三角合併解禁が間近に迫っています。脅威論等が出ています。経団連等は勿論正面から否定しませんが、M&A法制の見直しを求めています(2006.12.12.意見書等↓)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/085.html
私は、これは日本の経営者の甘えだと考えています。
1) 事業拡大には、今後積極的にM&Aを検討すると言いながら、自分が買収対象になったときは「イヤだ」とは、身勝手でありunfairです。
2) 買収対象となっても、安定株主が現経営陣を支持して売却しないようなりっぱな経営をすべきです。経営者は自分には経営力が無いと言っているように思います。
3) 買収防衛策が、昨年来導入されています。敵対的買収者に株式を売却するのは株主です。それが会社の最終意思決定者である株主の意向です。株主にとっては、株を今の時価よりも何割も高く買い取ってくれる有り難い買収者です。なぜ、売ろうとしている株主の邪魔をする買収防衛策等を策定するのでしょうか。
4) 建前上は「株主尊重」等と言って、実際は売却しようとする株主の意思を尊重していません。自分を尊重しています。経営者の保身です。
5) いやならファンドにサポートしてもらってMBOでもして、上場廃止をすればいいと思います(勿論トヨタ・新日鉄等の大企業では出来ませんが)。株券を誰でも自由に買えるようにと上場していながら、なぜ買収者の邪魔をするのでしょうか?「いいとこどり」のひねくれ根性です。
6) 敵対的買収者が、企業価値を上げてくれるなら、買収防衛策を発動しません、株主様株式を売ってOKですという、経済産業省の企業価値研究会等の論理も摩訶不思議な論理です。企業価値が上がるなら株価は上昇します。売却せずに持っている方が良いわけです。(勿論機関投資家などが、利回り、利益実現の為利食い売りをするということもありますが)
7) 会社の所有者が株主であるなら、買収者が絶対数の(例えば、TOBで買えなかった分など株式交換などして100%にして)所有者になれば別に企業価値を上げようが下げようが買収者自身の問題では無いでしょうか。だって自分の物をどうしようが自分の勝手です。勿論会社は社会的存在で、株主以外にもステークホールダーがいますが。少数株主はTOBに応じて買収者に株を売ればいいですよね。企業価値などどんどん下げても構わない、法人税等払わずに、利益分は全部従業員に分配して、取引先を大事にして等というユニークな(うらやましい。そんな会社があったら行ってみたいですね)経営だって出来ますね。
(私は、企業の価値とは「付加価値額」と考えていますので、人件費を莫大に払っても、それが企業価値と言えます。尚、ここでは買収のお値段の企業価値ではありません。お値段の方の企業価値は、種々の方式等で計算しないと出てきませんね)
企業価値研究会のレポートは、役所の意見操縦ですね。ほんとにおかしな論理がまかり通っています。但し、誤解を避けるためですが、私は、買収防衛策を全面否定するわけではありません。
会社は誰のものか。私はステークホールダーのものと考えています。勿論資本上の所有者は株主ですけど。会社の存在根拠は社会への貢献であり、企業価値を高めるのは、その会社の役職員による社会への貢献度の増大と考えています。この理屈から言えば、企業価値を下げる買収者の登場、私利私欲に溺れたグリーンメイラー・焦土化経営目的等は反社会的買収という見方ができます。その際の合理的な防衛策は構わないと考えています。即ち、ライブドアがニッポン放送の株式を買い占めたときに、東京高裁決定で防衛策が許容できる4つのケースが示されていますが、そういった買収防衛策まで否定するものではありません。