小説家の村上龍さんの最新作「歌うクジラ」の上巻を読み始めました。読んでいるのは、普通の書籍版です。講談社から10月26日に上・下巻が発行されました。上・下巻ともに、価格は1680円(消費税を含む)です。
上巻を半分ぐらいまでしか読んでいないので、中身の感想はまだです。この最新作が話題を集めたのは、書籍版に先立って、今年7月16日に電子書籍版「歌うクジラ」が販売されたからです。村上龍事務所とグリオ(東京都世田谷区)は、村上さんが文芸誌「群像」に連載した長編小説の歌うクジラを電子書籍化し、米国アップルのタブレット型パソコン「iPad」向けアプリケーション版をApp Store(アップルが運営する、iPhone・iPod touch・iPad向けアプリケーションのダウンロードサービスのWebサイト)から販売しました。価格は1500円です。
この電子書籍版「歌うクジラ」は、一般的な書籍形式を基にした電子書籍ではなく、動画などの画像や音楽を加えた点に新規性があります。動画サイトのyoutubeに、iPadを用いて、歌うクジラを読むシーンが載っていたので、見てみました。映画のような雰囲気の動画など、村上さんは従来の書籍ではできないことに挑戦している点に感心しました。「昨年あたりからリーダー機能を持つ新しいデバイスが次々と発売され、今年が『電子書籍元年』となるだろうという予感があり、友人の坂本龍一と、そういったことをメールでやりとりしていた」と、村上さんはWebサイトで語っています。
ここからが今日の本番です。2009から2010年にかけて,電子書籍向けの端末(パソコンや専用機器など)が相次いで登場しました。有名になったのは、2010年4月にアップルが日本で発売した「iPad」です。これは液晶パネルを搭載したパソコン端末で、汎用型と呼ばれます。
カラー表示が高品質で可能なため、単行本はもとより雑誌などにも対応できます。動画など対応も可能で、紙の雑誌との違いを出そうとしています。こうしたパソコン端末の汎用型は、韓国サムソン電子の「GALAXY(ギャラクシー)」の7型、シャープの「GALAPAGOS(ガラパゴス)」の10.8型ホームモデルなどです。このほかにも、米国デルやNECなども直販で売り始めています。
電子書籍は携帯電話機(スマートフォン)でも読めるものが増えています。その代表はアップルの「iPhone」です。サムソン電子のスマートフォン「GALAXY S」(NTTドコモで)など、携帯電話機のOSに米グーグルの「アンドロイド」を採用してるスマートフォンが続々と登場し、電子書籍に対応したものが増えています。日本は携帯電話の通信会社を通して携帯電話機が販売されるという独自の形態をとってるため、今後もややこしい情況になりそうです。
電子書籍向けの専用機もあります。液晶ではなく、電子ペーパーという独自の表示システムを使うものです(現在の電子パーパーシステムも今後、大幅に進化する可能性もあります)。ソニーは電子書籍端末「Reader」を国内で2010年12月10日に発売します。5型電子ペーパーを搭載した「Reader Pocket Edition」と6型電子ペーパーとタッチ・パネル機能を搭載した「Reader Touch Edition」の2機種です。この電子書籍向け専用機では米アマゾンの「Kindle」が先行しています。比較的薄型・軽量で、低消費電力であることなどが特徴です。
電子書籍は単に読むための端末があればいいというものではありません。これまで長い間、電子書籍事業を普及させる努力が続けられてきました。例えば約20年前の1990年に、ソニーは直径8センチメートルのCD-ROMを使う専用端末「データディスクマン」を発売しました。1993年に、NECは3.5インチ型フロッピー・ディスクを使う専用端末「デジタルブックプレーヤ」を発売しました。2004年にソニーとパナソニックはそれぞれ、独自の電子書籍端末を発売しました。いずれも失敗に終わりました。読むための端末だけではなく、電子書籍を売る販売システムが不可欠でした。日本は、機器づくりというハードウエア面では得意ですが、電子書籍を買う仕組みなどの社会システムを整備する事業開発というソフトウエア面では、日本は相変わらず下手なようです。
電子書籍を買う社会システムの事業化では、米アマゾンは2007年11月に発売した専用端末「Kindle」向けに、発売開始時に9万タイトルの電子書籍のコンテンツを対応させました。さらに、内蔵する3G通信機能でいつでもダウンロード(通信料は無料)できる仕組みを実用化しました。これが電子書籍の成功につながったとみられています。
最近登場している電子書籍向けの各端末は、汎用端末と携帯電話機、専用端末のどれでも、使いやすさの点ではまだまだのようです。また、汎用端末と携帯電話機、専用端末は、それぞれ用途に応じたすみ分けが進んでいくとみいられています。使い勝手のよさや購入のしやすさなど、電子書籍が本格的に実用化するには、お互いの汎用性などの点で問題は山積しています(特に、日本では著作権の問題を円満に解決することが、まずは必要だろと思いますう)。このため、電子書籍をよく理解できないユーザーの一人としては、当面は書籍版を愛用することになりそうです(この電子書籍の話題は、今後も理解できる範囲で伝えていきたいと考えています)。
電子書籍向けの汎用端末の購入は、現時点では結局「待て」と感じています。今後の向上を待ちたいと思っています。メディアにとって、大きな変換点に差し掛かってることは間違いないようですが。
まだ読みかけですが、「歌うクジラ」の文体は、会話に括弧(「」)を用いない割には、読みやすく感じるのは、電子書籍として読ませるために、やや読み切り風の短いエピソードを重ねるという構成に関係する気がしています。一方、ストーリーそのものに関係するため、助詞をわざと“崩す”、間違えた文法を使っているために、やや読みにくいと感じました。
