暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2018年口切の茶事を終えて・・・3

2018年12月09日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)


(つづき)
銅鑼を7点打って、後入りの合図としました。
  大・・・小・・・大・・・小・・中・中・・・大
銅鑼は何かい打っても難しいです。心を静めて平常心で打つように心懸けていますが・・・。

後座の床に紐飾りをした茶壺をかざり、照葉と白い椿を竹花入にいけました。



半東Fさんが温めてくださった茶碗を膝前に置き、席が静まるのを待って襖を開けます。
ふらつかないように気を付けながらゆっくり点前座へ進みました。
し~んと静まる中で帛紗を捌き、茶入、茶杓、茶碗と清めながら気を調えていく時間はなんとも言えない緊張感と充実感を感じます。

黒楽茶碗に「無上」(柳桜園詰)を茶杓で掬いだすと、茶香が美味しそうに薫り立ってきました。
湯相も好く、熱い湯を汲み入れ、心を込めて練り上げ一碗目をお出しします。
正客Aさまへ「どうぞ3名様で・・・」

続いて二碗目をお出しすると、中正客のHさまが取りに来られました。
一口召し上がったところで
「お服加減は如何でしょうか」
「大変結構でございます」
一碗目も二碗目も一生懸命練ったつもりですが、このお言葉で安堵しました。

黒楽茶碗は楽4代一入作の銘「不老門」、毎年口切の茶事に使うことにしています。
二碗目はいろいろ変えて楽しんでいますが、今年はお気に入りの白楽茶碗「小鷺」染谷英明作を選びました。
茶入は、初使いの瀬戸肩衝、加藤日出造、仕覆の裂地は「二人静金襴」です。
茶杓は、紫野 藤井誠堂作、銘「丹頂」でした。


 お気に入りの白楽茶碗「小鷺」、染谷英明作

後炭となり、釜を上げると、胴炭が半分黒々と残っていました。
(あらっ!細めの胴炭にしたのに割れるかしら?)
初炭と同じで、初掃きでお客さまが炉縁へ寄って炉中を拝見します。
「胴炭が割れると良いのですが・・・・」
と言いながら、火箸を黒い部分を上にして突き刺すと、どうやら割れたのでヨカッタ!

なるべく枝炭の風情を残しながら炉中を調えると、嘆声が上がりました。
「わぁ~~綺麗!」
炭の残り火が暗い炉中できらきら光り輝き、何とも言えぬ美しさです。
後炭でこの様な光景は初めてで、暁庵もうっとり眺めながら 
「真っ暗闇の街の中に、マッチ売りの少女がたくさんいて、一斉にマッチを擦ってくれたみたい・・・」
へんな感想なのですが、とっさにそんなメルヘンチックな想像が頭を横切りました。
数日後、社中の詰KTさんに口切の茶事の感想を伺ったところ、このシーンが一番心に残ったとのことで、とても嬉しいです・・・。




薄茶は、お客さまにお許しをいただいて半東Fさんに交代して頂きました。
大分良くなったとはいえ、膝と腰が限界に近づいていて無理は禁物です。
お客さまとゆっくりお話しする薄茶タイムにもなり、何よりFさんの点てる薄茶がとても美味しくお勧めなのです。
煙草盆と干菓子(イチョウ琥珀と初霜、佐藤愛真製)をお出し、Fさんの薄茶点前が始まりました。
茶碗は祥瑞の染付と黄瀬戸・銘「山柿」です。
黄瀬戸の茶碗は京都へ行く前に我が家へ来たのですが、この日が初登場かもしれません。

いつもS先生の東京教室で切磋琢磨しているお仲間なので、楽しく茶談義が弾みました。
名残は尽きませんが早やお別れの時になり、亭主、半東、佐藤愛真さんの3人でご挨拶させて頂きお開きとなりました。

これからも末永くお付き合いくださいますように。 


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