ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

犬塚池

2018-04-06 14:51:41 | 愛媛県
2018年3月23日 犬塚池
 
犬塚池は愛媛県今治市玉川町八幡の蒼社川水系小鴨部川右支流(河川名未確認)にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
現地竣工記念碑によれば江戸時代後期の1817年(文化4年)に今治藩の命により築造され、昭和に入り当時の立花村村長越智武氏の指揮の下、玉川地区及び新谷地区住民を動員して大規模な改修が行われ1938年(昭和13年)に竣工、現在の規模となりました。
ダム便覧ではこの1938年を竣工年度としています。
溜池の管理は蒼社川土地改良区が行っています。
犬塚という池の名称については次のような伝承が残っています。
むかし四国58番札所・仙遊寺と57番札所・栄福寺はひとりの住職が兼務しており、一匹の犬に寺の間の使いをさせていました。犬はそれぞれの寺の鐘の音を聞いて使いをしていましたが、ある時、仙遊寺と栄福寺の鐘が同時に鳴ったため犬は迷ってしまい、途中にある池に身を投げてしまったということです。
現在は犬塚池の袂の道は栄福寺と仙遊寺を結ぶ遍路道となっており、池の下流にはこの犬を弔う犬塚が残っています。
 
犬塚池は四国霊場57番札所栄福寺が目印となります。
池のそばには駐車スペースがないため、今回は栄福寺の駐車場をお借りして歩いて犬塚池へと向かいました。
堤高18.5メートルながら堤頂長は200メートを超える立派な堤体、手前の道は仙遊寺への遍路道となっています。
 
愛媛県の溜池でよくみられる扁額入りの立派な底樋樋門
手前の水路は犬塚池の下池からのものです。
 
犬塚の供養碑。
 
堤体直下から
基部は石積の擁壁。
 
左岸の洪水吐は石積みの越流堤
池のスケールに対して洪水吐はきわめて簡素ですが、余水はすぐ下の下池に流れ込むため上池である犬塚池はこれで問題ないんでしょう。
 
アングルを変えて
越流した水は下池に流れ込みます。
 
洪水吐と上流面
上流面も下流面の擁壁同様谷積の石で護岸されています。
 
天端からの眺め
左手に下池があり、洪水吐の水はここに流下します。
真下には養鶏場があり歴史や伝承が醸し出す厳かな雰囲気を、聴覚と嗅覚から台無しにしてくれます。
 
総貯水容量は60万9000立米。
 
天端右岸にある斜樋。
 
2231 犬塚池(1289)
ため池コード
愛媛県今治市玉川町八幡
香社川水系小鴨部川右支流
18.5メートル
207メートル
609千㎥/609千㎥
蒼社川土地改良区
1938年

新池(山之内)

2018-04-06 13:58:23 | 愛媛県
2018年3月23日 新池(山之内)
 
新池は愛媛県今治市大西町山之内の山之内川水系左支流(河川名未確認)にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
今治市北西部の旧菊間町から旧大西町境界周辺の越智西部広域農道沿いには堤高15メートル以上の灌漑用溜池が3基並んでいますが、一番東に位置するのが新池(山之内)です。
となりの星浦地区にも新池があるので、混同を避けるために所在地を括弧書きして新池(山之内)と記すことにします。
ダム便覧には1877年(明治10年)に山之内地区の事業により竣工と記されていますが、記念碑等がないためこれ以上は不明です。
管理は山之内地区が行っています。
 
大西町山之内から山之内川沿いを南に進み、大河内集落の先で右手に折り返す枝道に入ります。
砂防ダムから先は悪路のため、約1キロ歩くと池に到着です。
急坂を登りきると池の洪水吐からの水路が現れます。
下流面は樹林で見ることはできません。
 
