「源氏物語を読む」シリーズの16回目。「関屋」です。自分の備忘録として書き残しておきます。
「関屋」は「蓬生」と同じようにスピンオフのような作品です。出てくる女性は「空蝉」。非常に短い巻です。
・「空蝉」
「空蝉」は伊予介の後妻です。伊予介との年齢差があり、息子や娘とほとんど同じ年代だったようです。「空蝉」は光源氏の愛を一度は受け入れたのですが、それ以降は受け入れなかった女性です。「受け入れなかった」というよりも「受け入れたかったがそれができなかった」と言うべきなのかもしれません。夫を裏切れなかったのです。当然と言えば当然です。
・逢坂関
源氏が明石から帰京した翌年、夫である常陸介(元伊予介)が任期を終えて、空蝉と共に戻ってきました。石山寺へ参詣途中の源氏は逢坂関で、空蝉の一行に巡り会います。逢坂関は出会いと別れの象徴の場所です。偶然に久しぶりに出会う二人は、またこの場で別れるのですが、しかしこの出会いがなければ次の再会もなかったことでしょう。地名が「物語」を作る要素になっています。
・紫式部がモデル?
まもなく常陸介が亡くなります。一人残された空蝉は腹違いの息子である河内守に言い寄られます。それが嫌で出家してしまいます。空蝉は紫式部をモデルにしているという説もあります。確かにそういう面はあったのだと感じます。
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