2001年3月3日(月)
J・J・ケール「THE VERY BEST OF J.J.CALE」(Polygram/Mercury)
実に「シブーい」一枚をゲットしてしまった。
「今年買ったシブいCD」のベスト1にはやくも当選確実、というくらいシブい。
エリック・クラプトンが「コケイン」「アフター・ミッドナイト」をカバーしたことで、一躍その名を知られるようになったシンガー・ソングライター、J・J・ケールのベスト盤である。
よれよれのダンガリー・シャツを着た、しらが交じりのヒゲ面。ジャケットのJ・J・ケールの写真からして、まことにシブい。
いうまでもなく音のほうも、負けじとシブい。
基本はカントリー調の鼻歌ボーカルなのだが、いわゆるC&Wの臭みはない。
彼の昔のアルバム「ナチュラリー」のタイトルのごとく、リキむことなくあくまでも自然体の歌いぶりだ。
そのメロディも、ちょっと聴いたところでは無雑作につくられているようでいて、聴き込むほどに深い味わいが出てくるようなものが多い。
さまざまなアーティストがこぞって歌いたがるのも、納得である。
「コケイン」「アフター・ミッドナイト」はいうまでもなく、ヒット曲「クレイジー・ママ」、それにホセ・フェリシアーノがカバーした「マグノリア」も収録されている。
ブルース風味の一番濃いのは、唯一未発表の「ミッドナイト・イン・メンフィス」。
これが実にいい感じ。タイトル通り、ホーンも加えてメンフィス・ソウル風のインストに仕上がっている。
全編、いぶし銀を思わせるレイド・バックしたサウンドに、ひなびた歌声。
彼のギターソロもおさえめで、これまたシブいのひとこと。
これみよがしの刺激的な音はひとつも入ってないが、心やすらぐ一枚だ。
違いのわかる貴方に、ぜひお薦めしたい。