手前の崖を下ると導流部の先が見れます。
自然の岩盤を流下する昔ながらのスタイル。
 
上に戻り林道と導流部を見下ろします。
洪水吐は近年改修されたようです。
 
池の左岸のこれが洪水吐。
戸当たりの溝が見えるので木板か鉄板を填め込んで水位を調整するようです。
 
洪水吐越しに見た上流面。
水位が高いので護岸の様子はわかりません。
 
天端との間には丸木が渡されています。
こちらから見ると戸当たりの溝がよく見えます。
 
下流面
ぱっと見堤高20メートルもあるようには思えませんが、基礎岩盤からだとそうなるのでしょう。
 
天端、下流面ともに秋に草が刈られたようです。
 
総貯水容量3万1000立米の小さな溜池。
 
取水設備は昔ながらの木栓の池栓。
 
ダム下に下りなかったので底樋は確認できませんでした。
 
3659 新池(山之内)(1288)
ため池コード
愛媛県今治市大西町山之内
DamMaps
山之内川水系山之内川左支流
20.1メートル
50.5メートル
31.2千㎥/31.2千㎥
山之内地区
1877年

新池(平田池)

2018-04-06 12:51:52 | 愛媛県
2018年3月23日 新池(平田池)
 
新池(平田池)は愛媛県今治市大西町星浦の天満川水系天満川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
今治市北西部の旧菊間町から旧大西町境界周辺の越智西部広域農道沿いには堤高15メートル以上の灌漑用溜池が3基並んでいますが、真ん中に位置するのが新池(平田池)です。
東の山之内地区にも新池があるので、ここでは混同を避けるために新池の別名である平田池を括弧書きして新池(平田池)と記すことにします。
ダム便覧には1877年(明治10年)に星浦地区の事業により竣工と記されています。
現地にある大西町史談会設置の案内板には1847年(弘化4年)に星浦の庄屋越智岩太郎が私財を投じて普請し、1946年(昭和21年)に台風で損傷した池を地元の実業家菅金助の指導のもと復興したと書かれています。
池の管理は星浦地区か水利組合が行っていると思われますが、具体的な管理者は確認できませんでした。
 
今治中心部から越智西部広域農道を西に進み星浦地区に入ると、農免道路左手に『平田池・お滝さん』と書かれた標識が現れます。
 
農免道路の標識から歩いて2~3分で池に到着します。
秋に草刈りが行われたようです。
 
地元史談会設置の案内板
池の起源は江戸時代後期まで遡ります。
 
轍が残る天端
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
総貯水容量8万8000立米の小さな溜池。
 
取水設備
水位が高いので水中に没していますが、尺八樋です。
 
左岸から。
 
左岸の洪水吐
越流部に溝があるので木板などを填め込んで水位調節するようです。
 
天端に鎮座する石仏。
 
 
ダム便覧とため池データベースではスペックに相違がありますが、ここではため池データベースの数字を採用します。
 
2199 新池(平田池)(1287)
ため池コード
愛媛県今治市大西町星浦
DamMaps
佐方川水系佐方川
20.4メートル
55メートル
87.7千㎥/87.7千㎥
管理者不明
1877年

防象池

2018-04-06 11:24:41 | 愛媛県
2018年3月23日 防象池
 
防象池(ぼうぞういけ)は愛媛県今治市菊間町佐方の佐方川水系佐方川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
今治市北西部の旧菊間町から旧大西町境界周辺の越智西部広域農道沿いには堤高15メートル以上の灌漑用溜池が3基並んでいますが、一番西にあるのが防象池です。
ダム便覧では佐方地区の事業により1940年(昭和15年)竣工と記されており、これは現地記念碑の『昭和十五年新設』と一致します。
また同碑には『昭和廿四年竣工』の文字もあり、1949年(昭和24年)に何らかの改修もしくは復旧工事が竣工したのでしょう。。
終戦直後の1946年(昭和21年)に昭和南海地震が起こり今治周辺でも大きな被害が発生しているので、もしかしたらこの地震により損傷を受けたのかもしれません。
池の管理は佐方地区もしくは水利組合が行っているとみられますが具体的な管理者は確認できませんでした。
 
今治の国道196号線神宮交差点から越智西部広域農道を西進、星浦地区から佐方地区に入るとすぐに左手(南側)に防象池の堤体が見えます。
 
池まで狭い道が通じていますが路面が荒れているので農免道路の路肩に車を置いて歩きます。
と言ってもものの2~3分です。
 
天端に建つ竣工記念碑
昭和十五年新設と書かれています。
 
同じ碑には十五年二月竣工、廿四年五月竣工の文字があります。
1949年(昭和24年)に改修もしくは何らかの復旧工事が行われたものと推察されます。
たぶん南海地震により堤体が損傷を受けたのでは?と推察します。
 
天端。
 
ダム便覧では総貯水容量1万2000立米となっていますが、もう少しありそうな気が・・・??
 
