2001年4月22日(日)
ルースターズ「FOUR PIECES LIVE」(日本コロムビア)
今日の一枚は、「私の推薦盤」(注1)にも登場したルースターズのライブ盤。
それも、88年7月22日の渋谷公会堂における解散コンサートの模様を収めたものである。
花田裕之、下山淳、穴井仁吉、三原重夫という最後のメンバー4人に、現在R&B系プロデューサーとして活躍中の朝本浩文(当時MUTE BEAT)がサポート・キーボーディストとして加わっている。
演奏ナンバーは、アルバム・タイトル通り、最後のオリジナル・アルバム「FOUR PIECES」からの曲を中心に15曲。
非常にタイトで安定したビート、サイケデリックなギター・サウンド、そしてラフでソウルフルなボーカルと、ルースターズのベストな音が楽しめる。
とにかく、演奏力のレベルの高さには、舌を巻くものがある。
本場英米のバンドに比べて、とかくリズムが弱点といわれる日本のロック・バンドだが、そんなことはこと後期ルースターズについては絶対にあてはまらない。
とにかく、グイグイと聴き手を引っ張っていくような、強力なグルーヴが気持ちよい。
ブルースに根ざした、下山淳の泣きのギター・プレイも、実にカッコいいんだわ、これが。
そして、なんといってもフロントマン、花田裕之のボーカル。
まあ、ヘタウマ系ではあるんだが、その突き放したような歌声が、バンドのサウンドのキモといえそう。実にイカしております。
「(Standing at)THE CROSS ROAD」なんて、まさにブルース・スピリットの溢れ出るような彼のオリジナルもグー。
アンコールでは、花田以外のオリジナル・メンバー、大江慎也(vo)、井上富雄(b)、池畑潤二(ds)も加わって、8人で「C.M.C.」を演奏。
大江のヘタウマぶりは、花田をさらに上回っていて(笑)、これまたエクセレント。
ラストは5人での演奏に戻って、「PASSENGER」でルースターズとしての幕を引くことになる。
人気的、セールス的には今ひとつだったかも知れないが、音楽的には頂点に達したところでの、解散。
その後、それぞれのルースターたちは、また新たな音楽世界へと向けて羽ばたいていった。
プレイヤーとしてだけでなく、コンポーザー、プロデューサーとしても、確かな手ごたえのある作品をつくりあげて、現在に至っている。
やはり、実力のある者は、いくつになろうが、息の長い活動を続けていくことが出来る。
多くの若いミュージシャンたちの支持をうけ、トリビュートされているということでは、昨日のスモール・フェイシズと同様だ。
今後も彼らのアルバムは復刻され、聴き継がれていくに違いない。それだけの、クォリティはある。
日本のロックにも、こんなスゴいライブ・アルバムがあるのか!という目からウロコの一枚。
現在入手はかなり困難だが、隠れた名盤として埋もれさせるには、余りに惜しい一枚。
レコード会社サン、再リリース、よろしゅうたのんまっせ!