ヒトリシズカのつぶやき特論

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「科学哲学と物理学の交流」を拝聴し、物理学の根底を覆す話を伺いました

2012年04月12日 | イノベーション
 4月12日午後に東京工業大学で開催された「科学哲学と物理学の交流」セミナーを拝聴し、新しい量子物理学が芽生える兆しを、何とか理解しました。普段は考えもしない世界の話でした。

 物理学や基盤科学面での理論は予想以上に進み、以前に学んだ科学知識が陳腐化していることを、部分的に理解しました。



 基調講演の演題は「不確定性原理と物理的認識の限界」という難しいものです。



 講師は名古屋大学大学院情報科学研究科の小澤正直教授です。



 学生時代に物理学系の授業で学んだ、ドイツの物理学者のハイゼンベルグさんが提唱した「不確定性原理」が間違っていることを、理論面から提唱したのが小澤教授です。

 1927年に提唱されたハイゼンベルグの「不確定性原理」は、位置の測定誤差ΔQと運動量(質量×速度)の測定誤差ΔPの積であるΔQ×ΔPはh/4πより大きいという不等式です。hはプランク定数と呼ばれるものです。このハイゼンベルグの「不確定性原理」の不等式は、位置と運動量の両方を同時に測定することは不可能である(ある数値以上の誤差がある)ということを表しています。量子の世界の非決定性を導く基礎となる不等式と長い間考えられてきました(物理学の教科書の基盤となる考え方です)。

 これに対して、2003年に小澤教授はハイゼンベルグの不等式の不備を指摘し、改良した小澤の不等式を提唱(予言)しました。この不等式によると、測定前の状態によっては、位置と運動量の両方を同時測定が可能な場合があると導きました。



 ウイーン工科大学の長谷川祐司准教授の研究グループは、小澤の不等式に基づく中性子光学実験装置での実験による観察から、ハイゼンベルグの「不確定性原理」の破れを観測したそうです。この実験結果をまとめた論文を、英国の科学学術誌「Nature Physics」電子版の2012年1月15日に掲載され、大きな刺激を与えたそうです。

 元々、数学者である小澤教授は物理学の研究での「暗黙の前提」を明示化し、再検討するという根底的な学問を研究している点が、他の物理学者から尊敬されているそうです。

 小澤の不等式は、ニュートンなどが確立した古典力学、その後に確立された量子力学とは何かを根底から考えさせる新しい学問を開拓するようです。この辺の話はあまりよく分かりませんでした。しかし、新しい考え方を学び続けることの大切さはいくらか理解できました。世の中には、頭がものすごくいい人が何人もいることを知らしめさせられました。