水位が高いの上流面の護岸については確認できませんでした。
車は釣師のものです。
 
右岸の洪水吐
木が邪魔ですが、越流部に切れ込みがありそこから水が流出しています。
 
この先が導流部。
 
右岸の取水設備
水位が高いので水中に没していますが尺八樋があります。
 
ダム下に行かなかったため底樋は確認できませんでした。
 
2238 防象池(1286)
ため池コード
愛媛県今治市菊間町佐方
DamMaps
佐方川水系佐方川
15.5メートル
68メートル
12千㎥/12千㎥
管理者未確認
1940年

古池

2018-04-06 10:38:13 | 愛媛県
2018年3月23日 古池
 
古池は愛媛県今治市宅間の品部川水系宅間川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1870年(明治2年)に宅間地区の事業で建設と記されていますが、それ以外については不明です。現在の管理者も確認できませんでした。
訪問時は大規模な改修工事中で、ちょうど堤体を切除した状態でした。
 
老朽化のための改修工事中で池に入ることはできません。
 
下流から遠望
堤体中央部が切除されています。
ぱっと見池の廃止工事かと思いました。
 
 
 
堤体断面
老朽化による漏水が激しく改修に至ったようです。
 
手前の白い部分が底樋です。
 
上流面。
 
 
堤体が切断された姿を見て、廃止された岡山県新見市の吉川池を想起しました。
吉川池堤体断面。 
 
ダム便覧では堤高17メートル、一方ため池データベースでは13.8メートルと数字が異なります。
ため池データベースの数字を採るならダムの要件を満たさなくなります。
 
2198 古池(1276)
ため池コード
愛媛県今治市宅間
DamMaps
品部川水系宅間川
13.8メートル(ダム基準未達)
70メートル
25千㎥/25千㎥
管理者未確認
1870年

台ダム

2018-04-06 01:08:57 | 愛媛県
2018年3月23日 台ダム
 
台(うてな)ダムは愛媛県今治市大三島町台の台本川本流上流部にある愛媛県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、台本川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、大三島・伯方島および大島の宮窪地区への上水道用水の供給を目的として1991年(平成3年)に竣工しました。
芸予諸島では愛媛県・広島県問わず唯一の県営ダム且つ多目的ダムで、台ダムの運用開始により当該地域での水事情は大きく改善されました。
 
大山祇神社のある大三島町宮浦から台ダムまでは車で15分ほどです。
ダム下から
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート2門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート1門を装備したゲートレスダムです。
2日前までのまとまった雨で水位が上昇しオリフィスゲートから放流しています。
 
ダムサイトに駐車場がありダムの案内板や竣工記念碑などが置かれています。
台ダム碑文にはダム建設に至る経緯が刻されています。
 
下流面。
 
こちらは低水放流設備、普段は利水放流および河川維持放流を行います。
 
天端から減勢工。
 
うてな湖と命名されたダム湖は総貯水容量179万立米と離島のダム湖としてはなかなかの規模。
 
右岸のインクラインと艇庫。
 
天端は車両も通行できます。
正面は台本川の源流がある大三島最高峰の鷲ヶ頭山。
島全体が花崗岩でできています。
 
左岸から下流面。
 
上流から
2日前までにまとまった雨が降り、この時期としては珍しく貯水率100%でした。
 
2280 台ダム(1284
愛媛県今治市大三島台
台本川水系台本川
FNW
42.3メートル
225メートル
1790千㎥/1390千㎥
愛媛県土木部
1991年

別所上池(浦伐池)

2018-04-05 16:03:05 | 愛媛県
2018年3月23日 別所上池(浦伐池)
 
別所上池は愛媛県今治市大三島町宮浦にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では経緯度が記載される一方位置未確認とされ、また所在地と設置河川にも矛盾があります。
ただダム便覧の安部塁氏の『位置未確認ダムを探して・・・別所上池』から宮浦本川左支流明治川源流部にある『浦伐(うらぎり)池』が別所上池である公算大として、今回は浦伐池を訪問しました。
ただしダム便覧に掲載された河川やダムの諸元については矛盾があるため、ここではため池データベースの浦伐池のスペックを採用します。
 
