Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

年末企画 脚本を学べる映画③

2023-12-26 00:10:00 | コラム
『クライング・ゲーム』(92)

監督・脚本:ニール・ジョーダン
主演:スティーブン・レイ、フォレスト・ウィテカー、ミランダ・リチャードソン

こころ優しきテロリスト(ファーガス)と、彼らに誘拐された黒人兵士(ジョディ)の奇妙な友情を描く前半と。
ジョディの遺言を聞き入れ、彼の恋人(ディル)に会いに行くファーガスを描く後半と。

あす取り上げる映画もそうなのだけれど、「衝撃のオチ」や「秘密」を「宣伝側が」メインに置いてしまうのは仕方ないとしても、受け手がそれだけを目的に鑑賞したり評価してしまう―には、あまりにももったいない深い映画なのですよ。

まぁ、その「秘密」に向かって展開していく脚本は、じつに練られていて素晴らしい!のはまちがいないのだけれどね。。。

だいぶ昔の作品だから、もういってもいいでしょう・・・
いわゆるLGBTを描いた映画としては、たしかに早い。
早いし、この映画はさらに、「きちんと、その先。」を見据えているわけで、こういう視点の持ち主が時代を変えていくのだろうなぁ、、、と思う。

とりあえず、カエルとサソリの小噺だけでも聞いて帰ってくださいよ^^


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明日のコラムは・・・

『年末企画 脚本を学べる映画④』
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年末企画 脚本を学べる映画②

2023-12-25 00:10:00 | コラム
『砂の器』(74)

監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍、山田洋次
主演:丹波哲郎、森田健作、加藤剛

天才音楽家の「どうしても消したい」過去とは―?
清張文学としては「弱い」と評する向きも多い原作をもとに、脚本家・橋本忍が東西奔走、ほとんど執念で映画化したとされる大傑作。

なんといっても演奏会と、主人公の過去が明かされていくクライマックスでしょう。
原作では数行に満たぬ親子の遍路を日本列島一大ロケーションを敢行しフィルムに焼きつける、日本の、美しく厳しい四季と風土が映し出されるだけで、この親子の過酷な日々が想像出来て胸がしめつけられる思いです。

きのうの『生きる』もこの映画も、そして『切腹』(62)も橋本忍が脚本を担当―この3作品に共通するのは、いずれも回想形式であるということ。

回想はきちんと整理しないと(受け手の)混乱を生じさせる難点もあるのだけれど、描きようによってはとんでもないドラマを生む可能性を宿している。

橋本さんはおそらく、いちはやくその点に気づいていた脚本家だったのでしょう。。。


ただ、敢えて文句?をいえば。
ほぼ完璧な構成だし、観たひとはテーマがどこにあるのか分かるわけだから、

「旅の形はどのように変わっても、親子の宿命だけは変わらない」の最後の「文字」は、要らなかったんじゃ?? とは思うかな。


※数年前に、オーケストラ上映を体感。いやぁ死んでもよかった!!


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年末企画 脚本を学べる映画①

2023-12-24 00:10:00 | コラム
さぁ年末、いわゆる「サボりコラム」のスタートです(^^;)

年末は「脚本を学べる映画」、年始は「演出を学べる映画」でいってみましょう。

どれもこれも王道ですが、古典と呼ばれるものはいつの時代だって最強最良の教科書、、、ということなのです。


『生きる』(52)

監督:黒澤明
脚本:黒澤明、橋本忍、小國英雄
主演:志村喬、小田切みき、伊藤雄之助

黒澤自身が「語りたくない、失敗作だ」と発言したこと、自分も初見は主人公の渡邊勘治さんの「あのー、そのー」にイライラして好きになれなかったこと―は、何度も記していますが。
歳を取る毎に、繰り返し鑑賞する毎に、どんどんどんどん好きになっていく不思議な映画です。

胃がんであることを知った主人公の後半生を描くヒューマンドラマー表向きはそうですが、ミステリー仕立てで展開される後半こそ鍵なのですよね。

主人公がこの世に存在しなくなってから話が進む構成に、脚本を学び始めた自分はショックを受けました。

黒澤は、自身の脚本能力を過信していなかった。
この構成はきっと、脚本担当が複数だったからこそ出来上がったものでしょう。

菊千代のキャラクターも、何人もの才人が頭を悩ませて創出したっていってますもんね!!




