東京工業大学の細野秀雄教授は鉄系超伝導材料を発見した方です。これまでは鉄系の超伝導材料はあり得ないという定説を覆した方です。
超伝導とは、ある温度以下では電気抵抗がゼロになる現象です。このため、超伝導状態の電線に電気を流すと、原理的には永久に電気が流れ続けます。超伝導現象はJR東海がリニアモーターカー新幹線に応用する計画を進めています。実現すると、東京から大阪までを時速500キロメートルを実現し、移動時間は約1時間となる見通しです。ただし、このリニアモーターカー新幹線には金属系超伝導材料が用いられる予定です。
この鉄系超伝導材料を発見したという論文は、アメリカ科学振興協会が発行する権威ある学術誌「サイエンス」(Science)誌に掲載されました。この結果、サイエンス誌の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー2008」の一つに選ばれました。学術論文の価値評価などを事業化している米国トムソン・ロイター社(ニューヨーク市)は、この細野さんの論文を「2008年に最も引用された論文」と発表しました。 これまで発見されている金属系の超伝導材料とも、超伝導フィーバーを起こした銅酸化物系とも違う、第三の超伝導材料として注目を集めています。
実は、細野さんを有名にしたのは、ありふれた物質から透明半導体材料を発見した研究成果です。
細野さんは「セメント成分であるアルミニウム酸化物とカルシウム酸化物の化合物が透明酸化物半導体になることを見出した」のです。小難しい話を飛ばすと、この透明酸化物半導体は大型液晶テレビを実現する透明TFT(薄膜トランジスタ)を実現すると予想されています。韓国のサムソン電子は透明酸化物半導体のTFTを採用した70型3D液晶パネルの試作品を今年10月に公表しました。
台湾の大手液晶パネルメーカーのAOUも透明酸化物半導体のTFTを実用化しつつあります。
細野さんは独特の過激な言い方をする方です。「最近のレアメタル騒動は好機である」といいます。
「日本の物質・材料の研究開発は現時点では世界一のレベルにまだある。中国がかなり背後に迫っているが」といいます。「日本が物質・材料の研究開発でトップを維持し続けるには強力なエンジンが必要になる」とし、「最近のレアメタル危機による危機感は強力な材料研究開発のエンジンにすることに意味がある」といいます。細野さんはレアメタルのような希土類元素ではなく、酸素や炭素、鉄やアルミニウムなどのありふれた“ユビキタス元素”を用いて、高性能な機能を発揮させたいとの夢を語り続けています。この考え方から産まれたのが、文部科学省系の「元素戦略」プロジェクトです。
日本の物質・材料系の研究開発者の方々にいい研究成果を上げていただき、それを活かした独創的な製品を実用化することが、日本のモノづくり立国を強化します。
この日は細野さんと昼食をご一緒させていただき、最近の研究開発成果などを伺いました。大変興味深い内容でした。
超伝導とは、ある温度以下では電気抵抗がゼロになる現象です。このため、超伝導状態の電線に電気を流すと、原理的には永久に電気が流れ続けます。超伝導現象はJR東海がリニアモーターカー新幹線に応用する計画を進めています。実現すると、東京から大阪までを時速500キロメートルを実現し、移動時間は約1時間となる見通しです。ただし、このリニアモーターカー新幹線には金属系超伝導材料が用いられる予定です。
この鉄系超伝導材料を発見したという論文は、アメリカ科学振興協会が発行する権威ある学術誌「サイエンス」(Science)誌に掲載されました。この結果、サイエンス誌の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー2008」の一つに選ばれました。学術論文の価値評価などを事業化している米国トムソン・ロイター社(ニューヨーク市)は、この細野さんの論文を「2008年に最も引用された論文」と発表しました。 これまで発見されている金属系の超伝導材料とも、超伝導フィーバーを起こした銅酸化物系とも違う、第三の超伝導材料として注目を集めています。
実は、細野さんを有名にしたのは、ありふれた物質から透明半導体材料を発見した研究成果です。
細野さんは「セメント成分であるアルミニウム酸化物とカルシウム酸化物の化合物が透明酸化物半導体になることを見出した」のです。小難しい話を飛ばすと、この透明酸化物半導体は大型液晶テレビを実現する透明TFT(薄膜トランジスタ)を実現すると予想されています。韓国のサムソン電子は透明酸化物半導体のTFTを採用した70型3D液晶パネルの試作品を今年10月に公表しました。
台湾の大手液晶パネルメーカーのAOUも透明酸化物半導体のTFTを実用化しつつあります。
細野さんは独特の過激な言い方をする方です。「最近のレアメタル騒動は好機である」といいます。
「日本の物質・材料の研究開発は現時点では世界一のレベルにまだある。中国がかなり背後に迫っているが」といいます。「日本が物質・材料の研究開発でトップを維持し続けるには強力なエンジンが必要になる」とし、「最近のレアメタル危機による危機感は強力な材料研究開発のエンジンにすることに意味がある」といいます。細野さんはレアメタルのような希土類元素ではなく、酸素や炭素、鉄やアルミニウムなどのありふれた“ユビキタス元素”を用いて、高性能な機能を発揮させたいとの夢を語り続けています。この考え方から産まれたのが、文部科学省系の「元素戦略」プロジェクトです。
日本の物質・材料系の研究開発者の方々にいい研究成果を上げていただき、それを活かした独創的な製品を実用化することが、日本のモノづくり立国を強化します。
この日は細野さんと昼食をご一緒させていただき、最近の研究開発成果などを伺いました。大変興味深い内容でした。