便覧には1937年(昭和12年)に当時の大三島町の事業として建設と記されています。
一方ため池データベースや今治市のハザードマップ、農水省の資料ではすべて浦伐池となっています。
2015年(平成27年)に農水省の補助を受けた愛媛県の事業で改修が行われ、堤体、洪水吐、取水設備等が刷新されました。
 
県道21号線から大山祇神社南側の鶴姫ロードを東に折れ、川沿いの道を進みます。
すぐに隘路となりますが構わず進むと急坂の先に池が現れます。ただし池には転回スペースがないので注意が必要です。わが家のBMWは向きを変えるのに10回以上の切り返しを余儀なくされました。
池は2015年(平成27年)の改修で刷新され、基礎にはコンクリートブロックが積まれ、右岸に洪水吐があります。
ただどう見ても堤高は15メートル以上あるとは思えません。
ため池データベースでは堤高は10メートルとなっています。
 
洪水吐の先に底樋樋門があり維持放流が行われています。
 
洪水吐脇には宮祇池と記された石碑があり、浦伐池のほかに宮祇池の呼び名もあるようです。
大山祇神社の裏手の池とでもいう意味でしょう。
 
改修されたばかりでコンクリートは真っ白
上流面はコンクリートで護岸され洪水吐はラビリンスです。
 
ラビリンス越流頂を真上から。
 
ラビリンスをこのアングルで見るのは初めてです。
 
 
右岸の洪水吐導流部。
 
天端からは海が見えます。
対岸は広島県の大崎上島。
 
天端と下流面
改修で植えられた芝生がようやく根付いてきたところ。
 
土砂吐が開けっ放しで、防災専用ダムのように流入水はそのまま流下しています。
取水設備として傾斜式のシャフトが一本、さらに多孔式斜樋が設置されています。
 
安部塁氏の検証で浦伐池が別所上池である可能性が非常に高いと思われます。
一方でため池データベースでは堤高は10メートル。
仮にここが別所上池だとしてもダムの要件は満たしていません。
 
2234 別所上池(浦伐池)(1283)
ため池コード
愛媛県今治市大三島町宮浦
宮浦本川水系明治川
10メートル(ダム基準未達)
50メートル
7.千㎥/7.5千㎥
管理者未確認
1937年

三戸池(田高田上池)

2018-04-05 14:49:04 | 愛媛県
2018年3月23日 三戸池(田高田上池)
 
三戸(さんと)池(田高田上池)は芸予諸島大三島北部、愛媛県今治市上浦町盛の竹下川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1908年(明治41年)に盛地区の事業により竣工と記されています。
大三島では明治以降ミカン栽培が始まり、当池もミカン栽培向け水源として建設されたようです。
便覧や農水省の資料では田高田上池となっている一方、ため池データベースや現地標識は三戸(さんと)池となっており、ここではデータベースに倣い三戸池と記すことにします。
 
西瀬戸自動車道(しまなみ海道)大三島インターから大三島を周回する県道51号線を反時計回りに北上し、盛集落で左手に折れ標高をあげてゆくとミカン畑の先に三戸池の堤体が現れます。
堤体左岸(写真右手)に洪水吐導流部がありますが、木が覆い被さり撮影できません。
 
堤体はフェンスで囲まれ立ち入り禁止。
警告看板では三戸池谷頭と記され、地元では三戸池の呼び名が一般のようです。
谷頭は管理人や責任者の意のようです。
 
天端右岸の建物
どういう役割かわかりません。
 
天端は立ち入り禁止で、池側にはフェンスが張られています。
イノシシ除けだそうです。
 
そう古くない時期に改修が行われたようで、上流面はまだ白いコンクリートで護岸されています。
また堤体中央に斜樋らしきシャフトが見えます。
 
総貯水容量は7万8000立米と小さな溜池ですが、雨の少ない大三島では貴重な水源です。
 
天端から
左が高根島、右は生口島で奥は佐木島になります。
また右下の集落が盛地区となります。
 
3657 三戸池(田高田上池)(1282)
ため池コード
愛媛県今治市上浦町盛
竹下川水系竹下川
17.3メートル
70メートル
78千㎥/78千㎥
三戸池谷頭
1908年

