以前、三省堂の高校の現代文のやさしめの教科書「精選現代文」に角田光代さんの「ランドセル」が掲載されていた。とてもいい小説である。幼稚園児時代の得体のしれない不安、生きづらさが表現され、そして大人になってからの得体のしれない不安が対比的に表現されている。生徒の感想を読んでも、自分を振り返るきっかけとなっている。とてもいい小説である。しかもこの小説は小学生時代と大人時代がまったく同じ構成で描かれており、技巧面での驚きもある。構成の小説教材としてふさわしいものである。
今回転勤した学校でも改訂した「精選現代文」を使用していたのだが、この「ランドセル」がなくなっていた。なぜなくなったのだろう。残念だ。
昔からの定番の小説は絶対になくならないのに、新しい小説は次々変わっていく。これまでも私がいいと思った小説教材はいつもなくなる。それなのに、つまらなすぎて授業がなりたたないといういわゆる定番小説は残っている。もちろんこれは教科書会社のせいというよりは国語教師のせいである。
国語教育の改革が必要だとあらためて感じる。
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