2018年3月23日 犬塚池
犬塚池は愛媛県今治市玉川町八幡の蒼社川水系小鴨部川右支流(河川名未確認)にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
現地竣工記念碑によれば江戸時代後期の1817年(文化4年)に今治藩の命により築造され、昭和に入り当時の立花村村長越智武氏の指揮の下、玉川地区及び新谷地区住民を動員して大規模な改修が行われ1938年(昭和13年)に竣工、現在の規模となりました。
ダム便覧ではこの1938年を竣工年度としています。
溜池の管理は蒼社川土地改良区が行っています。
犬塚という池の名称については次のような伝承が残っています。
むかし四国58番札所・仙遊寺と57番札所・栄福寺はひとりの住職が兼務しており、一匹の犬に寺の間の使いをさせていました。犬はそれぞれの寺の鐘の音を聞いて使いをしていましたが、ある時、仙遊寺と栄福寺の鐘が同時に鳴ったため犬は迷ってしまい、途中にある池に身を投げてしまったということです。
現在は犬塚池の袂の道は栄福寺と仙遊寺を結ぶ遍路道となっており、池の下流にはこの犬を弔う犬塚が残っています。
犬塚池は四国霊場57番札所栄福寺が目印となります。
池のそばには駐車スペースがないため、今回は栄福寺の駐車場をお借りして歩いて犬塚池へと向かいました。
堤高18.5メートルながら堤頂長は200メートを超える立派な堤体、手前の道は仙遊寺への遍路道となっています。
愛媛県の溜池でよくみられる扁額入りの立派な底樋樋門
手前の水路は犬塚池の下池からのものです。
犬塚の供養碑。
堤体直下から
基部は石積の擁壁。
左岸の洪水吐は石積みの越流堤
池のスケールに対して洪水吐はきわめて簡素ですが、余水はすぐ下の下池に流れ込むため上池である犬塚池はこれで問題ないんでしょう。
アングルを変えて
越流した水は下池に流れ込みます。
洪水吐と上流面
上流面も下流面の擁壁同様谷積の石で護岸されています。
天端からの眺め
左手に下池があり、洪水吐の水はここに流下します。
真下には養鶏場があり歴史や伝承が醸し出す厳かな雰囲気を、聴覚と嗅覚から台無しにしてくれます。
総貯水容量は60万9000立米。
天端右岸にある斜樋。
2231 犬塚池(1289)
ため池コード
愛媛県今治市玉川町八幡
香社川水系小鴨部川右支流
A
E
18.5メートル
207メートル
609千㎥/609千㎥
蒼社川土地改良区
1938年