上浦ダム

2018-04-05 13:10:42 | 愛媛県
2018年3月23日 上浦ダム
 
上浦ダムは愛媛県今治市上浦町井口の大三島本川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大三島は愛媛県に属する芸予諸島最大の島で、平地が少ない一方温暖な気候を生かしみかん栽培が盛んでした。
上浦ダムは島内東部のみかん畑を中心にした農業施設整備の一環として農水省の補助を受けた愛媛県の事業で1978年(昭和53年)に竣工し、当初は上浦町が、その後の市町村合併に伴い現在は今治市が受託管理を行っています。
その大三島のみかん栽培ですが、1991年(平成3年)以降のオレンジ輸入自由化を受けて不振となり、島内各所に放棄された果樹園が見られます。ネーブルやレモン栽培で柑橘生産を活性化させている東隣の生口島とは明暗を分けています。
 
西瀬戸自動車道(しまなみ海道)大三島インターから国道317号線~県道21号で大山祇神社方面に西進し院主集落の先で左手の市道に入り直進すると上浦ダムが見えてきます。
ダム手前には揚水機場があります。
 
堤頂は31メートル 下流面は刈り払われています。
ダム右岸(写真左手)に洪水吐からの導流部がありますが、逆光と樹木によりうまく撮影できませんでした。
 
そのまま進むとダムサイトに到着。
堤体は左岸側が湾曲しています。
 
天端と上流面
天端両側にはガードレール、上流面はコンクリートで護岸されています。
 
天端からの眺め
右は生口島、左は高根島で奥は佐木島。
 
総貯水容量は15万5000立米。
 
右岸奥にある斜樋。
 
右岸から。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
アングルを変えて。
 
大三島東部の農業を支える上浦ダムですが、島内のみかん栽培は不振を極めています。
 
2266 上浦ダム(1281)
愛媛県今治市上浦町井口
大三島本川水系大三島本川
30メートル
162メートル
155千㎥/155千㎥
今治市
1978年

中野ダム

2018-04-05 11:33:56 | 広島県
2018年3月23日 中野ダム
 
中野ダムは芸予諸島生口島中部、広島県尾道市瀬戸田町中野の中野川水系中野川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
瀬戸田町のある生口島は明治時代から続く製塩業を基幹産業としていましたが、1971年(昭和46年)の塩専売法制定により多くの製塩業者が廃業に追い込まれ、製塩業から柑橘を中心とした農業へ事業転換が迫られることになります。
そこで新規果樹園地開拓に伴うかんがい排水施設の整備を行うために、農林省(現農水省)の補助を受けた広島県の畑地帯総合土地改良事業が着手され、その中核施設として1975年(昭和50年)に竣工したのが中野ダムです。
運用開始後は当時の瀬戸田町が、その後の市町村合併により現在は尾道市が受託管理を行っています。
中野ダムの完成により安定した灌漑用水源が確保された生口島は、その後のオレンジ自由化の逆風をレモンやネーブル・はっさくなど付加価値の高い産物に特化することで乗り越え、シトラスの島として日本有数の柑橘産地となっています。
 
今回は因島から西瀬戸自動車道(しまなみ海道)で生口島に向かいました。
生口島北インターから県道81号線を反時計回りに西進し、旧瀬戸田町中心街を南に折れ果樹園の中を南下するとロックフィルの中野ダムが見えてきます。
花崗岩を積み上げた白いリップラップですが、逆光のため色彩感がないのが残念。
 
