とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評「クリティカルリーディング」(福澤一𠮷著)

2016-05-17 08:14:47 | 読書
 文章を根拠、論拠、主張の3つに分けて論証過程をたどりながら論理的に書いたり、読んだりする方法を教えてくれる。

 論理的にわかりやすく書く。そしてそのようにして書かれた文章を正確に読む。それが国語教育の根本になければならない。しかし、その方法は日本の国語教育の中でまだ確立していない。これは国家的な大問題である。

 私自身も国語の小論文の指導などで自分の意見を書くときにはその理由となることを書きなさいと指導してきた。しかし、その理由をどのように書くべきかについてはしっかりと示してこなかった。これでは生徒が書くことがいやになって当然である。読解のほうも同じである。筆者の論理性をあいまいなまま検証し、論証がはっきりしない文章を教えてきたのである。これでは国語教師として失格と言われてしょうがない。

 この本は英語の「パラグラフ」の発想を日本語に当てはめるとどのようになるのか、そしてその指導のためにどうすべきかを示唆してくれる。最後にそのような方法を駆使して論証を分析し、その論証を批判的に検討する方法を示してくれている。

 これまで日本の国語教育がおろそかにしていた点を示唆し、これからの国語教育の方向性を示してくれる本である。
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