○ 「合併等の特別決議事項や取締役の選任等の重要事項に拒否権を有する黄金株を発行している会社の、普通株・種類株等の株券の上場は認めない」とする上場規則試案を、当初、東証は発表しました。しかし、政財界から強い反発が出ると一転して容認し上場企業にも条件付き(株主総会や取締役会の決議で消去できる場合に限って認める)で認めると方針を変更しました。
○ 皆さんは賛成ですか、反対ですか、あるいはその他の代替案なら構わないか、如何でしょうか。
私は、黄金株発行会社の普通株式・種類株式の株券の上場は、まあ特別な理由・誰しもなるほどと思われる理由が有る場合は、例外的に認めても仕方ないと思いますが、原則反対ですね。
特別な理由:日本の安全保障等が考えられますね。
私の知る限り日本で唯一(多分)黄金株を発行している上場会社は、国際石油開発帝石ホールディングスですね。日本の石油・天然ガス確保を行う国策会社から出発しましたからね。経済産業大臣が、黄金株=甲種類株式1株の株主ですね。普通株でも、経済産業大臣は29.35%の株主であり、他の株主は、同社と共同して利権などをもつ石油会社・商社等の安定株主であり、まあ安定株主比率70%ぐらいでしょうか。
○賛成論と反対論
・政財界の主張:過剰規制だ。一律に禁止するのはおかしい。多数の株主の意思で消却できるのであれば、開示した上で上場を認めるべきだ。禁止すれば、親会社が過半数の株式を取得し、実質的に拒否権を持つ子会社上場を認めていることと整合性が取れない。
会社法で認めているものを東証が認めないのはおかしい等が言われました。
・投資家等の主張:東証の方針が覆されると日本市場への信頼を損ね、資金が流出することにつながりかねない(企業年金連合会)。新規上場でも原則認めるべきではない(学識経験者)→東証の方針は変更されたが資金流失は起こらなかったですね。
○黄金株は株主平等の原則(ここでは従来の考え方。会社法では、「各株式の内容が同一である限り同一の取り扱いがなされるべきである」と株式平等という視点ですが)に反していますね。多額のお金を投資して経営に影響力を与える比率を買収確保して、いざ取締役を送り込もうとしたら黄金株で拒否では、何の為に株式を購入したかわかりませんからね。勿論、会社の内容をきちんと調べないで、そんなに莫大なお金をつぎ込む人もいないとは思いますが。
個人投資家には、この会社は黄金株を持っているぞという、黄金マークでもつけて、誰でも直ぐにわかるようにしておいて貰わないと困りますね。株主・持株分布、株価の動きがやはり黄金株発行会社は、他の同種・類似会社と違うでしょうしね。素人の投資家は、きちんとEDINETや会社のホームページ等読まないですからね。
○黄金株論議がされた05年12月ごろ、会社法で認めるものを東証が認めないのはおかしいという発言をされた大臣の方もおられますが、父ちゃん母ちゃん会社から社会に大きな影響力を持ち株式を公開している会社まで律する会社法と、証券取引法でも規律しているも公開株とはちょっと違うような気がします。
○証券取引法は、国民経済の適切な運営及び「投資者の保護」に資するため、有価証券の発行・売買等の取引を公正ならしめ、且つ流通を円滑ならしめることを目的とした法律ですね。「投資者保護」ですね。
○私が気に入らないのは、東証は、「投資者」をはじめ市場利用者の視点に立って、高い信頼性と利便性を備えた健全な市場の構築を目指し、豊かな社会の実現に貢献することを企業理念とすると公に宣言しています。政治家や経済界の言っている事を尊重しますとは言っていません。しかし現実は、政府・経済界の意向に従って、ころりと態度を代えてしまったということです。これでは東証など信用出来ないと思いたくなるということです。方針を変えるなとは言いません。何故変えるか、東証内部でもしっかり議論の上合理的理由をしっかり開示・説明してから変えて欲しいと言うことです(東証内部でも議論したでしょうけど、少なくとも私の目には圧力に屈したと写りました)。相変わらずの投資家(特に個人投資家)軽視ではないでしょうか?