世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

Bangkok Postに掲載された坂茂氏

2015-12-31 15:21:28 | 日記
2015年末に嬉しい話で結構なことである。今朝のバンコクポスト文化面をみると、坂茂氏の記事が大きく出ていた。
見出しは、「瓦礫にならない希望を託した建物」とでも云えば良いのであろうか。著名な日本人建築家坂茂氏は、ネパールのために安全な家屋を設計した。氏は、人々が私のデザインをコピーするよう望む、私が20軒建築したら、他のNGOがもっと造るであろう、なぜならネパールの実態に適合した設計であるから。

その工法は、ドアフレームを継ぎ合わせ、そのフレームには写真のように、煉瓦にモルタルを使って充填する方法で、地震国日本の厳格な標準震度に耐えると云う。
また氏は、緊急用の紙製シェルターを2010年のハイチ地震と2年前のフィリピン台風のときに提供したと紹介されている。
あまり良い事の無かった年末に、日本人の善意というかボランティア精神溢れる記事が、異国の新聞で見れるとはついぞ思わなかっただけに、坂氏とは無関係乍ら嬉しいことであった。




チェンマイを守護するラーフー神

2015-12-31 09:31:47 | チェンマイ
先日紹介した小川絵美子女史の論文によれば、ラーフー神はチェンマイの守護神であるという。そのラーフー神を祀る儀礼が行われているようだが、詳細が分からずにいる。北タイ情報誌<ちゃ~お>で特集にしていただければ幸いである。
儀礼は、天体の配置図の中で、月と太陽とラーフー星の位置が同じ宮に入る時(時には月食や日食が起きる)を選び、一年に一度行われる。
ラーフーは4本の腕と1本の尾をもつアスラ(阿修羅)。乳海撹拌のあと、神々とアスラは不死の霊薬アムリタをめぐって争い、アムリタは神々の手に渡った。神々は集まってアムリタを飲んだが、その中にラーフーが神に化けて、アムリタを口にした。それを太陽と月が見つけて、ビシュヌ神に知らせた。ビシュヌ神はチャクラを投げて、ラーフーの胴(首ともいう)を切断したが、すでにアムリタを口にしたラーフーは不死になってしまった。そして天に昇り、告げ口したことをうらんで太陽と月を飲み込んで日食や月食を起こすと云う。
インド占星術や東南アジア諸国では、ラーフーは月食、日食とともに不吉なものとして、捉えられているが、タイではアムリタによって不死となったラーフーをプラ・ラーフー、すなわちラーフー神と呼び崇めている。
もともとアスラの出身であることから、秩序を乱したり、悪事を働くこともある。そのため然るべき方法で祭祀儀礼が必要になるという。これが転じてラーフー神は不運や悪運を幸運に転じる力や、事故を跳ね返す力があると信じられ、護符に描かれることが多いと、小川絵美子女史はその論文で説明している。
写真のスケッチは、タイでもっとも有名であろうナコンチャイシーのワット・シースラトンのラーフーで、腰から上の像で月なのか太陽なのか、丸い天体を飲み込む像である。う~ん、悪者を神に押し上げるタイ人。何でもありのタイ人にとっては驚くに値しないことであろうか?
それにしても、チェンマイの街を守護するというが、チェンマイでラーフーを見ないのは何故であろうか?見られた方がいらっしゃれば教示願いたい。