーチを締めくくったのです。



<経歴>

細菌学者という渋い道を志すも、途中で演ずることに興味を抱きパサディナ・プレイハウスで演技を学ぶ。
そこでスカウトされ映画界へ。

映画俳優デビュー作は、39年の『ゴールデン・ボーイ』。
瞬く間にスター候補として注目されるも、同年から始まった第二次世界大戦のため軍務につく。

これでタイミングが狂ったか、復員後は伸び悩む。
(ホールデンがオスカーを撮ったとき、このころを回顧しスタンウィックに謝辞を送りました。前述したスタンウィックのスピーチは、それを受けてのことなのです)

50年、ビリー・ワイルダーによる傑作『サンセット大通り』に出演。
これが浮上のきっかけとなり、
『太平洋の虎鮫』(51)を経た53年に『第十七捕虜収容所』でオスカー主演賞に輝く。

これやっぱり50年代のマスターピースですよ、新規映画ファンにはあまり観られていない気がするけれど。。。



ボギー、オードリーと共演した洒脱なロマンス『麗しのサブリナ』(54)、
『喝采』(54)、淡路恵子と共演した『トコリの橋』(54)、
この手の物語には関心なかったはずの自分でさえグッときた『慕情』(55)、


『ピクニック』(55)、
反戦映画のクラシック『戦場にかける橋』(57)、ジョン・フォード後期の佳作『騎兵隊』(59)、再びオードリーと共演した『パリで一緒に』(63)、丹波哲郎とも共演した『第七の暁』(64)、『007 カジノ・ロワイヤル』(67)、『ワイルドバンチ』(69)。

70年代に入るとさすがに失速しますが、それでも前述した『タワーリング・インフェルノ』や『ネットワーク』(76)、『オーメン2/ダミアン』(78)、『世界崩壊の序曲』(80)などで元気な姿を…と記したいところですが、じつはこのころ、重度のアル中だったようです。

81年11月12日―自宅で酒に酔い転倒、テーブルに頭部を強打して死去してしまいます。
失血死、享年63歳。遺作は『S.O.B.』(81)でした。

絶句、なんともあっけない…。
こういうことも、あるんですね( ノД`)


次回の男優列伝は、ウィル・スミスさんから。
思いのたけをぶちまけたいので、2夜連続にするかもしれません。

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明日のコラムは・・・

『怒れる牡牛運動』
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令和版・海外俳優列伝(29)ウイリアム・ハート

2022-09-19 00:10:00 | コラム
50年3月20日生まれ・2022年3月13日死去、享年71歳。
アメリカ出身。

革命児ゴダールが鬼籍に入りましたが、90歳を過ぎていましたし、哀しみという感情は生まれてこず、どちらかというと「おつかれさまでした!」というような労いの気持ちのほうが強いです。
今年亡くなった映画人で、寂しいな…と思うのは、ウィリアム・ハートのほうだったりして。
(生死に対し、比較するのは下品な気もするけれどね!!)

作品選びに知性を感じることが多かったハート、けれどもケン・ラッセルの映画がデビュー作であったり、キャリア後期にはMCU系の常連になったりして、映画ファンのほうが偏見を持っていたのかも…とも思うのでした。





<経歴>

神学を学ぶも俳優への夢のほうが勝り転学、ジュリアード音楽院で演技を学ぶ。

映画俳優デビュー作は、79年の『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』。
原作 パディ・チャイエフスキー、ケン・ラッセルらしい変化球のSFです。

面白いですよ!!

