掲載が遅れ2月半ば近くになってしまいましたが、1月28日(火)にS先生・東京教室の初点茶会が広尾・祥雲寺でおこなわれました。
毎年、1月の最初の稽古日は初点茶会になっていて、濃茶席をS先生がしてくださり、薄茶席を各班持ち回りで受け持っています。今年は1班の担当でした。
(書院に飾られた蓬莱飾り)
いつも稽古で使う茶室が濃茶席になっていて、先ずは一同揃って新年のご挨拶を交わしました。
床の御軸は「松樹千年翆」、紫野・伝衣和尚の御筆(祥雲寺蔵)です。
結び柳がまだ青々と美しく、香合は時代のあるブリブリ香合でした。
毎年、遠く関西から御心入れの茶入、茶杓、茶碗などを持参してくださるのが嬉しく楽しみですが、実は一番の楽しみは、京都・川端道喜の「御菱葩(おんひしはなびら)」を買ってきてくださるので、それを食してから頂戴する先生の濃茶一服です。
早速に「御菱葩」を頂戴し、餅や味噌の柔らかさや甘味の塩梅に「これぞ、道喜の花びら餅ね!」と感激の言葉や、いろいろな感想がにぎやかに飛び交います。
食べ終わった頃に、S先生の濃茶点前が始まりました。一同身じろぎもせずに息をのむように先生のお点前を見つめます。
茶入と茶杓が清められ、萩茶碗に茶入から濃茶が掬い出されると、茶香が茶室に満ちていきました。各服点で、最初の一碗を正客の祥雲寺住職I氏が頂きました。
主茶碗は古萩茶碗、銘「富士」です。あとで拝見すると、歪のある形と侘びた肌合いが霊峰の銘にふさわしい味わいと景色(特に裏側が・・)でした。
主茶碗と共に何やら時代のありそうな小袱紗がだされ、これも後で拝見に回され、恐る恐る手に取りました。黄地に薄茶の二重蔓大牡丹唐草がメインのようですが、先生のご説明ではこの裂地が重要で、裂地が足りなかったので日野廣東を縫い合わせて小袱紗に仕立てたそうです(箱書ありですが・・?)。
次いで水屋からI氏(凄いです!お一人で水屋を務められました)が3碗~5椀を載せた盆を何回か運び出し、先生が点前座で総勢16名の濃茶を練ってくださいました。ありがとうございます!
濃茶はたっぷりですが少々薄目、まろやかで美味しく甘みの残った喉を潤してくれました。濃茶は「長松の昔」(坐忘斎家元好、柳桜園詰)です。
(濃茶席の点前座)
点前座は、黒雪吹(八代又玄斎箱書)が置かれた山里棚に古備前の水指(胴シメ、十二代又みょう斎箱書)がきりりと渋く、空間を引き締めていました。
茶入、茶杓、仕覆が拝見に回されました。
茶入は、瀬戸破風窯翁手で銘「玉津島」、小堀権十郎箱書に次のような和歌が書かれていました。
人問はば 知れる翁の夜語りを
昔にかえす 和歌の浦波
仕覆の御裂地は、動物の文様だったような・・・?
茶杓は華奢な茶杓だった(すでに朧です・・・)気がしますが、十代認得斎の「杖」という御銘でした。
「年を重ねると足腰が弱り、杖が必要になりますが、お茶をやっていると前に進むための杖が必要な時があります。この「杖」はお茶を続けるための「心の杖」・・・そんな杖であってほしいです」と、先生はお話されました。
暁庵には「心の杖」がこれからお茶を続けていくには何より必要と思い、嬉しい励ましでした。きっと!皆様にも。
これにて濃茶席は終了ですが、S先生のお心づくしの濃茶席の余韻がまだ・・・・。
敷松葉が美しい庭を見ながら渡り廊下を通リ、薄茶席へ向かいました。つづく)
東京教室の初点茶会・・・薄茶席へつづく