世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

ハノイの博物館・美術館・その1:ハノイ国立博物館#2

2016-08-16 07:05:01 | 博物館・ベトナム
<続き>

ここからは2回に分けて、展示されていた陶磁を紹介する。残念ながら、14-16世紀の安南青花の展示は多くはなかった。

<1-3世紀>
灰釉蓋付壺
キャップションには1-3世紀と幅をもって表示されている。薄い灰釉でところどころに自然釉が流れている。この頃のベトナム北部は漢の影響下にあり、陶磁生産もその影響を受け、ハバック省ダイライなどで、それらは焼造されたと云われているが、当該壺のキャップションには出土地や製造地の表示はない。

<7-9世紀>
灰釉陶磁一括
この時代のベトナム陶磁について、説明できるだけの知識をもちあわせていないので、写真だけ掲げておく。

<11-12世紀:李朝>
緑釉印花菊花文碗
見込中央の印花菊花文様は見かける文様である。緑釉は唐三彩、遼三彩の緑釉の流れを汲んでいると思われるが、中国陶磁に疎い私には耀州窯の影響を受けたのか、それとも定窯等の他の華北窯の影響を受けたのか、キャップションに不記載なこともあり、判断できずにいる。

<11-13世紀:李朝>
青磁劃花蓮花文陵花盤

11-13世紀の中国は北宋と南宋の時代で、ベトナムでいえば李朝治政下である。この盤は手法、文様ともに耀州窯の影響を受けていると考えられる。宋代の耀州窯は印花技法による装飾が新たに加わった。
上写真の牡丹文様は、右写真の耀州窯の牡丹文を写しているが、文様そのものに緩みを見ることができ、ベトナム風に翻案されている。

<13-14世紀:李朝、陳朝>
黄白釉褐彩蓮花文蓋付広口壺

黄白釉褐彩蓋付壺
左の蓮花文は上の劃花蓮花文と同じデザインで、この時期のポピュラーな文様である。
黄白釉褐彩広口壺         

黄白釉褐彩蓮花鳥文広口壺
右の広口壺の鳥文様は目玉が白抜きで大きく、ユーモラスである。裾のカーブの様な文様は連弁文様の簡略化された極みである。
黄白釉蓮花文梅瓶
キャップションに寸法の記載がないので、詳細不明だが目視で40-50cmの大型の梅瓶である。胴裾の文様は簡略化された連弁で、当地で適当に翻案され、ベトナム化された文様である。
青磁印花文輪花鉢 

黄白釉褐彩連花文大深鉢
所謂オリーブグリーンに発色した鉢で、見込中央の文様は何を表したものか、読み取れない。右の大深鉢は径が1m近く、上下2箇所の外周を点文様で区画し、中央に蓮花文を描いている。
黒釉大深鉢
これも径が1m近い深鉢である。褐色に発色している部分もあるが、全体として黒いので勝手に黒釉とした。
青磁印花牡丹文碗                    
出土地と焼造地は、キャップションに記載されていないので詳細不明であるが、右の欄に記載したようにキムラン社のバイハムゾン古窯址からも、同様な碗が出土している。




                                 <続く>