大人のサスペンス、キャスリーン・ターナーがひたすら色っぽかった『白いドレスの女』(81)、


『再会の時』(83)、『ゴーリキー・パーク』(83)を経た85年、『蜘蛛女のキス』で同性愛の囚人を好演しオスカー/カンヌの双方で主演賞を受賞する。

聾唖のヒロイン、マーリー・マトリンをしっかり支えた『愛は静けさの中に』(86)、
テレビ業界を描いた『ブロードキャスト・ニュース』(87)、


完成度の高い脚本に感動、でも新規の映画ファンには観られていない気がする『偶然の旅行者』(88)、



ブラックコメディの佳作『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』(90)、
ウディ・アレンによるファンタジー『アリス』(90)、
『夢の涯てまでも』(91)のヴィム・ヴェンダース、『最高の恋人』(93)のアンソニー・ミンゲラ、
『スモーク』(95)はウェイ・ワン、、、という具合に、名だたる監督がこぞってハートを起用。

抜群の安定感により、信頼されまくっていたのでしょうね。

『ジェイン・エア』(96)、『ロスト・イン・スペース』(98)、『ダークシティ』(98)、『A.I.』(2001)、『ヴィレッジ』(2004)。

2000年代のキャリアで忘れ難いのは、やはり2005年のクローネンバーグ監督作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でしょうか。

主演のヴィゴ・モーテンセンが「すべて持っていきそう」でいてそうならない、エド・ハリスやハートがきちんとインパクトを残す快(怪)作です。

『グッド・シェパード』(2006)、『バンテージ・ポイント』(2008)、
『インクレディブル・ハルク』(2008)で初めてMCU系の作品に顔を出し、以降も・・・
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、『ブラック・ウィドウ』(2021)に出演。

しかし本年3月13日、前立腺癌の合併症により死去。
享年71歳、遺作は日本上陸の予定は未定の『The King's Daughter』(2022)になります。

よい意味で力が抜けている、その演技スタイルで「リアルの風」を吹かせた名優だったと思います。
合掌。

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令和版・海外俳優列伝(28)ウィリアム・H・メイシー

2022-09-18 00:10:00 | コラム
3月13日生まれ・72歳。
アメリカ出身。

THEダメ男。
一気に注目を集めた『ファーゴ』(96)の、偽装誘拐を企てる主人公。


『マグノリア』(99)の、神童と呼ばれ持て囃された過去を引きずる男。
『ルーム』(2015)の、娘の帰還を喜ぶものの、彼女が生んだ子どもを「どうしても」直視出来ない男。


本人が望んだことなのか、
あるいは「たまたま」重なったのか、
脚本家がメイシーを念頭に置いてホンを書いているのか。

どうなんでしょ?
いえるのは、THEダメ男が「ひじょーーーーーに」似合うということなのです^^


<経歴>

実質的な映画俳優デビュー作は、80年の『ある日どこかで』。
ただ、日本の映画ファンにその名が届くのは90年代に入ってからのこと。

テレビドラマに明るいひとにとっては、映画よりもまず『ER緊急救命室』(94~2009)におけるデビッド・モーゲンスタン医師(非レギュラー出演)でピンときていたのかもしれませんね。
(このときは、THEダメ医者ではなかった!笑)



『ウディ・アレンの影と霧』(91)、『ボビー・フィッシャーを探して』(93)、『依頼人』(94)、『告発』(95)、『陽のあたる教室』(95)…と、なにがあったのか90年代に入ると名作に連続出演。

96年―前述したコーエン兄弟の『ファーゴ』で「思いつきを行動に移したら大変なことが起こりました」的主人公を好演、おかしくて哀しいヒトの性を見事に表現しました。

『エアフォース・ワン』(97)、
PTAにも気に入られ『ブギーナイツ』(97)、つづく『マグノリア』でも印象的なキャラクターを演じる。


このあたりで完全に日本の映画ファンにも名前が浸透、
『サイコ』(98)、『ジュラシック・パークIII』(2001)、『シービスケット』(2003)、『セルラー』(2004)、『インランド・エンパイア』(2006)、『セッションズ』(2012)、『ルーム』と話題作がつづく。
最新作は、2016年の『ブラッド・ファーザー』。

たまに格好いい役も演じますが、それだと受け手は、、、というか、ご本人も調子が狂っちゃう感じがしますね。

この際、生涯「愛すべき」THEダメ男を演じてもらいたいです!!

