最近ストックオプションが外資系企業・ベンチャー企業のみならず、保守的と見られている中企業・大企業にも普及してきました。しかし、中堅未上場企業なかには、社長が従業員に、社長個人の自社株を(1株とか2株とか少しだけだけど)買わせたり、「会社を上場させるぞ」――と“昔から”言っており、ストックオプションを与えたりしているオーナーがいたりします。どういった点を注意したら良いでしょうか?
ストックオプションを会社側の立場から見れば重要な人事政策です。役職員の労に報い、インセンティブを与えモラルアップを計り、将来の希望実現=売却益で大金持ち!を目指して一層の努力を求める等と言えばかっこいいですが、裏から見ると、給与を抑え、人参をぶら下げてこれを目指して、もっと働いてよと尻をひっぱたく手段と言う面があります。
そこでストックオプションを引き受けるには、注意点が必要だと思います。
1) 株式公開は射程距離に入っているか。
即ち人参は、手の届くところにあるのか。公開のスケジュールがあり、具体的作業が進んでいるのか?監査法人・証券会社の上場支援の人が会社に入って、上場の実質基準整備に向けた対応、即ち社内規則・組織整備・不良資産整理、減損会計・税効果会計などもきちんとやり始めているのかきちんと見ることが必要ですね。単に「公開ずるぞー」言葉だけなら、人参は5年後、7年後?、いつになるのでしょう?そのうちに消えるかもしれませんね。
2) 行使価格は適切か、有利か。
人参までの距離=時間が長いほど低い価格ですね。その前提として今の自社の株価はいくらか考えてみるものいいですね。株価算出には、いろんな考え方がありかなり大ぶれします。(ストック=BSベースに考えるか、フロー=PL&キャッシュフローベースに考えるか、類似の公開企業・業種の株価から比準して、未公開株ディスカウントとして例えば0.7を掛けて算出するとか、その組み合わせでするか等。最近は米国の影響を受け、DCF=Discounted Cash Flowという、前提の置き方次第で、極論すればどんな価格でも算出できる数字遊びの方法もありますが)。まあ、簡単な方法は、株式を公開している会社のPERを調べて、自社株のPERが、その1/2とか1/3になっているかチェックして有利か判断することですかね(上場企業のストックオプションは、現在の株価の5%アップとかにしますが、未公開株では、有利な価格で従業員に与えないと付与する意味がありませんね)
3) 行使の条件も要チェックですね。
行使の時に社員の地位にあることが普通は前提になっていますね。取締役会等の譲渡制限も通常つきましね。
M&A(合併の消滅会社・株式交換・移転など)のときは、通常無償消却ですから消えて無くなりますね。
従業員には無償でストックオプションの付与(新株予約権の発行)が行われるケースが多いのではないかとおもいます。まあ、無償なのでもらっておけば良いでしょうけど。まあ将来の「お楽しみ権」というか、宝くじぐらいと考え説けば良いんでしょうか。