 
車道を上がるとダムサイトに到着します。
右岸の横越流式洪水吐。
洪水吐に沿って藤棚が作られています。
 
洪水吐導流部越しに。
天端から海が見えるダムです。
 
天端
車両も入れますが、ダートなので歩いて見学します。
 
ダム下には揚水機場がありその先に果樹園地が広がっています。
正面は高根島で左手には三原瀬戸を挟んで竹原方面、右手には三原市の佐木島が見えます。
 
下流面。
 
左岸の取水設備。
 
湖畔に集水トンネル吐口があります
年間降水量が1300ミリ程度の瀬戸内海気候のため、自己流域にとどまらず周辺河川から集水しています。
 
ダム湖インレットに堰堤が沈んでいます。
ダム建設前からあった砂防なのか?ダム建設に合わせて貯砂ダムとして建設されたものかは不明です。
 
上流から
総貯水容量は41万6000立米。
 
1978 中野ダム(1280)
広島県尾道市瀬戸田町中野
中野川水系中野川
A
R
44メートル
170メートル
416千㎥/416千㎥
尾道市
1975年

奥山ダム

2018-04-05 10:25:10 | 広島県
2018年3月23日 奥山ダム
 
奥山ダムは広島県尾道市因島中庄町の大川源流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
もともと当地には奥山大池という灌漑用溜池がありましたが、因島北部への灌漑用水拡充を目的とする広島県の畑地帯総合整備事業により再開発が進められ、2009年(平成21年)に奥山ダムとして生まれ変わりました。
奥山ダムは自己流域での集水に加えて大山新池から地下水路により補給を受け、因島北部の重井地区を中心に151ヘクタールの畑地に灌漑用水を供給しています。
管理は尾道市が受託しています。
 
農業用コンクリートダムらしく、洪水吐は自由越流式クレストゲート1門だけ
あとは利水放流設備があります。
 
ダム直下まで立ち入れます。
もろ逆光なので撮影には苦労しました。
 
これが放流設備。
 
下流面。
 
上流面
対岸に管理事務所、堤体に取水設備がビルドインされています。
 
 
減勢工とエンドシル。
 
総貯水容量は29万1000立米。
自己流域からの集水に加えて山向こうの大山新池から地下水路で補給を受けています。
 
天端。
 
竣工記念碑。
  
3135 奥山ダム(1279)
広島県尾道市因島中庄町
大川水系大川
32.7メートル
106メートル
291千㎥/277千㎥
尾道市
2009年

大山奥池

2018-04-05 09:38:22 | 広島県
2018年3月23日 大山奥池
 
大山奥池は広島県尾道市因島中庄町の大山川水系左支流(河川名未確認)源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では広島県の事業で1943年(昭和18年)に竣工と記されています。
2018年(平成30年)時点ではダム便覧には経緯度は記載されていませんでしたが、広島県の『ため池ハザードマップ』に大山奥池が掲載されており位置を確定することができました。
 
下流から大山下池、大山新池、大山奥池と3基の溜池が並び、最奥が大山奥池となります。
ダム便覧や広島県のため池データベースでは堤高17.1メートルとなっていますが、どう見ても数メートルしかありません。
ダムの堤高は基礎地盤からなので見た目の高さだけでは判断できませんが、池下の畑が盛土された様子もなく、この堤高はいまいち信憑性に欠けます。
 
池の脇に小さなお堂があります。
 
中には石仏が数体鎮座。
 
左岸上流から。
 
天端は未舗装の車道
対岸に民家が2軒あり生活道路になっています。
 
洪水吐は見当たらずこのポンプで水量調節をしているようです。
 
貯水池は小さく便覧では総貯水容量3万8000立米となっています。
 
アングルを変えて天端を撮影
左手が池ですがかなり草が伸びています。
 
3688 大山奥池(1278)
ため池コード
広島県尾道市因島中庄町
DamMaps
大川水系大川
17メートル
41メートル
38千㎥/38千㎥
管理者未確認
1943年

歌仙ダム

2018-04-04 14:29:28 | 愛媛県
2018年3月22日 歌仙ダム
 
歌仙ダムは愛媛県今治市菊間町川上の菊間川水系霧合川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1973年(昭和48年)に旧菊間町のミカン樹園地向け水源として愛媛県の畑地かんがい事業により建設されました。
しかしその後の台風によって幹支線パイプが寸断する被害を受けたこと、受益農家のみかん経営形態が温州みかんから水のあまり要らないいよかんに変わったことなどから歌仙ダムはその能力を十分発揮できていないのが実情です。
管理は今治市農業土木課が管理を行っています。
 
