○会社法では株主が取締役等を選任することになっています。しかし、実態はそうではありませんね。現経営陣が新任役員や後継者を指名します。トップになるためにはどれだけ会社業績に貢献したかというより、社内政治の駆け引きに長けているとか、顔が広いとか、会社では無く現トップにひたすら忠誠を誓ってその意に添って行動するとかが重要視されます。これが多くの企業の現状です。
○身内で固めた取締役会は活性化しないし緊張感がありません。トップ又は少数のトップ経営陣で協議して決めた事項を事後的に承認する儀式となります。平取は、役員ピラミッド構造の平社員で、上の顔を伺います。昇役の人事権等は、会長・社長等に握られていますしね。実質既に決まっていることを取締役会で異議を唱えることなどありません。
○これでは行けないということで、監督機能強化のため社外取締役の選任を増やしています。委員会設置会社等では社外取締役がいないと成り立ちません。しかし、これも基本的には現経営陣が指名します。自分の方針に敵対的な人など指名しないですよね。せいぜい法律とか専門的なアドバイスをするぐらいの人まででしょうか。社外取締役にその会社の現場・事業の詳細などわかりませんし経営もできませんね。形を作って中身が希薄ですね。社外取締役というのは、日本では「飾り」になっているだけの人も居ますね。
○日本の会社の定款は、殆ど「取締役の選任は累積投票によらない」と規定しています。
株主が取締役を選任出来るように、少しでも実を入れようとするなら、「累積投票を排除する旨を定款で定めない」と何故しないのでしょうか。会社法では、342条に累積投票の規定がありますが、「定款に別段の定めがあるときを除き」と書いています。
○経営者は、「会社は、株主の物だ」とかいっていますが、村上ファンドにぎゃぎゃ言われて始めて株主重視の配当政策を行った会社もありますね。累積投票が認められるようになれば、ある程度の株式を取得・保有すれば取締役を送り込めます。この取締役は飾りの社外取締役ではありません。取締役会が、一挙に緊張感を帯びます。年寄りの顔を見る儀式から、真剣な討議の場になります。
累積投票を排除している定款規定を変更して、取締役会を活性化して欲しいものです。