リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

非ステロイドのノモ

2014-01-19 08:49:00 | オヤジの日記
野茂英雄氏が、日本の野球殿堂入りを果たした。

メジャーリーグでの殿堂入りを逃したばかりだったので、これは嬉しいニュースだった。
今年のメジャーの殿堂入り資格者は、300勝投手が2人もいるなど高いレベルのものだった。
123勝の野茂氏が、いくら日米野球の架け橋になった、という事実があったとしても、投票資格者である米国記者たちにとって、その印象は薄かったに違いない。

メジャーの殿堂や日本のプロ野球の殿堂が、プレーヤーにとって最大の名誉であり栄誉であることは、容易に想像がつく。
だから、ファン心理として、どちらの栄誉も得て欲しかったが、日本の殿堂入りだけでも、野茂氏にとって最高の栄誉であることは間違いない。

約20年前、野茂氏がバッファローズを任意引退選手になって、アメリカ野球に挑戦したとき、日本プロ野球機構は「自己中心的である」と批判し、それにマスメディアも追随して「アメリカで通用するわけがない」などとネガティブ・キャンペーンを展開したものである。

当時のバッファローズ監督の300勝投手・鈴木啓示氏に遠慮してか、投手出身の評論家のほとんどは、野茂氏の挑戦に関して否定的だった。
江川卓氏もその一人で、「あのストレートでは通用しない」と言っていた。
多くのスポーツキャスターの意見も否定的だった。
司会者の小倉智昭氏も否定的なことを言っていた記憶がある。

私の知っている限りでは、好意的だったのは、江夏豊氏が「環境に慣れれば、10勝はできる」と言っていたくらいだろうか。

つまり、何もかもを否定されて、日本に帰る道はない、という完全に退路を断たれた形でのメジャー挑戦だった。
まさしく「石もて追われる」という状況だった。


正直、私も最初の1年目は、マイナーで調整。
翌年から5勝以上あげれば上出来ではないか、と思っていた。

何のことはない。
私も野茂英雄氏の実力を過小評価していたのだ。

ここは、素直にお詫びしたいと思う。

それほど私の頭の中では、メジャーリーグというのは、レベルの高い世界であるとの認識が強かった。

たとえ日本一の投手だったとしても、そのハイレベルの世界で勝つのは容易ではない。
ましてや、ステロイド全盛時代のメジャーリーグだ。
筋肉の鎧で全身を固めた主軸打者が、どのチームにも数人はいたのだ。

明らかに異次元の世界である。

そして、その異次元の世界で、野茂氏は「勝利者」になった。

重ねて、野茂氏を過小評価していたことをお詫びしたい。


野茂氏の活躍によって、メジャーリーグは、アジアの野球選手への門戸を開くようになった。

それだけでも野茂氏の功績は、大きい。

ノーヒットノーラン2回と最多奪三振2回は、メジャーの歴史に大きく刻まれると思うが、アジアの選手たちにメジャーへの道を切り開いた功績は、他と比較できないほど大きい。

そのことも含めて、テキサス・レンジャースの秋信守選手が、「野茂選手は、もっと評価されてもいい」と言っているようだ。

私も、そう思う。

ステロイド全盛期の打者相手に、13勝以上を6度達成した野茂英雄氏。
現在と比較することがナンセンスだというのは承知だが、ステロイドが本塁打を飛躍的に増やしたことに対抗するように、投手もステロイドで球速をあげるという時代に、非ステロイド系の投手が勝ち星を積み重ねるのは、容易ではなかったはずだ。

挑戦に批判的だった日本球界、保守的な論理で批判を繰り広げたマスメディア、そして海を渡ったら、ステロイドに毒された筋肉世界。

ほとんど四面楚歌の状況で、123の勝ち星を積み上げたのだから、野茂氏は、本当にもっと尊敬、評価されてもいいと思う。


5勝できればいい、と思っていた私が、言うことではないかもしれないが………。