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『年末企画 脚本を学べる映画②』
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本音をいえば、ケンタは「それ以前・それ以後」のほうが(^^;)

2023-12-23 00:10:00 | コラム
クリスマスイブは、あすですが・・・

ケンタバケツ(勝手に命名(^^;) の予約は、きょう23日にしています。

これは去年もいったのかな、
いわゆるネガティブキャンペーンではなく「そんな気がする」というだけの話で、
24・25日は早朝から大量に準備しているため、なんとなく、ココ強調、なんとなくですよ、なんとなく味が落ちている「気がする」んです。

だから「それ以前」=23日、あるいは「それ以後」=26日以降、

がベストだと思っているんですよ勝手に。


というわけで。
今晩は、胃がどうにかなるほど鶏を喰らいます^^




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『年末企画 脚本を学べる映画①』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(485)

2023-12-22 00:10:00 | コラム
ぶるーべるべっ「と」→「と」っとちゃんねる

しりとり、今年の最終回です。

イオンモール座間で警備員として働いていたとき、テレビ番組のロケで黒柳徹子さんが来館しました。
裏口から入ってきたときは車椅子に乗っていたのに、収録が始まると「シャキッと」立っていて、なんかちょっと感動した思い出があります。

そんな徹子さんの自伝エッセイ『窓ぎわのトットちゃん』がアニメーションで映画化され、現在公開中です。

これ傑作、「アニメだから」とか「絵柄が好みじゃない」という理由で観ないという選択をしてしまうと、かなり後悔されると思いますよ。
自分も「今年はもう新作は観ない」と決めていたのだけれど、SNSを中心に異様な盛り上がりを展開していて「これはひょっとして…」と思い、先週時間を作って鑑賞、たまげました。

ぜひ観てください!!



さて。
黒柳さんの幼少期を綴った原作は大ベストセラーを記録しましたが、その続編として84年に発売されたのが『トットチャンネル』。

テレビ草創期を活写した青春喜劇で、サクサク読める佳作です。

87年―わが永遠のアイドル・斉藤由貴を主演にして大森一樹が映画化。
(ちなみに…同じ原作をもとにしたドラマが2016年の『トットてれび』で、主演は満島ひかり)

由貴リストですから、公開初日に観に行きましたがな^^





渡辺典子や村上里佳子、網浜直子に髙嶋政宏―というのが時代よのぉ!と思っちゃいますが、そろそろ(由貴さんのコメディエンヌとしての才能と同様に)大森一樹が再評価されてもよいころだと思います。

享年70歳。
去年末に鬼籍に入った職人監督、ただ新人だったころは割と作家性の強いひとで、新世代の旗手的存在でした。

シナリオ作家の登竜門とされる城戸賞を受賞して鮮烈デビューを果たし、自身の経験をもとにした『ヒポクラテスたち』(80)で数々の映画賞を受賞する。

じつは映像とは相性が悪い村上春樹作品の映画化に挑むいっぽうで、吉川晃司を主演としたアイドル映画をソツなくこなす。

86年―『恋する女たち』で初めて由貴さんを起用し、ライトコメディが得意であることを「周囲と自身」が気づく。
『トットチャンネル』は2本目のタッグ作で、同年には 3本目のタッグ『「さよなら」の女たち』も発表。

いずれもじつに観易い佳作に仕上がってます、とくに『恋する女たち』が!

怪作+珍作と評されることの多い『ゴジラVSビオランテ』(89)も、自分は好きですね。

しかし90年代に入ると(作品はコンスタントに発表されるものの)不振がつづく。

もっと大森さんに適した企画だってあったはずなんだけれどな、95年に発表された『緊急呼出し エマージェンシー・コール』を観ると、ほんとうはもっと、こういう真面目な医療モノを撮りたかったんだろうな、、、と思うのです。


来年のしりとりは・・・
とっとちゃんね「る」→「る」ーしーりゅー。
からです^^

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『本音をいえば、ケンタは「それ以前・それ以後」のほうが(^^;)』
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