暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

真の茶事をしました・・・その2

2021年11月02日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

  北アルプス・槍ヶ岳 (真の茶事後の10月19日に撮影、新穂高ロープウェイにて)

(独り言・・・あんなに高い山はもちろん低い山にももう登れないけれど、茶の道は諦めずに高みをめざして歩んでいけたら・・・)

 

つづき)

皆で和やかにご挨拶を交わしました。

お軸(持参しました)の鵬雲斎大宗匠の賛について

  今日親聞獅子吼  
   他時定作鳳凰兒        宗室(花押)


  読み下しは、
    今日(こんにち)親シク獅子吼(ししく)ヲ聞ク
    他時(たじ)定メテ鳳凰ノ兒(ほうおうのこ)ト作(な)ル

「獅子吼(獅子が吠える声)は茶の道を歩く者にとって大きく聞こえたり、小さく聞こえたり、吠えているのに聞こえなかったり・・・各人の心持によって声の大きさも内容も様々に聞こえることでしょう。

でもその時々に聞こえる声にしっかりと耳を傾け、前を向いて茶の道を歩いてほしいと思います。

鳳凰の児とは仏教の「さとりの境地」を示していて、私たちもそれぞれ茶の道の目標を定め、その高みをめざして修練してまいりましょう」というようなお話をしました。

皆さまからお祝いの言葉を頂戴しました。さらに茶名を頂いた時のことや今までの歩みなど、言葉は短いけれど各人の茶道人生が垣間見られるお話が続き、もっともっと伺っていたい・・・と思いました。

KさんとUさんからも皆様の祝福を受けてお礼のご挨拶があり、「これからが本当のスタートだと思います。これからもご指導を宜しくお願いします」・・・お二人が茶名を頂いたことが嬉しく誇らしい気持でした。

たっぷり挨拶の時間を取っていてヨカッタ!・・・。 次は懐石です。

懐石(前段)は精進なので、すべて朱の器で出されます。酒はお出しせず、後段の精進落としでお出しします。

配膳は半東・宗貞さんと詰・宗正さんが手伝ってくれて本当に助かりました。

相伴時間をしっかり取ったので、別室で宗貞さんとゆっくりお相伴できました。美味しく、もどき料理が珍しく、いつもの懐石より量が少なめなのが丁度良く、完食しました。

 

     (お相伴の御膳です・・・別室にて)

   もどき料理の「焼」 (蓮根蒲焼 粉山椒)

    「平」 (胡麻豆腐、ひじき、隠元、生姜)

 

懐石が終わり、真之炭、お菓子、中立、真之行台子と続きます。

圧巻の7種のお菓子、茶席「加藤」が注文してくださった打出庵大黒屋(横浜市中区日ノ出町)の特製です。

○ 銘「微笑み」(笑顔まんじゅう)  ○ 銘「秋の峰」(練り切り)

○ 銘「初もみじ」(きんとん)    ○ 銘「名月」(小芋のこなし)

○ 銘「木の実」(外郎)       ○ 銘「山づと」(栗蒸し羊羹、棹物)

○ 銘「里の秋」(栗の渋皮煮、フルーツ)

小ぶりですが、勿論、食べきれず持参のタッパーに入れてお持ち帰りです。

        (圧巻の7種の菓子です・・・我が家で撮影)

 

中立の迎え付けで銅鑼を打ちました。

久しぶりの銅鑼に亭主としての心を込め、これから行う真之行台子を思いながら心を正して・・・「大・・・小・・中・中・・・大」

 

        (始まる前でまだ釜が掛かっていませんが・・・)

真之炭は宗貞さんにお願いし、暁庵は真之行台子をつとめました。

この日のために二人で修練を重ねたお点前を披露させていただきました。

頭でわかっていても身体が自然体に動かないと嫌なので、夜毎、虫の音の応援歌を聞きながら、自分自身の体力を見極めながら、真之行台子を毎日1回5日間修練しました。この時間は私にとって久しぶりに稽古に没頭できる、かけがいのない好い時間となりました・・・。

教授拝受の折にお家元から頂戴した緑の帛紗を初めて使いましたが、これも嬉しいことです。

「お服加減はいかがでしょうか?」

「大変結構でございます」と正客・宗等氏。後で伺ったら大服で飲むのがちょっと大変だったとか・・・。

各服点なので天目茶碗で一碗だけお点てして、次客さまからは宗貞さんが水屋から楽茶碗で濃茶をお持ち出ししました。

真之行台子が終わり総礼後に「どうぞ、広間へ動座をお願いいたします」(つづく)

 

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