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あこがれのひと^^

2022-09-17 00:10:00 | コラム
先日、斉藤由貴56回目の誕生日。

ネットニュースで触れただけなのに、またまたときめいちゃった。

青春時代に好きになった「ブラウン管」「スクリーン」の向こう側のひと。
その、いまの姿に幻滅する向きも居るようだけれど、自分はそんなことないなぁ!!

というわけで、そんな10人を挙げてみました^^
(順不同)


【レベッカ・デモーネイ】

『卒業白書』(83)でトム・クルーズの相手役を務める。


ヒラリー・クリントンの伝記映画が創られるとしたら、このひとかな?というくらい、そっくりな時期もあったっけ。


【ジョディ・フォスター】

10代のころに『君がいた夏』(88)を観ちゃったら、そりゃあ虜になるでしょ。



【アリッサ・ミラノ】

CD買ったもん^^



【グロリア・イップ…トップ画像】

『孔雀王』(88)で日本「のみ」人気爆発、それを知った成龍が『奇蹟/ミラクル』(89)に起用。



【斉藤由貴】



映画として必要のない衣装と、ショットだったよなぁ!笑



【中森明菜】

本人がTwitter開始。
よかった、よかった!!



【高井麻巳子】

旦那め…(^^;)(^^;)(^^;)



【マルティカ】

いま、このひとを話題にする音楽好きも居ないって、ヘンなの!!



【マドンナ】

このCDは、開けると、マドンナの好きな香りがしたんだっけ。



【高樹沙耶】

スクリーン上で初めて女人のハダカを拝んだのは、『チ・ン・ピ・ラ』(84)。

だからね、このひとが大麻だなんだと騒ぎ・騒がれても、嫌いにはなれんのです。


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『令和版・海外俳優列伝(28)ウィリアム・H・メイシー』
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日本女優別10傑(21)岸恵子

2022-09-16 00:10:00 | コラム
~岸恵子のキャリア10傑~

山田五十鈴と岸恵子―このふたりが、自分が考える「かっけー!」昭和の女優さんです。

90歳、メディア露出は「ほぼほぼゼロ」になってしまったけれど、どれだけ「かっけー!」ひとなのかは主演映画や著作に触れれば分かる。

オーバーアクティングとは真逆の演技スタイルも、とってもクールで素晴らしいですね。


(1)『おとうと』(60)

完璧なスタッフワークと最強のキャスティング。
傷ひとつない映画だと思う。

姉が気丈に振る舞い日常が再開するラスト、大好き!!


(2)『黒い十人の女』(61)

60年代の日本映画において、最もハイセンス。

毒とユーモアの配分も申し分なく、この映画が90年代に再評価されたのも頷ける。



(3)『雪国』(57)

川端康成の名作、最初の映画化で駒子を演じる。

相手役は池部良。


(4)『ザ・ヤクザ』(74)

脚本は日本大好きポール・シュレイダー、監督はシドニー・ポラック、共演ロバート・ミッチャム&高倉健による純然たる米映画。

どうなの?という展開もあるが、まぁハリウッドが見つめた日本だからね。。。



(5)『女の園』(54)

ウチのかーちゃん、大好きでした。
全寮制の女子大を舞台とした青春&政治の映画。

主演は高峰三枝子、共演に高峰秀子と久我美子、監督は木下恵介。


(6)『悪魔の手毬唄』(77)

金田一耕助シリーズの第2作目。
市川崑が、岸さんに全幅の信頼を寄せていたことが分かりますね^^


(7)『かあちゃん』(2001)



山本周五郎の小説を市川崑が映画化。
あまり評価されなかったと記憶するが、自分は好きです。


(8)『怪談』(65)

小林正樹の傑作。
岸さんは、雪女を熱演。


(9)『早春』(56)

小津、晩年の代表作。
常連ではなかった池部良と岸さんの演技により、とても新鮮な作品となった。



(10)『細雪』(83)

谷崎潤一郎の名作を映画化、とにかく映像美!に尽きる。


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