上巻を半分ぐらいまでしか読んでいないので、中身の感想はまだです。この最新作が話題を集めたのは、書籍版に先立って、今年7月16日に電子書籍版「歌うクジラ」が販売されたからです。村上龍事務所とグリオ(東京都世田谷区)は、村上さんが文芸誌「群像」に連載した長編小説の歌うクジラを電子書籍化し、米国アップルのタブレット型パソコン「iPad」向けアプリケーション版をApp Store(アップルが運営する、iPhone・iPod touch・iPad向けアプリケーションのダウンロードサービスのWebサイト)から販売しました。価格は1500円です。
この電子書籍版「歌うクジラ」は、一般的な書籍形式を基にした電子書籍ではなく、動画などの画像や音楽を加えた点に新規性があります。動画サイトのyoutubeに、iPadを用いて、歌うクジラを読むシーンが載っていたので、見てみました。映画のような雰囲気の動画など、村上さんは従来の書籍ではできないことに挑戦している点に感心しました。「昨年あたりからリーダー機能を持つ新しいデバイスが次々と発売され、今年が『電子書籍元年』となるだろうという予感があり、友人の坂本龍一と、そういったことをメールでやりとりしていた」と、村上さんはWebサイトで語っています。
ここからが今日の本番です。2009から2010年にかけて,電子書籍向けの端末(パソコンや専用機器など)が相次いで登場しました。有名になったのは、2010年4月にアップルが日本で発売した「iPad」です。これは液晶パネルを搭載したパソコン端末で、汎用型と呼ばれます。
カラー表示が高品質で可能なため、単行本はもとより雑誌などにも対応できます。動画など対応も可能で、紙の雑誌との違いを出そうとしています。こうしたパソコン端末の汎用型は、韓国サムソン電子の「GALAXY(ギャラクシー)」の7型、シャープの「GALAPAGOS(ガラパゴス)」の10.8型ホームモデルなどです。このほかにも、米国デルやNECなども直販で売り始めています。
電子書籍は携帯電話機(スマートフォン)でも読めるものが増えています。その代表はアップルの「iPhone」です。サムソン電子のスマートフォン「GALAXY S」(NTTドコモで)など、携帯電話機のOSに米グーグルの「アンドロイド」を採用してるスマートフォンが続々と登場し、電子書籍に対応したものが増えています。日本は携帯電話の通信会社を通して携帯電話機が販売されるという独自の形態をとってるため、今後もややこしい情況になりそうです。
電子書籍向けの専用機もあります。液晶ではなく、電子ペーパーという独自の表示システムを使うものです(現在の電子パーパーシステムも今後、大幅に進化する可能性もあります)。ソニーは電子書籍端末「Reader」を国内で2010年12月10日に発売します。5型電子ペーパーを搭載した「Reader Pocket Edition」と6型電子ペーパーとタッチ・パネル機能を搭載した「Reader Touch Edition」の2機種です。この電子書籍向け専用機では米アマゾンの「Kindle」が先行しています。比較的薄型・軽量で、低消費電力であることなどが特徴です。
電子書籍は単に読むための端末があればいいというものではありません。これまで長い間、電子書籍事業を普及させる努力が続けられてきました。例えば約20年前の1990年に、ソニーは直径8センチメートルのCD-ROMを使う専用端末「データディスクマン」を発売しました。1993年に、NECは3.5インチ型フロッピー・ディスクを使う専用端末「デジタルブックプレーヤ」を発売しました。2004年にソニーとパナソニックはそれぞれ、独自の電子書籍端末を発売しました。いずれも失敗に終わりました。読むための端末だけではなく、電子書籍を売る販売システムが不可欠でした。日本は、機器づくりというハードウエア面では得意ですが、電子書籍を買う仕組みなどの社会システムを整備する事業開発というソフトウエア面では、日本は相変わらず下手なようです。
電子書籍を買う社会システムの事業化では、米アマゾンは2007年11月に発売した専用端末「Kindle」向けに、発売開始時に9万タイトルの電子書籍のコンテンツを対応させました。さらに、内蔵する3G通信機能でいつでもダウンロード(通信料は無料)できる仕組みを実用化しました。これが電子書籍の成功につながったとみられています。
最近登場している電子書籍向けの各端末は、汎用端末と携帯電話機、専用端末のどれでも、使いやすさの点ではまだまだのようです。また、汎用端末と携帯電話機、専用端末は、それぞれ用途に応じたすみ分けが進んでいくとみいられています。使い勝手のよさや購入のしやすさなど、電子書籍が本格的に実用化するには、お互いの汎用性などの点で問題は山積しています(特に、日本では著作権の問題を円満に解決することが、まずは必要だろと思いますう)。このため、電子書籍をよく理解できないユーザーの一人としては、当面は書籍版を愛用することになりそうです(この電子書籍の話題は、今後も理解できる範囲で伝えていきたいと考えています)。
電子書籍向けの汎用端末の購入は、現時点では結局「待て」と感じています。今後の向上を待ちたいと思っています。メディアにとって、大きな変換点に差し掛かってることは間違いないようですが。
まだ読みかけですが、「歌うクジラ」の文体は、会話に括弧(「」)を用いない割には、読みやすく感じるのは、電子書籍として読ませるために、やや読み切り風の短いエピソードを重ねるという構成に関係する気がしています。一方、ストーリーそのものに関係するため、助詞をわざと“崩す”、間違えた文法を使っているために、やや読みにくいと感じました。