とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

シネマ歌舞伎『風の谷のナウシカ』を見ました

2020-02-15 19:48:27 | 映画
 話題になっていた歌舞伎『風の谷のナウシカ』は昨年の12月に新橋演舞場で上演しました。それをディレイ・ヴューイングと題して映画館で2か月後に映像で公開しました。その前編を見てきました。正直言ってひどい。全くおもしろくありませんでした。

 何が悪いのか。これは演劇ではない。役者が出てきて説明的なセリフを言って場面転換。その繰り返しだけなのです。立ち回りや、宙乗り、人形や子役などおもしろい要素は取り入れていますが、ドラマがどこにもない。これはひどいと思いました。

 さらに気になったのは、きちんとした批評がどこにもないということです。新作なのでまだ未熟な部分もあるだろうから 私は見るべきか見ないほうがいいかを迷って、インターネットで評判を見ていたのですが、みんな褒めていていました。批判している人など誰もいません。きちんと批判している人がいたら見なかったはずなのに誰もいないのです。こんな芝居を手放しでほめる文化も私には理解できません。きちんと評価を与えるべき評論家が逃げてしまっているのです。

 おそらくこんなことを書くと、また批判を受けてしまうでしょう。評価なんて人それぞれだから悪口なんか言うなと。だから賢い人間ならば言わないでおくのでしょう。しかしそれが贔屓の引き倒しです。ダメなものはダメとはっきりと言うべきだと思います。シネマ歌舞伎でさえ、4300円という高額の料金を取るのです。この映画がおもしろくないという意見もちゃんと表明しておかなければいけないと思います。

 海老蔵の「六本木歌舞伎」でも感じたのですが、若い優秀な歌舞伎俳優がいろいろとやってみることはいいことだと思います。しかし失敗作には厳しい評価を与えないといけません。それが文化を育てることです。

 菊之助も七之助も有能な役者です。というよりもこの芝居に出ていた役者は役者としてはみんなすばらしい演技をしてました。しかし演技以前の部分で成立していなかったと思います。これを土台にして、もう一度作り直し、後世に残す芝居に作り上げていくことを期待します。
 
コメント (5)
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