今治市菊間市街から県道164号線を東に進み、山間部の連続ヘアピンを上がってゆくと歌仙ダムに到着します。
堤高41メートルとアースフィルダムとしてはかなりの高さがありますが、下流から見上げることができないためその高さを実感することはできません。
 
訪問時は樋菅交換工事中で天端から先は立ち入り禁止になっていましたが、工事関係者にお願いしたところ立ち入りを許可していただきました。
工事がなければ天端の先に林道が続き車両は通行可能のようです。
 
下流面
堤高はアースダムとしてはかなり高い41メートル。
 
斎灘を挟んで広島県呉市の倉橋島が遠望できます。
 
総貯水容量は36万6000立米。
 
天端に建つ記念碑。
工事の資材が置かれ裏面の碑文は読めませんでした。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
上流面
直前の雨のせいか流木やゴミが溜まりちょっと・・・・という雰囲気。
 
右岸の斜樋。
 
正直、歌仙ダムという風流な名前から周辺が公園にでもなった洒落たダムを予想してましたがのでちょっと残念。
 
追記
歌仙ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに3万8000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2263 歌仙ダム(1277)
愛媛県今治市菊間町川上
菊間川水系霧合川
41メートル
120メートル
366千㎥/325千㎥
今治市
1973年
◎治水協定が締結されたダム

高田池

2018-04-04 13:40:04 | 愛媛県
2018年3月22日 高田池
 
高田(こうだ)池は愛媛県今治市菊間町高田の菊間川水系高田川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば1953年(昭和28年)に高田地区の事業として築造され現在も高田地区が管理を行っています。
 
池は菊間町西山の県道197号線と菊間町高田の県道164号線を結ぶ農免道路わきにあります
 
草が刈られすっきりした下流面。
 
農免道路を挟んで建つ記念碑。
 
天端
轍があります。
 
上流面
写真では分かりにくいですがコンクリートで護岸されています。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
アングルを変えて。
千切れたパイプは下の池に導水するためのものと推察されます。
 
天端から
すぐ下にも池があります。
 
総貯水容量12万立米。
 
右岸の斜樋。
 
2247 高田池(1276)
ため池コード
愛媛県今治市菊間町高田
DamMaps
菊間川水系高田川
22.7メートル
87メートル
112千㎥/112千㎥
高田地区
1953年

立岩ダム

2018-04-04 11:57:04 | 愛媛県
2018年3月22日 立岩ダム
 
立岩ダムは愛媛県松山市立岩米之野の立岩川水系大道谷川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
旧北条市は愛媛県を代表するみかん生産地ですが、水利に乏しく幾度となく干ばつに悩まされてきました。
特に1967年(昭和42年)の大干ばつは愛媛県全土に甚大な被害をもたらし、これを機に県は各地で灌漑施設の整備を進めます。
旧北条市でも農林省(現農水省)の補助を受けたかんがい排水事業に着手され、その水源として1979年(昭和54年)に竣工したのが立岩ダムです。
完成後は北条市畑地帯総合土地改良区が受託管理し、550haの果樹園地に灌漑・防除用水を供給しています。
愛媛県にはは堤高40メートル以上のアースフィルダムが4基ありますが、立岩ダムもその一つで48.2メートルは全国のアースフィルダムの中で第5位の高さとなります。
 
堤高48.2メートルのダム下から
左岸の洪水吐導流部と右岸の取水設備からの水路がダム下で交差します。
 
堤頂から一直線に伸びる洪水吐導流部は迫力満点。
左手(右岸)には放流設備とポンプ室があります。
 
フィルダムのこういう構図は個人的に大好物です。
 
天端は車両通行可能。
 
天端からは釣島海峡を挟んで中島、さらには岩国方面まで遠望できます。
 
総貯水容量は80万2000立米。
自己流域に加えて二つの支流から導水トンネルで集水しています。
 
上流面はロックフィル。
 
天端から洪水吐導流部を見下ろします。
長い洪水吐導流部。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
アングルを変えて。
 
右岸に管理事務所があり裏手から斜樋が伸びています。
 
2271 立岩ダム(1275)
愛媛県松山市立岩米之野
立岩川水系大道谷川
48.2メートル
175メートル
北条市畑地帯総合土地改良区
1980年